男女ツインボーカル、トリプルギター5ピースバンドのHello Sleepwalkersが8日、愛知・名古屋CLUB UPSETで『Album Release Tour「夢遊ノ果テヨリ」』のアンコール公演を行い、ツアーを締めくくった。Hello Sleepwalkersはシュンタロウ(Vo&Gt) 、ナルミ (Gt&Vo) 、タソコ (Gt) 、マコト (Ba) 、ユウキ (Dr) の男女ツインボーカル、トリプルギター編成の5人組。2008年に結成され、2011年10月にデビュー。2018年より活動を休止していた彼らが、デビュー10周年となる昨秋に再始動。ツアーは昨年12月にリリースしたアルバム『夢遊ノ果テヨリ』を携え、2022年3月26日東京・Veats Shibuyaを皮切りにアンコール公演を含め全4公演をおこなうというもの。ライブは「夢遊ノ果テヨリ」の収録曲を中心に、代表曲「午夜の待ち合わせ」や「円盤飛来」、新曲などをパフォーマンス。アンコール公演の初日となった4月3日、東京・下北沢シャングリラでのライブの模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

愛してくれるみんながいるから僕らはここに立っています

Hello Sleepwalkers(撮影=Shingo Tamai)

 この日は一日雨だったが、会場となった下北沢シャングリラには多くのファンが駆けつけ、始まる前から会場は熱気で満ちていた。再始動しどんな音を我々に響かせてくれるのか、期待感に満ち溢れる。

 開演時刻になりSEが流れると、そのリズムに合わせオーディエンスがクラップで盛り上げる。メンバーが1人ずつステージに登場し、オープニングを飾ったのは「SCAPEGOAT」だ。再始動後、初のリリース作品として発表したナンバーで、ガッチリとオーディエンスの心を掴む。続いて、「午夜の待ち合わせ」、シュンタロウとナルミのツインボーカルのコントラストが際立つ「百鬼夜行」で会場のテンションは爆上がりだ。そして、ニューアルバムから披露された「虚言症」は、メンバーそれぞれの見せ場もあり、心地よいグルーヴで会場を席巻。

 シュンタロウは「僕らの復活を見届けてもらいたいとアンコール公演を開催しました。みんなの元気な顔が見れてめちゃくちゃ安心しました。去年で10周年で10歳になったので、10年前に書いた曲とかもやろうかな」と話し、「21」を披露。タソコのソロセクションから「天地創造」と、懐かしい楽曲でハードながらもノスタルジックな空間を作り上げていった。当時からのファンはきっと思い出が蘇った瞬間ではないだろうか。

 MCでは、アルバム『夢遊ノ果テヨリ』のレコーディングは自宅で行っていたという。メンバーで試行錯誤しながらの録音で、その中から「SCAPEGOAT」でマコトのベースを3人がかりで録ったという試みをこの場で再現。タソコがチューニングペグを回し音程を下げながら、マコトがグリッサンド(流れるように音高を上げ下げする演奏技法)、シュンタロウが録音ボタンを押す(この日は押す振りだけ)という連携技だ。さらにユウキのドラムは1日で全て録音したことなど、バンドのクリエイティブな一面が垣間見れたエピソードで、オーディエンスを楽しませた。

 ライブは中盤戦へ。テクニカルな要素が満載の「過去の色素」で改めてバンドの演奏スキルを感じさせ、ノリの良いビートでオーディエンスの体を弾ませた「電脳の海」と、ニューアルバムから立て続けに投下。中盤戦のハイライトといった盛り上がりを見せた。

 シュンタロウは「昔から変わっていない。流行りとか周りがどうとか関係なくて、自分たちが一番格好いい音を鳴らしてるぜ、という気持ちでやっていたんですけど、一つ違うなと思ったのは、好きでいてくれる人がこんなにも増えたことが一番変わったかなと思っています。Hello Sleepwalkersを愛してくれるみんながいるから僕らはここに立っています。ありがとう! まだここがゴールだとは思っていないし、ここからまた格好いい音楽を作ってみんなと一緒に鳴らしていこうと思っているので、11年、12年目、もっと先までガンガンスピードを上げていこうと思うので、手を離さずにしっかりついてきて下さい」と呼びかけ、ライブは後半戦に突入。

またライブで会いたい

Hello Sleepwalkers(撮影=Shingo Tamai)

 「一番でかい拍手ください!」とシュンタロウがオーディエンスを煽ると「神話崩壊」を投下。バンドの放つアグレッシブなサウンドに応えるかのようにオーディエンスの振り上げる拳にも力が入っているのがわかる。間髪入れずに「かかってこいよ!」と、盛り上がり必至の「猿は木から何処へ落ちる」へ突入。イントロでおなじみの<3,2,1... ignition,fire!>のカウントダウンをオーディエンスと共に行い、リフへと突入する一体感とその高揚感はライブならではの体験。そして、畳み込むように届けられた「20世紀少年」でボルテージは最高潮まで高まった。

 本編ラストはシュンタロウが参加するオルタナティブユニット・Yamato(.S)のセルフカバー「Fire(HSW Version)」を届けた。雄大なスケール感を持つ同曲はライブを締めくくるナンバーとして、これ以上ない空間を作り上げ、5人はステージを後にした。

 アンコールの拍手に導かれ、再びステージに登場した5人。お知らせとして6月9日に東京・新代田FEVERでファンクラブ主催のライブ『夢遊同盟presents「月齢ゼロ」』を開催することを発表。そんな嬉しいお知らせに続いて新曲を投下。メランコリックなギターのイントロのフレーズ、サビでのナルミのボーカルと、進化したHello Sleepwalkersらしさが詰め込まれた一曲だった。

 ラストは1stシングル「円盤飛来」を全身全霊のパフォーマンス。エンディングの演奏はノイズとダイナミックなビートで昇天するかのような空間を作り上げ、大団円を迎えた。ナルミは「またライブで会いたいので、ぜひ遊びに来てください」と投げかけ、ライブの幕は閉じた。

 あっという間の約90分間。小媒体のインタビューでシュンタロウはブランクもあるため演奏面での不安も吐露していたが、そんなことは微塵も感じさせないロックバンドのエネルギーに溢れたステージだった。筆者は約5年ぶりのライブとなったが、当時の記憶も思い出させてくれた最高のライブだった。新たなスタートを切ったHello Sleepwalkersの今後の活動に大いに期待したい。

セットリスト

Album Release Tour「夢遊ノ果テヨリ」

4月3日@東京・下北沢シャングリラ

01.SCAPEGOAT
02.午夜の待ち合わせ
03.百鬼夜行
04.虚言症
05.21
06.恋煩い
07.天地創造
08.過去の色素
09.電脳の海
10.神話崩壊
11.猿は木から何処へ落ちる
12.20世紀少年
13.Fire(HSW Version)

EN1.新曲
EN2.円盤飛来

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