Natumi.、ドラマ『アトムの童』劇中曲「ラストノート」に迫る
INTERVIEW

Natumi.

ドラマ『アトムの童』劇中曲「ラストノート」に迫る


記者:編集部

撮影:

掲載:22年12月11日

読了時間:約8分

 女性シンガーのNatumi.が、シングル「ラストノート」を配信リリースした。同曲は山崎賢人(崎はたつさき)が主演を務めるTBS系 日曜劇場『アトムの童』劇中使用曲としてOAされた。タイトルのラストノートとは「最後の香り」。 大切な人の香りを連れて、明日へむかう。 未練で終わらない、別れを経て前に進む強さを表現したラブバラードに仕上がった。Natumi.は、多くのオーディションを重ね2020年に上京。2022年、テレビ東京系アニメ『境界戦機』第二部EDテーマに抜擢。澤野弘之楽曲プロデュースのEDテーマ「pARTs」でCDデビュー。インタビューでは、ターニングポイントの年となった2022年を振り返りつつ、新曲「ラストノート」の制作背景から、Natumi.がいま追求していることなど話を聞いた。

歌の感情が届くようにしたい

「ラストノート」ジャケ写

――2022年を振り返るとどんな一年でした?

 デビューさせて頂けたことが一番大きく、凄くありがたいことでした。活動していく中で探り探り成長しつつ、Natumi.というアーティストとしてどう歌っていきたいか、どういう風にステージを作っていきたいかと色々発見できました。引き続き成長していきたい気持ちもありつつ、一歩一歩進めた1年だったと思っています。

――半年前に取材した時と比べると、雰囲気が変わったと思います。

 デビューシングル「pARTs」を出させて頂いた時はまだちょっと現実味がなかったのかもしれません。アーティストデビューはいいものの、若干自分に自信がない部分があったのが大きいと思います。探り探りでまだふわふわしていたかなというのが一番ありました。「ラストノート」のレコーディングや、ステージで「pARTs」を皆さまの前で歌った時に、色々自分の中で考える部分や自信に繋がることがあったんです。それが理由かなと思います。

――デビューされてからのステージの経験は大きい?

 今までもステージに立っていたんですけど、プレッシャーと自分との戦いなど、今まで考えてこなかったことに直面して様々なことを考えたんです。それが大きくて成長に繋がっていると思います。

――これまでとは違う緊張感がある?

 自分の中ではその時々でステージを完成させているのですが、音ゲーで言うところのフルコンプリートを狙う感覚で逆に緊張してしまい、普段できることができなくなるみたいな…。そういうことに直面して、回数を重ねる毎に徐々に慣れてきて、できるようになってきました。

 デビューした時は自分に必死で、聴いてくださる方に「いいステージを、いい歌を聴かせよう」ということにプレッシャーと必死さがあって、それが徐々にできるようになってきたんです。お客さんに楽しんでもらいたいですし、歌の感情が届くようにしたいという想いが出てきました。そういった部分で、まだまだ模索中ですがデビュー当時と変わったところです。

――「pARTs」でデビューして、周りの方々からもらって嬉しかった言葉は?

 もらう言葉全てが嬉しかったです。YouTubeやSNSに書いてあることもそうです。特に心に残っているのが、ANIMAX MUSIXのNEXTAGEに出させて頂いた時に、「カバー曲よりもオリジナル曲の方が好き」というツイートがあって、凄く嬉しかったです! ちゃんと歌いこんでいることもありますが、Natumi.というアーティストとして出した曲を聴いて頂いて、好きになってくれる方がいることが凄く嬉しかったです。

――エゴサーチはされるんですね。

 します(笑)。第三者の意見が気になるタイプでして。

――コメントを受け止めるのは成長に繋がりますよね。私だったらメンタルが弱いのでエゴサーチは無理かなと思うことも…。

 実は私もちょっと弱くて。デビューする前に「感情が歌に入っていない」というコメントを見たことがありました。その時は落ち込むこともありましたけど、それが今の自分の歌に繋がっているので。一回傷つくんですけど(笑)。

――そういったコメントを切り捨てる方もいる一方で、そうではないと。

 プラスになると自分で思う部分があるので。

――前向きなんですね。

 デビューしてから変わりました。友人からは「凄いポジティブじゃない?」と言われることが増えました。

真っ直ぐ芯があるイメージで歌った「ラストノート」

――これまでのお話を聞いているとポジティブだなと思います。さて、「ラストノート」が配信リリースされ、反響がありましたね。今作のお話が来た時の心境は?

 正直、決まったと聞いた時はビックリしましたし、凄く嬉しかったです。曲調的に好きな曲なのですが、歌ってこなかったタイプの楽曲だったんです。楽曲の内容に沿って歌ってみたら、意外と自分の声と合うと思いましたし、完成したものを聴いた時に楽曲としての雰囲気をしっかり出せたことに自分でも驚きました。

――「pARTs」とは歌い方が違いますよね。

 最後のサビは、Natumi.っぽさはあるのかなと思いますが、出だしは今回の楽曲とドラマを考えて、気持ちの入れ方を意識しました。声色を上にもってきて、真っ直ぐ芯がある感じのイメージで歌わせて頂きました。

――今、喋っている感じに近いというか自然体なのかなと思いました。

 最初は語りに近い感じなので「今、喋っている感じに近い」というのは、本当にそうだなと思います。

――ちなみにレコーディングはどのように進めていきました?

 セクション毎に分けて録らせて頂いたのですが、1番は特に気持ちの入れ方が声色に影響してくるんです。ラストのサビを録ったあとにもう1回録ると、ラストのサビに引っ張られたりするので、そこはちゃんと切り替えて歌うことを意識しました。

 歌った時は満足していても、全部録り終わったあとに聴くとまた新たな発見があるんです。スタッフさんの意見も聞きつつ、もう1度聴いて気になるところを録り直したり。あとは自分がイメージした2パターンを提案して、歌ってみて皆さんと一緒に決めたり。

――2パターンの違いとしては?

 例えば、最後のサビの後半<あの日の>のあとを、地声から抜いているんですけど、そうじゃないパターンとか、<あぁそれなら僕は>の<あぁ>をエッジボイスにしているのですが、<僕は>のあともエッジボイスを入れるか入れないかとか…。私は優柔不断でよく迷うので、そういうところは客観的な意見を聞いて選びました。

――例えば、買い物の時も優柔不断なところが出てしまうことも?

 そうなんです。どっちにしようかなって。わからなくなって結局変なのを買ったりするんです…。その時にパッと直感で「これがいい」となる時があるんですが、その直感が働きにくくて(笑)。そこは磨いていきたいところです。

――ドラマを観ていかがでした?

 主演の山崎賢人さん演じる那由他が純粋にゲームを作るのが凄く好きなのですが、そこに対して色んな壁が立ちふさがってくるんです。そして、興津(晃彦)社長(演・オダギリジョー)が本当に嫌な役じゃないですか? ハマりすぎていて、主人公の山崎さん側の気持ちになって没入して、「がんばれ!」って、しかめっ面で観ちゃうくらいハマりました(笑)。

――没入型なのですね。

 そうです。だからドラマでも映画でも、普段それほど泣かないタイプなのですが、友人から「泣くの早すぎじゃない?」と言われたり(笑)。ハラハラドキドキしながらも、主人公が困難に立ち向かって行くところが一番面白いなと思います。

――「ラストノート」が、4話で劇中曲として流れたの聴いていかがでした?

 はい! 嬉しさがありつつ、ドラマに没入して泣きそうになりました。

――第6話でも流れましたが、その時はまた違う感覚?

 実は「ラストノート」を歌わせて頂いた時のイメージとしてもっていたのは第4話のイメージが大きくて、第6話ではどんな感じで流れるのか想像できていなかったんです。私の中では『アトムの童』と「ラストノート」のイメージで共通している部分が、未来に向かって芯を持って一歩前に進んで行く、傷ついた部分も力にして進んで行く点だと思っていたので、6話の内容がそことリンクしていたと感じました。

感動をお客さんと共有したい

――「ラストノート」というタイトルもオシャレですね。「香り」と聞いてイメージすることはありますか。

 私が好きな香りは、ちょっとフルーティーなものやサボン系の香りです。自然では、金木犀の香りが好きです。秋の訪れ、金木犀のオレンジの色、ふと道端を歩いていて香るのが凄く好きです。学生の頃、登下校の時に必ず香っていたので余計に好きなんです。

――さて、今作の歌詞でどんなところがお気に入りですか。

 一番好きなところは最後のサビです。<さよならからまた何度でも始めればいい 青すぎた月日を連れて明日へ向かう>という部分の、特に<青すぎた月日を連れて明日へ向かう>が気に入っています。バラードですが力強さを持って、最後は未来に向かって私の歌で背中を押していきたいという気持ちもあるんです。それも相成って、ここのフレーズは歌っていて凄く気持ちも入りますし一番好きです。

――<青すぎた月日を連れて>というフレーズは、自分の未熟な部分と青春時代が合わさったようで複雑な感情なのだろうなと思いました。そういえば、前回「今後どんな曲を歌いたいですか」と質問したのですが、その時EGOISTさんの「Departures ~あなたにおくるアイの歌~」を挙げていたのですが、「ラストノート」はそれに近いのでは?

 こんなにも早くバラードが歌えて嬉しかったです。こういう曲も歌いたいなとは思っていたんですけど、やはりカバーとは異なり自分で表現するというのが凄く難しかったです。自分の中でイメージしたものをちゃんと声に出して歌にして表現することができたと思っています。これからまた成長していきたい想いはもちろんありますが、自分のその時のベストが出せたのではないかなと思いつつ。

――スキルが上がっていく中で、その時のベストが尽くせるのがいいですよね。最後に今、追求していることは?

 歌の技術や表現力を追求していきたいです。私は、ライブを観に行きたいと思ってもらえるアーティストになりたいんです。みなさんに楽しんで頂くために、歌やステージングを完璧に仕上げてパフォーマンスするのはもちろん大事ですけど、それだけだと私が第三者の目線で観た時に面白くなくて。だから、観ていて引き込まれる、感情を揺さぶられるようなパフォーマンスや歌唱ができるようになることが大きな目標でもあります。

――色んなライブを観ていると、感動を与えるアーティストは上手さ以外にも何かがあると感じるんです。私はLiSAさんのライブを観た時にそれを感じました。

 LiSAさんのステージの魅せ方や表現、お客さんの巻き込みかた、楽しませかたは群を抜いて凄いと思います。私もLiSAさんのように、ライブ空間を楽しめたらと思っていて、感動をお客さんと共有したいです!

(おわり)

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