INTERVIEW

溝端淳平×前田公輝

「きみセカ」Season5で感じた心の機微


記者:村上順一

写真:村上順一

掲載:24年02月08日

読了時間:約7分

 俳優の溝端淳平と前田公輝が、Huluオリジナル「君と世界が終わる日に」Season5(2月9日〜独占配信)に出演。Season4に引き続き財団会⻑との約束で「明日葉(演・玉城ティナ)を守る」と誓っている財団幹部・加州宗一を溝端淳平、タワーの警備兵に抜擢され、命を助けてもらった佳奈恵(演・飯豊まりえ)のことを気遣う下村海斗をを前田公輝が演じる。本作は2021年の地上波放送からスタートし、Season1~4を展開。2024年1月26日から大ヒット公開中の『劇場版 君と世界が終わる日に FINAL』では、間宮響(演・竹内涼真)の物語の完結編を描いている。Season5では玉城ティナと飯豊まりえがW主演。超高層タワーを舞台にしたシリーズ史上最大の人類総力・最終決戦を描く極限のゾンビサバイバルのシリーズ・ファイナル。インタビューでは、Season5の主演2人を支える溝端淳平と前田公輝に撮影の裏側から、Season5で2人が感じたことを聞いた。【取材・撮影=村上順一】

2人がSeason5で心掛けていたこととは

村上順一

溝端淳平×前田公輝

――お2人はどのような気持ちでSeason5の撮影に臨まれていましたか。

溝端淳平 Season4からずっと加州は明日葉への想いが、唯一の生きる希望でしたが撮影に入る前からseason5ではその 2人の話が色濃く描かれると聞いていたので、積み重ねてきたものを回収する、それが加州の目標でした。本読みの段階では最終話まで台本ができていなかったので、監督やプロデューサーと考えをすり合わせながらやっていました。Season4の加州は探り探りやりながら自分の役を発見していく感じでした。

前田公輝 Season4で唯一の家族である兄の陸斗(演・姜暢雄)が亡くなって、Season5では佳奈恵と一緒に行動することが多いんですけど、そこで海斗は無意識に自分を見つめ直す瞬間というのがいくつかあります。それが言葉や身体ではなく、自分でもよくわからない感情で動いてしまうところでした。Season4で海斗はチームのブレーン的な要素もあったので、計算してここはあまり感情を出さずにとか、いろいろ考えて演じていましたが、Season5では、海斗のことを理解をせずに芝居に挑むことが正解なのかもしれないと思いました。

――それはなぜですか。

前田公輝 撮影に入るときに表現としていくつか手札を持っていくんですけど、あえて今回はその手札を持たなくてもいいんじゃないか、ということを監督やプロデューサーさんとお話ししました。どう演じる、表現するのかは台本に書かれていますが、自分自身でわかっていない方がリアルになるんじゃないかと思って。それはチャレンジでした。

――お2人が撮影で大変だったこと、楽しかったことは?

溝端淳平 加州が拷問をされるシーンがあるのですが、椅子にくくりつけられて長時間身動きが取れない怖さはありました。

 楽しかったことは共演者の方に恵まれていたことでした。Season5から参加された袴田吉彦さんがいつも現場を和ませてくださいました。作品の印象とは裏腹に明るくて楽しい現場でした。

――前田さんはいかがですか。

前田公輝 大変だったのはアクションシーンです。Season4の海斗は身体的にはそんなに強くはなく頭で乗り切ることをタイプの人物だったのですが、今回佳奈恵とのアクションシーンでは海斗が佳奈恵を少し先導したりするシーンがあります。乱雑に物が積まれてるようなセットで、パルクールのような動きをする瞬間があるのですが、海斗の身体能力上がっていることが感じられるシーンです。Season4の海斗とはちょっと違っていて、守るべき大切な人というのを佳奈恵から感じているからこそ出るようなエネルギーがありました。

 楽しかったのは僕とまりえさん、結月役の横溝菜帆ちゃんの3人で待機している現場にラジコンがあったので、そのラジコンを3人で遊びながらボーっと海を眺めている瞬間です。また、まりえさん菜帆ちゃんがオセロをやっていたのですが、それを見ている時間もすごく心地よかったです。3人で恋バナしたりとかしていました。ギリギリでチャレンジングなことも常に行われていた撮影だったので、深呼吸できるような時間がすごく心地よくて、「きみセカ」のサバイバルから離れたほのぼのとした温かい時間でした。

――同年代のお2人ですが、現場ではどんな会話をされましたか。

溝端淳平 恋バナや、お互いの考え方とかお芝居の話もしました。僕はあえてお芝居については自分から喋らないようにしていました。たとえば後輩から先輩に聞くのはいいのですが、僕の方が公輝くんよりちょっと先輩なので、「芝居ってこうでさあ」とかは言いにくいなと思って(笑)。

前田公輝 確かに僕も後輩にそれは話しづらい(笑)。現場での在り方みたいなこととかお話ししたりもしましたが、加州と海斗はあまり会話がなかったので、僕は淳平くんとすごくしゃべりたかったんです。

溝端淳平 だから公輝くんが話しかけてくれるのを待ってたんだよね(笑)。

前田公輝 あはは(笑)。でも、食事をご一緒させていただいたり良かったです。

正解を一つに絞っていない

村上順一

溝端淳平×前田公輝

――切ない、つらいシーンに加え、加州と明日葉、海斗と佳奈恵のじれったい恋愛描写もありますが、お2人はどのように感じられましたか。

前田公輝 “じれキュン”といったら、加州と明日葉の2人は代名詞ですよね。

溝端淳平 Season5では玉城さんと1カ月ぐらい撮影で会わなくなり、現場で久々に会った時は加州のような気持ちになりました。玉城さんを遠目から見るシーンがあるのですが、ずっと明日葉のことを考えて芝居をしていたので、役さながら自分も焦らされていた感じがしましたね。

前田公輝 海斗と佳奈恵は割と会えている環境にも関わらず、すれ違って歯がゆい感じの2人なんです。普通にセリフを吐くというよりは、何を考えてこの台詞を吐いているんだろうということを常に考えていました。心が動いた時こそ本心を隠す、それが詐欺師である海斗の普通と言いますか。セリフのテンポとかは崩さないように心の中で違う台詞を言いながら、口では違うことを吐きだす。ギクシャクする気持ちの悪い空気感みたいなものを意識しながらやっていました。そういったところが佳奈恵とのシンパシーに繋がったのかなと思います。

――さて、お2人がSeason5で特に心に響いたところやみどころは?

前田公輝 主人公の間宮響を筆頭に、あの時こうしておけばよかったとか、たらればが常にあって、選択をしていく中で最後にふるいにかけられた人間たちの行動の意図は見応えがあると思います。Season4ではいろいろな場所に行ったり、アクションシーンもダイナミックな描かれ方をされていますが、今回もそういう描写はありつつも、それ以上に体が前のめりになってしまう瞬間、心の機微が感じられるストーリーだったなと思います。そういうところにも注目して観ていただけると嬉しいです。

溝端淳平 終末世界、自分が明日生きられるかわからないという状況の中で、聡明にいる明日葉と佳奈恵から勇気をもらったり、こんな世界の中で愛や希望が持てるというところは一番心に刺さりました。明日葉と佳奈恵の考え方、答えも真逆ですし、人それぞれ正義や愛に対する考え方があって、それが1つにまとまらないということが人間なのかなと思います。いろんな視点があって、あえて正解を一つに絞っていないのも見どころだと思います。

(おわり)

作品情報

【作品概要】

Hulu オリジナル「君と世界が終わる日に」Season5
2 月 9 日(金)Hulu にて独占配信開始
毎週金曜エピソード更新(全 5 話)
Season1~4:Hulu にて全話配信中
ドラマ公式 HP:https://www.ntv.co.jp/kimiseka/

【Season5 スタッフ】

■脚本:神田優 藤平久子
■シリーズ構成:丑尾健太郎
■音楽:植田能平 Slavomir Kowalewski A-bee 會田茂一 ノグチリョウ
■制作:田中宏史 長澤一史
■チーフプロデューサー:三上絵里子 石尾純
■プロデューサー:鈴木亜希乃 高橋浩史 伊藤裕史 白石香織
■演出:保母海里風 山田信義 菅原伸太郎
■制作協力:日テレ アックスオン
■制作プロダクション:日本テレビ
■製作著作:HJ ホールディングス

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