INTERVIEW

高梨臨

「周りの人をどれだけ大切に出来るか」役者として大事にしていること:「5つの歌詩(うた)」


記者:村上順一

写真:木村武雄

掲載:22年07月30日

読了時間:約4分

 高梨臨が、7月7日から配信が開始されたスターチャンネルEXオリジナルドラマ「5つの歌詩(うた)」に出演。DREAMS COME TRUE全面協力×脚本監修・岡田惠和で届ける5SONGS×5STORESのオリジナルドラマ。高梨は7月21日より配信中「マスカラまつげ」で、結婚式のドレスコーディネーターを職業とする主人公・咲良を演じる。ドラマはDREAMS COME TRUEの数ある名曲の中から「空を読む」、「マスカラまつげ」、「TRUE, BABY TRUE.」、「何度でも」の4曲と、このドラマ企画の為に書き下ろされた新曲の計5曲の歌詩を独自の解釈で初めて映像化。インタビューでは、「共感しかなかった」と話す地味で裏方気質の咲良をどう捉えたのか、転機となった出来事、いま役者として大切にしていることなど、多岐に渡り話を聞いた。【取材=村上順一/撮影=木村武雄】

リアルすぎる女性が描かれている「マスカラまつげ」

木村武雄

高梨臨

――この作品に出演することが決まった時の心境は?

 これまでもいろんなアーティストさんの曲がドラマ化されているんですけど、歌詩の想いをベースにしつつも、オリジナルの作品、曲から出てきた一つの物語のような作り方になっていて、新しくて素敵だなと思いました。

――台本、脚本を読んでどんなことを感じましたか。

 よくドラマに出てくるような正義感が強かったり、頑張ったり、恋愛が上手くいったりするといったことがなく、普通に過ごしている女の子。いつも自分は主役になれないと思いながらも頑張って生きているのに、恋愛も上手くいかず、友達ともぶつかり合って、リアルすぎる女性が描かれているというのが第一印象でした。

――主人公の気持ちがわかってしまう。

 わかりすぎてしまい、共感しかなかったです。一生懸命にやっても結局中途半端になってしまうなと思うことも沢山ありますし、ほとんどの方がそういうことを繰り返して、それでも「頑張るか」と思いながら生きていると思います。主人公もそういった思いを持ちながら生きているし、人の成功を妬む気持ちもあったり、それを人前で出さないようにしても、ちょっと出てしまったり。

――今回、役というよりも普段の自分が出たとお話しされていましたね。

 亮輔(結木滉星)とライブ終わりに喋っているシーンは、私が普段友達と喋っているテンションにしようと意識して、穏やかに喋っているシーンは普段の自分を意識していました。難しかったのは、亮輔の婚約者への嫉妬心や上手くいかないフラストレーションの加減です。それがあまりにもダークに見えてしまうと、誰も応援してくれなくなってしまうし、その具合が一番難しかったので、監督に相談しながら演じました。

――ギリギリのラインを攻めていたんですね。

 セリフがけっこう強烈なので(笑)。このドラマは一つのことを頑張ったら、もう少し進めるかなと思える、人の幸せを自分の幸せだと思って頑張る心情があると思うんですけど、撮影し終わってもどこか救われきれない、かわいそうだなと思ってしまう自分がいました。「頑張ってね」と自分自身に言うような気持ちでいたんですけど、最後に「マスカラまつげ」が、咲良と私の心を救ってくれたんじゃないかなと思いました。

――高梨さんの人生で音楽や映画に救われた瞬間は?

 いっぱいありますが、頑張りたい時に見たい映画や曲もあります。この間久しぶりに『千と千尋の神隠し』を観たんですけど、逆に落ち込んじゃって。

――それはなぜですか。

 こんな純粋な心を忘れてしまっていたのか、と気付かされて悲しい気持ちになりました。何度も観ている作品なんですけど、千(千尋)のような純粋な心が今の私にはあるんだろうかって。

周りの人をどれだけ大切に出来るか

木村武雄

高梨臨

――このドラマは主人公・咲良が結木滉星さん演じる亮輔と同窓会を離脱するところから人生が変わって行くのですが、高梨さんはこういった転機になった出来事は?

 原宿にキダム(※シルク・ドゥ・ソレイユの9番目の作品で移動公演の演目のひとつ)を観に行って、その時にスカウトされてこの業界に入ったので、キダムが転機になったと思います。そして、一つひとつの作品に出て、こんな感情があったんだと毎回気づかされるので、作品ごとに転機があるといいますか、人として感情が豊かになれていたらいいな、なれているんじゃないかと思います。

――高梨さんが役者として追求されていることは?

 役者として大事にしていることになってしまうんですけど、周りの人をどれだけ大切に出来るか、というのは芝居をする上で大切にしています。どの役をやっても自分の中の感情でしか表現出来ないので、どんなに他人のふりをしようが、想像上の偽物だと人の心は動かせないなと思っています。それを自分の経験の中から近いものを引き出し想像して、実際に役者さんとお会いして作り上げていくというやり方をするタイプなので、そのためには自分の周りにいる人をどれだけ大切にしていけるかが(演技に)反映されると思っています。

――役者魂みなぎる高梨さんが辛い時に頑張るコツは?

 (自分で)限界だと思っていても、実はもうちょっと頑張れるんです。私はフルマラソンに挑戦したことがあって、自分では「ここで限界だ」と思っても、トレーナーさんに「ここまで!」と言われると走れちゃうんですよね。全然限界じゃなかったんだなと知ったので、辛い時にそれを思い出して「まだ大丈夫」と役者魂と言いますか、“頑張る魂”として持っています。

(おわり)

番組情報

スターチャンネルEXにて独占配信中
8/13(土) BS10 スターチャンネルにてTV初放送

音楽:DREAMS COME TRUE
脚本・総監修:岡田惠和 脚本:渡邉真子、濱田真和
企画:スターチャンネル 制作:東北新社/MMJ (C)2022 東北新社

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木村武雄
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