ⓒ若山和子

 第76回カンヌ国際映画祭「カンヌ・プレミア」へ正式出品された映画『首』(11月23日公開)の北野武監督、西島秀俊、加瀬亮、中村獅童、浅野忠信、大森南朋が現地で日本媒体の合同取材に応じた。うち北野武監督はカンヌに到着し「映画は順位をつけるものではないと思っているので、呼ばれただけでも光栄」と語った。

 【動画】現地で映画「首」の制作意図とバイオレンス描写について語る北野武

 本作は、構想に30年、制作費15億円を投じた戦国スペクタクル。舞台は戦国時代。羽柴秀吉、明智光秀、織田信長、徳川家康ら戦国武将と本能寺の変を描く。信長の跡目をめぐる様々な欲望と策略が入り乱れ、血肉が飛び散る戦から燃え上がる本能寺へと突き進む物語。

 北野武監督は「日本の時代劇ではあまり裏の話が描かれていなくて綺麗ごとでやっている。本当の武将は…そもそもろくでもないんですから。成りあがるためにどういう事をやっていたのかを…」と語り、衆道との関係に触れながら「実態が描かれてない」とし「正しいか正しくないかではなく、当たり前にそういう世界があって、そうした事や人間関係が光秀の本能寺の変に繋がっていく。今まで観たものとは違うなと感じる方もいると思うけど実際はこうだったという」と語った。

 バイオレンス描写もあるが「時代背景を考えると侍の本分や暴力、死、衆道というのはかなりリンクしていると思う。殿様を助けるために死んでいく、殿様を逃すために自分が盾となって死んでいく美学もあって。愛と死、暴力が混在した行為。その一部分を切り撮ると違う見方になってしまう。武士との作法にも関わってくるので難しい」とも語った。

Photos

記事タグ