Wiennersが15日、名古屋ボトムラインで全国ツーマンツアー『TREASURE TOUR 2022』のセミファイナル公演を行った。ツアーは、7月20日にリリースされたNew Album『TREASURE』を引っ提げて、7月26日千葉LOOKを皮切りに、ファイナルの9月30日渋谷O-EASTまで全国20ヶ所をまわるというもの。ヤバイTシャツ屋さんと対バンした、ツアーセミファイナルの模様を以下にレポートする。

 この世はでっかい宝島。そのフレーズが子供の頃からずっと頭にこびり付いて離れないんだけど、Wiennersと仲間たちが駆け抜けるこの世の何処かで光っている宝物を探す全国ツーマンツアー『TREASURE TOUR 2022』はまさに摩訶不思議アドベンチャーそのものだ。このツアーが発表されラインナップを見た瞬間に、この数年間まとわりついてきたモヤモヤが晴れるような「陽」のパワーがライブハウスにサンサンと照り付ける絵が浮かんだのだが、あのとき感じた予感は本物だった。ニューアルバム『TREASURE』にともなった今回のツアーの何が凄いってまずは対バンのラインナップだ。まるで天下一武道会のような面子。この強豪たちと全国各地で真っ向勝負してきたWiennersがツアー19本目、セミファイナルである名古屋公演で見せた、漲って迸って溢れ出すパワー超放出GIGにパチパチするほど胸が騒ぐ1日だった。

 ツアーセミファイナル、名古屋の対バン相手はWiennersとは以外にも初共演だというヤバTことヤバイTシャツ屋さん。ザ・エンターテイメントとユニークとセンスとナンセンスと音楽愛をポップにごちゃ混ぜした「THIS IS ヤバT」な真骨頂バキバキなライブは、分かってはいたけれどWiennersと相性あっちゃう感じ。客観的にみてもお似合いだし、ステージ上のこやまたくや(Gt,Vo)もまんざらでもない顔をしているように見える。そんなヤバTからWiennersに向けた愛たっぷりの「ハッピーウェディング前ソング」でライブはスタート。このツーマンが大正解だってことをライブ開始と同時に六感で感じる。ヤバTのパブリックイメージって人それぞれあると思うけど、「DANCE ON TANSU」で見せるしばたありぼぼ(Ba,Vo)のスラップベースや、もりもりもと(Dr)のずっしりしたドラムなど、ライブだからこそ感じることが出来るヤバTのバンド感にも興奮する。

ヤバイTシャツ屋さん(撮影=かい)

 「セミファイナルだから蝉をプレゼントする」「引っ越しをWiennersの∴560∵さんに手伝ってもらった」というありぼぼワールド炸裂なMCから何故か∴560∵と付き合ってる疑惑が飛び出すゆるいトークもヤバTらしい。そんな中、こやまは「いつもの6倍の音量で!」と体力配分全く無視で「陽」なWiennersも真っ青な「ちらばれ!サマーピーポー」でギンギンの太陽を嫉妬混じりに叩きつけ、「あつまれ!パーティーピーポー」では酒はなくとも踊れなくてもロックすることは出来るぜとこれまた嫉妬混じりに大きな声で叫ぶ。さっき6倍の音量だなんて言ってたけど「くそ現代っ子ごみかす20代」では界王拳20倍くらいのスピードとパワーでライブハウスの温度を上昇させる。ちらばれって言ったりあつまれって言ったり忙しいけど「げんきもりもり!モーリーファンタジー」ではかわいい妖精までライブハウスに集まってきちゃうから大変。やっぱり楽C超えて楽Dぞ、ヤバTのライブ。

 Wieenersとの初対バンに「楽しすぎてキレそう」と満面の笑みで漏らすこやま。この数年、対バンイベントが出来ない状況も続いたし、ライブハウスでライブをすることにも観ることにも後ろめたさを感じないといけない状況だったことは事実としてあって、そんな時代に何度もキレそうになったけど、それを超えて楽しすぎてキレるところまでライブハウスが戻ってきたことが溜まらなく嬉しいし、WiennersがこのツアーにヤバTを誘ったことも何もかもが最高だなって思った。「全員ヤバTのファンにしにきた」と宣言し披露した「Give me the Tank-top」はタンクトップというワードに隠したライブハウスに対する思いがドバドバ零れ落ちていて拾うのに必死。辛抱をこえてライブハウスで音楽を浴びてる今が優し激しくうるさく包み込んでくれる。やっぱりライブハウスが必要だ。あっという間のライブは「無線LANばり便利」でフィニッシュ。Wi-FiがあろうがなかろうがWiennersに対する通信制限を大幅に超える愛もリスペクトもばっちり届くライブだった。

ヤバイTシャツ屋さん(撮影=かい)

 今回の『TREASURE TOUR 2022』がどれだけ充実したツアーだったかはステージに飛び込んできたWiennersの表情を見たら一目瞭然だ。音楽という目に見えないものがはっきりとこの目に見えちゃうのはWiennersが怒りも悲しみも全てを抱きしめて光に変えた上でポジティブを連打するライブをするから。これは初めてWiennersのライブを観たころからずっと思っていることだけど、彼らの音楽は紛れもないレベルミュージックで、だからって怒りを怒りとして、悲しみを悲しみとして打ち出すのではなく、ピカピカに光ることでWiennersに触れるものまで光らせる根拠も何もないけれど圧倒的なパワーを放つ何かがそこには在るのだ。

Wienners(撮影=かい)

 ライブで「みんなひとつになろう」という言葉をよく聞くけれど、ひとつになろうとしてなるんじゃなくて、結果としてひとつになることが大事な気がしているのだけれど、Wiennersのライブはまさにそれ。今回のツアーの対バンをもう一度思い出し欲しい。さっき「天下一武道会みたいな」なんて言ったけど、ひとつの天の下、つまり太陽の下で生まれた太陽の子供たちが音楽で繋がっていく。それがこのツアーでWiennersが掴もうとしたものなのかもしれないし、その欠片を今日で19個集めたWiennersが最後のピースを埋めるのが来たるツアーファイナルなのかもしれないけど、そうやって旅してきたバンドだから放てる光が確かに名古屋で金ピカに輝いていることを「SOLAR KIDS」が体現していた。「GOD SAVE THE MUSIC」だってそう、「よころびのうた」だってそう。音楽を音楽として発信するとき、受け取るとき、やっぱりハチャメチャに楽しくいたい。ピカーって光ってるものを観てピカーって光っちゃう、そんな関係をライブハウスでやり合いっこしたい。「この組み合わせ、待ってたでしょ!」と玉屋2060%が叫んでいたけれど、待って待って待ち続けた甲斐があったよ。WiennersとヤバTの光り方はそれぞれ違うかもしれないけど、ヤバTが地下から押し上げるように、Wiennersは地上から降り注ぐようにライブハウスを照らすもんだから、ボトムラインは過去最高に輝いていたことでしょう。

Wienners(撮影=かい)

 しかしここにきてWiennersはとんでもなく大爆発しているなと思う。そのひとつの要因としてあるのが覚醒したアサミサエの存在感だ。「SHINOBI TOP SECRET」でのくノ一感、ライブハウスをサイリウムで埋めた「日本中 I WANT YOU」のアイドルポップなど、アサミサエの開花がWiennersを更なる境地に押し上げているのは明白だ。「HORO NOVA AZIO」では今日この瞬間のリズムでライブハウスがひとつになる。ひとつにするんじゃなくてひとりひとりの意思でひとつになること。教室の隅っこでひとりパンクロックを聴いていたかつての少年がWiennersを通してパンクロックでライブハウスのど真ん中で歌っている。今日ライブハウスで感じたロックの無敵感が、今日ライブハウスに集まった誰かの日常に革命を起こしたかもしれない。自分が何者かなんて何十年生きてきてもまだ分からないけれど、ライブハウスにいるときの自分は本物だなって「真理の風」を浴びながら自分自身を信じてみようと思った。ライブハウスでキラキラした表情でギラギラに輝く太陽みたいなみんなの表情は本当に綺麗だった。

 Wiennersは『TREASURE TOUR 2022』で確実に何かを見つけたと思うし、バンドがそれをしっかり掴んできたのは火を見るより明らかだ。いよいよ今月末9月30日には東京・Spotify O-EASTにてでんぱ組.incを迎えたツアーファイナルが行われる。光り合いっこ、最終決戦、全国各地を行脚してきたWiennersが発する光を全身で浴びて眩い光線をバンドに、地球に、未来に解き放って欲しい。【柴山順次(2YOU MAGAZINE)】

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