女性シンガーNatumi.「歌で多くの人に夢や希望を」アーティストとして目指す姿
INTERVIEW

Natumi.

「歌で多くの人に夢や希望を」アーティストとして目指す姿


記者:村上順一

撮影:

掲載:22年04月16日

読了時間:約10分

 女性シンガーのNatumi.が12日、配信シングル「pARTs」(6月1日シングル盤を発売)をリリースし、メジャーデビューを果たした。地元広島ではアクターズスクール26期生入学オーディションで審査員特別賞を受賞。 幼少期には「関ジャニの仕分け∞第2回歌うまキッズ最強No.1選手権」 準優勝、マツダスタジアム「広島東洋カープ 対 阪神タイガース」の公式戦で国歌斉唱など、実力派シンガーとして多くの人を魅了。高校からは本格的にシンガーとしての道を志し、多くのオーディションを重ね2020年に上京。今回、気鋭の作曲家である澤野弘之の楽曲プロデュースで、4月11日より放送開始されたテレビアニメ『境界戦機』(テレビ東京系)第ニ部のエンディングテーマに「pARTs」が起用されOA中。インタビューでは、Natumi.の生い立ちから、「pARTs」の制作背景、これからの展望など彼女の素顔に迫った。【取材=村上順一】

歌えなかった時期に改めて感じたこと

Natumi.

――2020年に広島から上京されたんですよね。新しい街にきて感じたことは?

 2020年に上京しました。私は広島の福山市出身なので、やっぱり東京は人が多いなと思いました。あとは電車がすごい便利だなと思いました。最初は快速とか急行を間違えて乗って目的の駅を過ぎてしまったり、たまに逆方向へ行ったりしちゃうんですけど(笑)。

――あるあるですね。ところで歌手になりたい、と思ったきっかけは?

 私の祖父母がカラオケ喫茶を経営しているので、音楽に触れたきっかけというのが、そこのカラオケなんです。小さい頃から両親共働きだったので祖父母に預けられることが多くて、よくカラオケ喫茶でお客さんの歌を聴いたり、私も歌っていました。

――当時はどんな曲を歌っていたんですか。

 北島三郎さんの「まつり」とか、その時に流行っていた大塚愛さんの「さくらんぼ」を歌っていました。それを見た父がそんなに歌うのが好きなら、とアクターズスクールに通わせてくれて。アーティストになりたいと思ったきっかけはアクターズスクールの発表会でした。半年に1回、発表会があるんですけど、それがオーディションで受かった人だけ、発表会に参加できるんです。

――誰でも出られるわけではないんですね。

 そうなんです。そのオーディションに受かって、発表会で歌うことができました。歌ってるときは必死だったんですけど、お客さんからの拍手だったり、ステージからの光景がすごく印象に残りました。すごく気持ちよくて、達成感もあり、「アーティストになりたい」と思ったきっかけでした。

――発表会では何を歌われたんですか。

 私の声に合いそうという理由で、Kyleeさんの「CRAZY FOR YOU」を歌いました。

――Natumi.さんというお名前になった経緯は? 通常だったらtとuの間にsが入ると思うのですが。

 地元にいた時は本名で活動をしていたのですが、デビューするとなったときに名前を変えたいと思いました。本名の画数があまりよくないらしくて...。でも、本名で活動していた時から応援してくれている方がいるので、全然違う名前にしてしまうのはちょっと寂しいなと思ったので、“ナツミ”は残したいと思いました。

 でも、ナツミという名前はたくさんいるので、何か意味合いを持たせたいと考えました。Naturalに、私らしくという意味でmiをmeといった感じで捉えて、通常はNatsumiになるのですが、Naturalという意味を込めたかったので、 sを抜いてNatumi.になりました。最後のドットは画数が良くなるのでいれました(笑)。

――ご自身のターニングポイントは?

 高校生のときに、自転車で顔を怪我をしてしまって、傷口が開いてしまうので歌えなかった時期がありました。その時期にアーティストを続けるか、諦めるかと迷っていた時期がありました。治すのにも1年〜2年ぐらいかかって、やっと治って歌ったときに、「私はやっぱり歌が好きなんだ」ということを再確認して、夢をもうちょっと頑張ってみようと思いました。

これは夢じゃないんだ、現実なんだ

「pARTs」【CD ONLY】ジャケ写

――デビューが決まった瞬間はどんな感じでした?

 特に前触れもなかったです。いつも通りに事務所に呼ばれて、私は打ち合わせのつもりで行ったんですけど、突然「デビューが決まりました。アニメタイアップで、楽曲プロデュースは澤野弘之さんです」と、情報量が多すぎて思考回路がフリーズしてしまいました。話を聞きながら徐々にこれは夢じゃないんだ、現実なんだ、と理解していった感じでした。

――澤野さんとお会いしてみて、どんな方でした?

 私は澤野さんの作品が好きで、以前から澤野さんのインタビューを読んだり、ライブも観させていただいたことがありました。MCで何となく澤野さんの雰囲気とかも知っていたので、本当にそのままの人で、すごくフレンドリーで面白くて。そして、すごく私を気遣ってくださるんです。

――レコーディングではアドバイスをいただいたりも?

 「pARTs」は英語の歌詞も多いのですが、英語はあまり得意ではないんです。澤野さんにはそこも考慮していただいて、こういう風に英語を歌ってほしい、などアドバイスをいただきました。レコーディングのときも、出だしの音程が低くてギリギリ出るか出ないかぐらいの音域でした。でもキーを上げてしまうと雰囲気が変わってしまうため、ちょっとメロディーを変えていただいたこともありました。

――レコーディングはどのくらい時間がかかったんですか。

 確か4時間ぐらいだったと思います。私は初めてのレコーディングでしたし、澤野さんとご一緒するということで、すごく緊張していて。なので、どういう順番で歌ったら歌いやすいとか、気を遣っていただいたレコーディングでした。

――曲を聴いたときはどんな印象を持ちましたか。

 打ち込みのデモをいただいたんですけど、その段階から澤野さんらしさのある、本当にアニメ『境界戦機』のエンディングにピッタリな壮大な楽曲だと思いました。

――MVも撮影されていますが、これは日本ですか?

 千葉県の屏風ケ浦で撮影しました。1月だったので寒かったです。寒くてカイロを貼ったり、実はスカートの下にも寒さ対策をしっかりしています。衣装さんがすごく準備してくださって乗り切ることができた撮影でした。すごく寒かったんですけど、夢中になって撮らせていただいて、入り込めたというのもあって結構あっという間に終わってしまった、という感覚がありました。

――MV撮影は初めてだと思うのですが、どんな気持ちで臨んでいたのでしょうか。

 緊張と不安があったんですけど、スタッフの皆さんが気遣ってくださって、初めてのMV撮影でどうしたらいいかわからなくなるだろうから、ということでダンスの先生を付けてくださいました。手の動きだったり、見せ方というのを事前にレッスンをしていただいて、本番の日もその先生に同行していただいて、撮影に臨ませていただきました。

――特に見てほしいおすすめシーンとかありますか。

 ドローンを使用したシーンと、赤色のベールのシーンがすごく印象的で、すごくきれいなので是非、注目して観てほしいです。

――歌詞はどう捉えていますか。

 抽象的な歌詞なのですが、アニメの主人公たちの想いも見えてくるような歌詞になっていると思います。アニメを知らない方でもすごく勇気づけられるものになっていて、いろんな要因があって、自分が構成されている、といった捉え方もできました。

 私はアニメの観点からだと<欠けたパズル拾い集めた>は、ウィスパー(吐息混じりの声)も相まってすごく格好良くて気に入っています。<掠め取られた花 不意に唇が乾く>というパートは抽象的なんですけど、情景が浮かびます。<ささくれた心 見透かさないで>というフレーズも歌っていて、一瞬ふっと違う感じの印象になるので好きです。

――歌詞で自分と重ねた部分もあったのでしょうか。

 私は<抱えきれない痛み 乗り越えていくチカラになる>は、パワーをもらえる歌詞です。ここまで生きてきた中で、私が躓いてきた部分も、今の自分の一部だと思っているので、このフレーズは自分と重なる部分がありました。

――カップリングの「Activation」もすごく良い曲ですね。

 「Activation」は、澤野さんの楽曲ではあまり聴いたことがない雰囲気かもしれないと感じました。リズムが強い曲なんですけど、すごくガツガツした感じではなくて、そういう楽曲をいただけて嬉しかったです。歌詞は好きな人に夢中になって、もうその人しか見えない、といった内容なんですけど、すごく中毒性のあるものになっていると思います。夢中になるというテーマで統一された楽曲なのかなと思ったりしたんですけど、自分自身の未熟な部分だとか、歌っていて自分と当てはまる、人生と当てはまるものがある曲です。

影響を受けた楽曲

「pARTs」【CD+DVD】ジャケ写

――ご自身の中で一番影響を受けた曲は?

 『ギルティクラウン』の楽曲で「Departures 〜あなたにおくるアイの歌〜」、「βios」という楽曲です。歌いたい曲を見つけられた、と思いました。アーティストさんではAimerさん、LiSAさんが好きです。Aimerさんは声はもちろんなんですけど、表現力という部分にすごく引き込まれます。ちょっとダークな部分もすごく惹かれます。

――『ギルティクラウン』がきっかけなんですね。

 私はアニメが好きで、アニソンシンガーになりたいと思っていました。通っていた中学ではラノベが割と置いてある学校だったということもあり、『ギルティクラウン』にハマりました。友達からアニメになっていることを教えてもらって、音楽と作品が融合している感じがすごく素敵だと思いました。これまでアニメは『FAIRY TAIL』や、『ケロロ軍曹』を観て育ってきてたんですけど、『ギルティクラウン』がきっかけで「こういう音楽があるんだ」というのを知ったんです。それで高校生になったときに、アニソンのタイアップとかアニメに関わる楽曲も歌ってみたい、という気持ちが芽生えたのを覚えています。

――この2曲にはどんな思い出が?

 アクターズスクールでは、誰もが知っている曲を歌うことが多かったのですが、私が好きなアニソンを「イベントで歌ってもいいよ」と、先生に言っていただけて、歌わせてもらった楽曲です。私自身、思い入れも一際強い曲ですし、表現力という部分で勉強させてもらえた、進化するきっかけになった楽曲です。

――今後どんな曲を歌ってみたいとかありますか。

 LiSAさんの「Rising Hope」が好きなので、アップテンポなものも自分の楽曲で歌えたらいいなというのと、バラード「Departures 〜あなたにおくるアイの歌〜」みたいな曲も歌えたらと思っています。ライブで盛り上がりたいという想いがあるのでファンの人たちと、盛り上がりたいです。LiSAさんの「Rising Hope」のライブ映像をカラオケで見て、その盛り上がり方にびっくりしました。自分もLiSAさんのような歌とパフォーマンスを目指して、皆さんと一緒に盛り上がれるように頑張りたいです。

――Natumi.さんはライブはよく観られるんですか。

 Aimerさんのライブは地元に来られた際に2〜3回観たことはありますが、ライブ自体はあまり行けてないので、ここから色んなアーティストさんのライブも体験していきたいです。

――人生を変えるために必要なマインドは?

 私自身はちゃんとやっていれば、結果はついてくると思っているタイプなので、いいことすればいいことが返ってくるし、悪いことをすれば悪いこと返ってくると思っています。何事も真摯に向き合うことが大切なのかなと思っています。自信を持つというのは、私自身もすごく難しいことなのですが、勇気を持って一歩ずつ前進していけば、何事もいい結果が生まれ、いい人たちが付いてきてくれると思っています。

――「徳を積む」ということですね。

 はい。祖父母や両親の考え方が大きいです。実家は焼き鳥屋なんですけど、お店に関わる人たちの反応を見ていると、「ちゃんといいものをだせば自ずとついてくる」といった、そういうことがすごく感じられる環境にいたので、影響を受けていると思います。

――ここからどんなアーティスト、シンガーを目指していきたいですか。

 私自身もアーティストになりたい、と思ったきっかけが見えたのは、ステージでの歌唱だったので、Natumi.というアーティストはステージ、ライブで聴きたい、と思っていただけるようなアーティストになりたいと思っています。夢や希望を私が与えていただいたので、今度は自分の歌で多くの人にそれらを与えられる存在になりたい。歌声で伝えられるものをもっと極めていきたい、という思いがあります。

(おわり)

Natumi.公式HP
https://natumi.jp/

RELEASE

『pARTs』

CD+DVD AVCD-61200/B 1,800円(税込) / CD AVCD-61201 1,100円(税込)
avex trax
4月12日(火)配信シングル、6月1日(水)CDシングル
https://avex.lnk.to/Natumi_pARTs

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