香坂みゆきが3月2日、東京・KIWA TENNOZでワンマンライブ『香坂みゆきLIVE』を開催。カバー曲メインのPART1「カバー曲で綴る 夕暮れのCANTOS」と、オリジナル曲メインのPART2「SING! SING! SING!」の2部制で行った。ライブは2月28日に配信リリースされたオリジナルの新曲「黄昏とせつなさと」と「風にまかせて」の2曲に加え、PART1では「いっそセレナーデ」などカバー曲を中心、PART2では「ニュアンスしましょ」などアイドル時代の楽曲を中心に披露した。

 香坂みゆきは、アイドルとして1977年にデビュー。第一線のアイドルとして「愛の芽生え」でデビューし、「初恋宣言」「ニュアンスしましょ」などのヒット曲を持つ。現在は女優、コメンテーターとして活躍。昨年はオリジナルのバンドを従えての約30年振りとなるライブを目黒ブルースアレイで開催したのも、記憶に新しい。

 ライブの開演前、囲み取材に応じた香坂は、「61歳になりましたけど、続けられていることに感謝しています」と、再びライブを開催し歌える喜びを感じているようだ。

 ライブで披露された新曲2曲について香坂は、「ラブソングでもなく、応援歌というわけでもないのですが、同年代のママ友からは『私の応援ソングとして聴くわ』と言ってくれるんです。自分の生活状況も変わり、仕事も変わってきたときに、『風にまかせて』では、まだまだできるぞ! というような歌詞を書きましたし、「黄昏とせつなさと」の作詞をしてくださった(吉元)由美ちゃんもそういった歌詞を書いてくれました。それをしっかり受け止めてくれるママ友がいるとすごく嬉しいです」と述べた。

 1部と2部の両方で披露された新曲の「風にまかせて」は、香坂自身が作詞を担当した。海に立っている時に受ける風、夕日が顔に当たっている感じ、目を閉じてまぶたの向こうにお日様を感じることが好きで、そういうのが歌になればいいなと思いながら歌詞を書いていたと明かした。

 「風にまかせて」は香坂の初写真集と同じタイトル。この経緯に「私がすぐ旅に出てしまったりしていたので、みんなから“回遊魚”と言われていて(笑)。ハワイや石垣島とかに行って海に入ると浄化される感じがあって、南の島の風に吹かれる感じが自分の英気にもなっています」とその気持ちを詞にしたためていたときに、曲のタイトルが必要なことに気づき、写真集『風まかせて』を思い出したという。いまデビュー時に気持ちも立ち返り、また新たに歌を歌っているという意味でも『風にまかせて』がいいんじゃないかと話す。「歌うのをやめていた時期もあったけど、自分に“優しい喝”を入れるみたいな意味もあります」とタイトルに込めた想いを語った。

 そして、吉元由美氏が作詞をしたシティポップ調の「黄昏とせつなさと」は、2人で雑談こそはしていたものの、お互いの歌詞の内容は知らずに書いていたが、どこか根幹にあるものはシンクロしていたという。「全然違う2曲なんだけど、芯にあるものは同じで、言わんとしていることは一緒なので、すごく嬉しかった」と笑顔を覗かせた。

 ライブのPART1は「カバー曲で綴る 夕暮れのCANTOS」。91年にリリースされ、2022年に満を辞して配信リリースされたカバーアルバム『CANTOS』の収録曲を、昨年のライブで披露できなかったこともあり、改めてライブで歌いたいと思ったという。吉田美奈子の「夢で逢えたら」、水越けいこの「東京が好き」、香坂がデビュー45周年に配信リリースした石川セリの「虹のひと部屋」、研ナオコの「かもめはかもめ」、アンコールでは喜納昌吉の「花」のカバーに加え、先月リリースされたばかりの新曲「黄昏とせつなさと」と「風にまかせて」の全12曲を披露。大人な雰囲気のなか、しっとりと透明感のある歌声で訪れた観客を魅了した。PART2「SING! SING! SING!」では香坂のアイドル時代のヒット曲「ニュアンスしましょ」などを披露し、いま歌う自分をコンセプトにバラエティ豊かな選曲で届けた。

香坂みゆき

 歌っているときの香坂の表情はとても充実していることを感じさせた。それは伸びやかな声にも表れており、歌手・香坂みゆきへの期待感に満ちたステージだった。いま歌うことについて香坂は、「還暦になると子どもが大人になって、自分の手から離れつつ、自分の時間が持ててどうしようって考える時期でもあると思うんです。私は歌が歌いたいと思ったけど、新曲の2曲も私と同じ年代を生きている女性たちに、自分のためにまた生きたっていいんだよね。まだまだ(人生)楽しまないとと思ってもらえたら」と想いを述べた。

 今後の展望について香坂は、去年はやりたいという勢い、気持ちだけでやっていて無計画だったところもあったと振り返る。今年1年をしっかりやり切って来年もまたやりたい、春のライブをルーティンにできたら、と目標を楽しそうに語った。【村上順一】

セットリスト

香坂みゆきLIVE OKIWATENNOZ2024年3月2日(土)

PART 1「カバー曲で綴る夕暮れのCANTOS」セットリスト

01.夢で逢えたら(吉田美奈子)
02.いっそセレナーデ(井上陽水)
03.虹のひと部屋(石川セリ)
04.あの頃のまま(ブレッド&バター)
05.気絶するほど悩ましい(CHAR)
06.黄昏とせつなさと(新曲オリジナル)
07.風にまかせて(新曲オリジナル)
08.東京が好き(水越けいこ)
09.かもめはかもめ(研ナオコ)
10.神無月に囲まれて(井上陽水)
11.Too far away(水越けいこ)

ENCORE

EN1.花(喜納昌吉)

※()はオリジナル歌手

PART 2「SING! SING! SING!」セットリスト

01.気分を変えて
02.Magic
03.つま先でハートブレイク
04.ニュアンスしましょ
05.Just You Just Me
06.夏の夜は三たび微笑む
07.夜の終わりに
08.恋は急がず
09.レイラ
10.Sail On
11.Paper Tiger

ENCORE

En1.黄昏とせつなさと
En2.風にまかせて

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