INTERVIEW

NMB48加藤夕夏

卒業記念インタビュー!シングル表題曲の連続選抜入り記録は「ファンの皆さんと一緒に作った。どんなポジションでもどれだけ輝けるかが勝負だと思っていた」


記者:ポッター平井

写真:ポッター平井

掲載:23年07月08日

読了時間:約13分

 2012年2月にNMB48の3期生としてデビューした加藤夕夏が、自身の26歳の誕生日にあたる8月1日に開催する卒業公演をもって、約11年半のアイドル人生の幕を閉じる。研究生時代からシングル表題曲の選抜メンバーとしてグループを牽引し続けてきた彼女。卒業を前に念願だった写真集も発売し、7月15日には卒業コンサートも控えている。今回は6月22日、NMB48劇場でインタビューを敢行。写真集に関するエピソードや、卒業コンサートに向けての意気込みはもちろん、私が独断で選んだ<加藤夕夏のここがすごい!>という5つのポイントについても語ってもらった。【取材・撮影=ポッター平井】

「卒業する時が来た」と覚悟を決めた

――加藤夕夏さんは2012年2月18日にお披露目されました。その後11年以上活動されてきましたが、3期生としては最後の1人になりました。ご自身がそんな立場になることは想像していましたか?

 全く思っていなかったです。気づけば最後の1人になっていました。

――今年5月、オリックス劇場でのライブで卒業を発表されましたが、卒業を決意するまでの経緯を教えて下さい。

 (約1年前)ミュージカル『ぐれいてすと な 笑まん』に出演させていただいた時、より深く舞台の世界にのめりこんでみたいという気持ちが芽生えて、それをするためにはNMB48の活動と両立させるのは難しいなと思って、私も卒業する時が来たんだなと覚悟を決めました。

――今日は6月22日なので、卒業まであと1ヶ月あまりです。今の心境は?

 NMB48に入ってよかったなぁと思います。私が11年間ずっと、同期のメンバーがどんどん卒業していっても活動を続けてこられたのは、歌って踊ることが本当に大好きで、それを仕事にできたからだと思います。NMB48のオーディションを見つけてくれた母親や、支えてくださったスタッフさん、一緒に活動してきたメンバーにも感謝しています。NMB48では色々なことを学ばせていただいて、内面的にも成長できたと思います。メンバーのみんながいたから、自分を限界まで追い込んで全力で踊ったりすることもできたと思うので、1人になってもそれができるのか、すごく不安なんですけど、卒業後すぐに舞台に出演させていただくので、寂しさを感じる余裕がないです。でも、レギュラーで出演させていただいていたラジオのパーソナリティの方が泣いてくださったりすると、自分の感情に蓋をしていたものが溢れてしまって、卒業が迫っていることを実感します。

加藤夕夏

加藤夕夏

後世に語り継ぎたい「加藤夕夏のここがすごい!」

――ここからは、私が独断で「加藤夕夏のここがすごい!」と思うことを5つのポイントにまとめてみましたので、それをベースにトークしたいと思います。

 えーっ!?嬉しい!ありがとうございます!

――まず1つ目は「シングル表題曲23作連続選抜メンバー入り!」です。5枚目の『ヴァージニティー』から最新の『好きだ虫』まで選抜入りという金字塔を打ち立てました。

 ずっと「NMB48で自分の名前を残したい!」「記録を作りたい!」と思っていたので、こうして誰にも抜けないような記録を作れたことが、すごく嬉しいです!私の誇りです。

――『Must be now』は少人数(9人)選抜でしたし、『好きだ虫』はファン投票で選抜メンバーが決まるシステムでした。そんな数々の難関を乗り越えての記録なので、すごく価値があると思います。

 私が選抜落ちしそうになった時も、ファンの皆さんがAKB48選抜総選挙の速報で、いい結果を残してくださったこともあってか、選抜落ちを免れましたし、本当にファンの皆さんと一緒に作ってきた記録だなと思っています。23作シングル表題曲の選抜に入っていながら、センターに立ったことはないので、存在感を出せていたのかな?という心配はあるんですけど、後ろの方でも、端っこでも、どんなポジションでも、どれだけ輝けるかが勝負だと思っていたので、絶対に手を抜いたりしたことはないです。だからこそ、シングルの選抜に選び続けていただいたと思うので、自分の努力にも自信を持ちたいです。

――今の言葉は後輩のメンバーの皆さんにも響くと思います。

 伝われば嬉しいです。

――<加藤夕夏のここがすごい!>2つ目は、「劇場公演の出演回数がもうすぐ600回!(6月22日現在、598回)>です。卒業までに600回突破は確定ですね。

 600回も立っていたんですね。ほぼ毎日NMB48劇場には来ているので、気持ち的にはもっと立っているんですけど(笑)。この前、研究生の時に書いていた「反省会ノート」が出てきて、読み返していたら、些細なこともいっぱい書いていて、それが身になっていたんだなぁと思いました。メモじゃなくて、ノートに残しておいてよかったです。宝物ですね。

――些細なことというのは、例えばどんなことですか?

 マイクの持ち方、言葉づかい、体の向きとか。MCの時に話しているメンバーの方を向きすぎると、反対側のファンの方が疎外感を感じるから、「おへそは前を見る!」みたいなことを赤ペンで書いていました(笑)

――それはすごく大事なことですね。

 600回積み重ねてきた分、成長できたんじゃないかなと思います。劇場では嬉しいことも、悔しいこともいっぱいあったんですけど、ファンの皆さんと同じ空間で、同じ気持ちを共有できる、本当にすごい場所やなぁと思います。加入してすぐに、マネージャーさんから「劇場は神聖な場所だから、家から来た流れで立つな!気持ちを整えて来い!」みたいなことを言われたことがあったんです。NMB48を卒業して、色々な劇場に立つことになっても、その気持ちは大事にしようと思っています。

――素晴らしい心掛けですね。<加藤夕夏のここがすごい!>3つ目は、「第9回AKB48選抜総選挙で33位にランクイン!ネクストガールズのセンターに!>です。

 やったー!2017年…6年も前なんですね。いまだに『戸惑ってためらって』のMVをたまに観て、「私って、すごいな~」みたいな(笑)。私の中ではいつまでも大事な曲です。ファンの皆さんのおかげで、すごく大きな成功体験をさせていただきました。【やりたいことは自分の口でちゃんと言う】とか、【自分から動く】とか、大事なことに気づけましたし、あきらめなかったら結果がついてくるんだなぁと思いました。NMB48に入った頃、私にとって総選挙は憧れの大イベントだったので、ここで名前を残せて、すごく嬉しかったです。

――そして4つ目ですが、加藤夕夏さんのダンスパフォーマンスのクオリティの高さについては、他のインタビューなどでもたくさん触れていると思いますので、あえて外しました。ここで私が声を大にして伝えたいのは、「AKB48グループ歌唱力№1決定戦に5回全て出場!決勝大会にも2回進出!」です。この実績はもっと評価されるべきだと思います。

 ありがとうございます!

――しかも、その結果も右肩上がりなので、ただ出場するだけではなく、影の努力をたくさんされていたんだなと。

 歌を頑張ろうと思ったのは、「ここにだって天使はいる」公演に出た時が最初です。山本彩さんが『夢のdead body』という曲をギターの弾き語りでパフォーマンスしていたんですけど、そのアンダーをさせていただいた時、自分の不甲斐なさにショックを受けて、それが悔しすぎて、個人でボイスレッスンに通い始めました。だから、歌唱力№1決定戦には自信満々で行ったんですけど、3回目までは予選で敗退してしまって…。でも、この大会は「自分の好きな曲を歌えて、テレビにも出られるやん!」みたいな(笑)、真面目に取り組みつつも「それだけでもラッキー!」という気持ちで出場していました。演劇の舞台に出るようになってから、歌の大切さをより実感するようになって、発声の仕方も学んで、コツをつかめたような気がして、第4回大会で初めて決勝まで行けました(審査員推薦枠で)。その後、ミュージカルで、ソロで歌わせていただいたことで自信もついたからか、第5回大会では予選を11位で突破できました。

――今年3月に開催された「第5回AKB48グループ歌唱力№1決定戦」の決勝大会では、山口百恵さんの『イミテーション・ゴールド』を歌唱しました。攻めた選曲でしたね。

 選曲にはすごくこだわりました。いつも「安定」と言われるのが悔しくて…。「安定」と言われるようになったことも成長だと思うんですけど、「それだけじゃないぞ!」と思って、その曲を選んで、審査員の方々にも高く評価していただけたので、よかったです。

――ここまでの加藤夕夏さんの発言からも感じ取れると思いますが、<加藤夕夏のここがすごい!>5つ目は、「向上心が強い!」です。私が担当している『NMB48のTEPPENラジオ』に何度もゲスト出演していただきましたが、収録後に「今日どうでした?」と聞いてこられるので、向上心が強い人だなと感じていました。

 TEPPENラジオさんって、メンバーに寄り添ってくださるから、好き勝手に喋りすぎて、「暴走してなかったかな?」とか、「アカンこと喋ってなかったかな?」とか、最初の頃は私の喋りでは聞いてくださる方に興味を持ってもらえなんじゃないかと思って「これで大丈夫かな?」と思っていましたし、ラジオでお仕事をされているプロの方からのアドバイスを聞いておきたいなと思って、聞いていました。

――TEPPENラジオでは、トークテーマとか最低限のことだけ用意して、なるべくカンペは出さずに、メンバー2人の素の部分を引き出したいなと。こちらとしてはむしろ、暴走していただいた方がありがたいです(笑)。ホンマにアカンかったら編集でカットしますし、他の収録番組でも自由に喋っていただけたらと思います。

 そうですよね~。自由に喋ります(笑)

加藤夕夏

父の日に写真集をプレゼント!

――6月14日に1st写真集『心に秘めたもの』が発売されました。おめでとうございます!

 ありがとうございます!

――七夕の短冊に「写真集を出したい!」という願い事を何年も前から書いていましたが、ついにその念願が叶いました!写真集の発売が決定した時の心境は?

 その時は、どや顔していたと思います(笑)。ファンの皆さんも諦めかけていたと思うので、「お待たせしました!」という感じです。

――写真集発売記念パネル展もTSUTAYA EBISUBASHIと(7月16日まで)、タワーレコードなんばパークス店(6月28日で終了)で開催!

 私の写真がパネルになって、ドーン!と展示されているのを見て感無量でした。私のことを知らなかった方にも興味を持っていただけたら嬉しいです。ずっと自慢し続けます(笑)

――将来、お子さんが生まれたら、「ママは写真集出したんやで」って(笑)

 「こんなにすごいパネル展もやったんやで」って自慢します(笑)

――お渡し会イベントも開催しましたが、ファンの皆さんの反応は?

 すごく喜んでくださって、「このページが好きだよ」とか、女の子は「ダイエットめっちゃ頑張ったね」って褒めてくれたりしました。あと、「ずっと応援していたけど、最後だから会いに来ました」とか、「たくさんの人がいるイベントは苦手で行けないけど、1対1なら行けそうと思って来ました」とか、初めましての方もすごく多くて、嬉しかったです。写真集を出していなかったら会えていなかったかもしれないので、そういう意味でも写真集を出してよかったなぁと思いました。

――写真集についてお聞きします。NMB48劇場をはじめ、地元の大阪でも撮影が行われましたが、いかがでしたか?

 なじみの場所すぎて、「写真集の撮影なのかな?」と思ったりもしました(笑)。NMB48劇場ではロッカーの前とか、ゴチャッとした感じもそのまま撮っていただきました。卒業したら、これがきっと恋しくなるんだろうなと思います。

――他にも、通っていたダンススクールの近所で撮影が行われました。

 NMB48に入る前に5年ぐらいダンススクールに通っていて、そこで頑張っていなかったら、NMB48には入っていなかったと思うので、私の芸能生活の原点といっても過言ではないです。13年ぶりぐらいに行ったら、レッスン場がなくなっていて寂しかったんですけど、レッスン着を忘れた時によく買いに行っていた激安の雑貨屋さんとか、お菓子を買っていたコンビニには行けて、当時の思い出がよみがえってきました。たこ焼き屋さんは「風風」(ふうふう)というお店なんですけど、すごく美味しいので、ぜひ皆さんにも食べてほしいなと思います。

――撮影のメインは沖縄でした。「夕夏」の名前の由来となった、夕陽をバックにしたカットもあります。このシチュエーションで写真を撮るのが夢だったと。

 真っ先に提案させていただいたので、それが実現して、綺麗な写真を撮っていただけて、嬉しかったです。沖縄は天気が変わりやすいんですけど、撮影が始まったら夕陽が出てきて、「私を迎え入れてくれているやん!」って思いました(笑)。「夕夏」は父親が名付けてくれたので、父親に早く見せたいと思って、父の日(6月18日)に渡しました。

――お父さんからの感想は?

 まだ聞いていないので、これから聞き出そうと思います。

――うーかといえば、個人YouTubeチャンネルでヨガの動画をアップしていますが、今回の撮影では、サップヨガに初挑戦しました。

 海の上にボードを浮かべて、ヨガをするんですけど、バランスを取るのが大変で、足がプルプルしていました(笑)。でも、すごく気持ちよかったです。スタッフさんから「海に落ちた方がいいんちゃう?」って言われたんですけど、「この後も撮影あるから!」って言い返して、意地でも落ちなかったです(笑)

加藤夕夏

加藤夕夏

――シュノーケリングにも初挑戦!

 海がすごく綺麗でした!サンゴを間近で見ることができて、それも貴重な体験だったんですけど、浅瀬でサンゴを足で踏んで傷つけてしまわないように必死で泳いでいたので、意外としんどかったです(笑)

――琉球衣装もすごくお似合いですね。

 「現地の人やろ」って何度も言われました(笑)

――写真集本体の裏表紙には、卒業メンバーも含む「だんさぶる!」のメンバー全員からのメッセージがありますが、これはサプライズだったそうですね。

 みんな長文のメッセージを書いてくれて、私が写真集を出せたことを喜んでくれていたことが嬉しくて、泣いてしまいました。こうしてファンの皆さんにも見てもらえる形で、大好きな人たちからのメッセージを残してもらえて、幸せだなと思います。

卒業コンサートは「泣き笑いながら、会場を笑顔で満開にしたい」

――7月15日にZepp Osaka Baysideで「加藤夕夏卒業コンサート」が開催されます。そのサブタイトルは…

 「うーかにうかれっぱなし♡」です!これは自分で考えました(笑)

――卒業コンサートのロゴには「はわーくん」が!

 そうなんです!(拍手)「はわーくん」は私のオリジナルキャラクターなんですけど、今まで自分の生誕Tシャツに入れ込んでみたり、自分の力でしか公式になっていなかったんです(笑)。それがついに!ロゴになっちゃって…感慨深いです。グッズを作ってくださる方々が、はわーくんをかわいくしてくださって、嬉しいです。親のような気持ちです(笑)。早くファンの皆さんにグッズを届けたいです。自分でも絶対使います!

――5月3日にオリックス劇場で開催されたリクエストアワーで、卒業コンサートを開催することがサプライズ発表されました。

 「卒業コンサートをやりたいです!」とは言っていたんですけど、まさか本当にできるとは思っていなかったので、嬉しかったです!先輩方が卒業コンサートをされる時に、メンバーと「もし自分の卒業コンサートができたら、どんなドレスを着たい?」とか、そういう会話をするのが恒例だったんですけど、自分の卒業ドレスを作っていただけることになって、11年間やってきてよかったなと思いました。

――卒業コンサートに向けての意気込みを聞かせて下さい。

 卒業はずごく寂しいですし、アイドルとして大きなステージで歌って踊ることは最後になると思うんですけど、これからの加藤夕夏の新たな門出でもあるので、泣き笑いながら、会場を笑顔で満開にして、楽しい卒業コンサートにしたいと思います!

――7月25日には、GORILLA HALL OSAKAで「だんさぶる!」としてのライブも開催されます。

 自分たちで勝手に始めたダンスユニットが、ラストライブもさせていただけるぐらい愛される存在になれたことが嬉しいです。これも私が残せたものなのかなと思っていますし、大好きな人たちと大好きなことをするので、もう既に楽しいです(笑)。「これがウチらの本気や!」というパフォーマンスを見せつけて、皆さんの心に刻みたいなと思います。

――8月1日にNMB48劇場で卒業公演と生誕祭が同時に開催されます。

 卒業だけだと寂しくなると思うんですけど、26歳の誕生日を迎えて、新しいスタートを切る時をファンの皆さんと一緒に過ごせることが、すごく嬉しいです。アイドルとしての私を目に焼き付けてほしいなと思います。忘れられない誕生日になりそうです。

――当日は18時30分開演ですが、生まれた時刻の16時44分からSHOWROOM配信をするという企画を提案したいと思います。いかがでしょうか?

 たぶんリハーサルは終わっていると思うんですけど…検討します!

――最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします!

 NMB48を卒業するのは寂しいですけど、ありがたいことに8月12日から東京・三越劇場で『いいね!光源氏くん』という舞台に出演させていただきます。かわいくて元気な役柄なので、“うーかロス”の方は、ぜひ観に来ていただけたら嬉しいです。これからもよろしくお願いします!

END

NMB48加藤夕夏1st写真集『心に秘めたもの』商品概要

発売日:2023年6月14日(水)
撮影:岡本武志
判型:B5判(136ページ)
価格:2860円(税込)
出版社:光文社

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