舞台挨拶に登壇した松坂桃李、仲野太賀、今泉監督ら

 松坂桃李が20日、TOHOシネマズ 六本木ヒルズでおこなわれた、主演映画『あの頃。』(今泉力哉監督、19日から全国公開中)の公開記念舞台挨拶に登壇。舞台には共演する仲野太賀や今泉監督も登壇した。これまでリモートでの取材などが続いていたという、松坂は「みなさんに向き合って作品を届けられるのはすごく嬉しいです」と感慨深く語った。

 『あの頃。』は、松坂演じる劔(つるぎ)が、松浦亜弥の「□桃色片想い□」(□は居抜きハート)のMVを見たことをきっかけに、ハロー!プロジェクトのアイドルたちにハマり、オタ活にのめり込んでいく。個性的なオタク仲間と出会い、学園祭でのハロプロの啓蒙活動やトークイベント、また「恋愛研究会。」というバンドを結成しライブ活動をおこなうなど、くだらなくも愛おしい青春の日々を謳歌する。しかし時は流れ、仲間たちはハロプロとおなじくらい大切なものを見つけて次第に離れ離れになり、劔もやがて大事なものを見つけていく青春ドラマ。

松坂桃李

 この日の舞台挨拶には山中崇、若葉竜也、芹澤興人、大下ヒロト、お笑い芸人のコカドケンタロウも参加。なおその模様は、ライブビューイングで全国156館に生中継された。登壇陣はモーニング娘。の「ザ☆ピ~ス!」に乗って登場。松坂は「いままで(イベントや取材は)リモートが続いていたので、こうやってみなさんに向き合って作品を届けられるのはすごく嬉しいです。いいもんですねぇ…」としみじみと喜びと感謝の思いを口にする。

 これから映画を鑑賞する観客を前にして「みなさんがどういう風に受け止めるのか? 既に映画を見たというコカドさんの知り合いが、冒頭で泣いたらしく…(笑)。いろんな角度から刺さる部分があるんだなと思います」と笑顔で作品を送り出した。

 仲野は「去年の今頃撮影してたんですが、この個性豊かなメンバーで本当にたわいもない話でワチャワチャして、穏やかな時間を過ごしていました。それがこうして大きなスクリーンで公開されるということで、どんなふうに受け止められるのか? ドキドキしつつ、僕が演じたコズミンのモデルになった方がどんな気持ちでいるのかと想像してしまいます」と思いをはせる。

 山中は「こいつら、アホだなぁとか、ダメだなぁとか、でもわかるなぁ…という瞬間をたくさん見つけていただきたいです」と呼びかけた。

 コカドは開口一番「キングコングの西野亮廣です。『えんとつ町のプペル』…」とボケて、一斉に「ちがう! ちがう! ちがう!」とツッコミを浴び、会場は笑いに包まれる。

 今泉監督はライブビューイングの会場を含め「多くの方が劇場に足を運んでくださっているのが確認できて、ありがたく思っています」と安堵の表情を浮かべ感謝の思いを語った。
 
 トークのさなか、松坂が「そろそろ突っ込んでいいですか?」とおもむろに後ろを振り向き、話題を振ったのが、芹澤のファッション。スーツ姿になぜかピンクのスリッパで登壇した芹澤だが、「これは中野ブロードウェイで」自前で購入したというモーニング娘。のグッズのスリッパ。さらに、スーツの裏地もモーニング娘。のプリントが施してあり、これには客席から拍手がわき起こった。

 ここまで愛のある仕掛けを施しておいて、周囲から振られるまでは決して自らは明かそうとしない芹澤に、若葉からは「尋常じゃない汗かいてる(笑)」と突っ込まれ、松坂からも「毎回、勝手にやられてるのにツッコミ待ちで、誰かが『どういうことですか?』って言わないと言ってくれないんです(笑)」と芹澤の一面を明かしていた。

 また、これまでも松坂、仲野らは本作のプロモーションのイベントなどに参加してきたが、大下が参戦するのはこの舞台挨拶が初めて。実は、この日の登壇は、これまで一同が楽しそうにトークを繰り広げているのを見て、大下が「自分でお願いして」決まったのだという。

 松坂は現場で「大下さんを囲んで話すこともあって、輪の中心だった」と大下がムードメーカーだったと振り返り、今泉監督は「みんな、めちゃめちゃイジってた」とにやり。登壇陣の証言によると、現場でなぜか大下は“ウソつき”扱いされていたとのこと。

 その真相について、大下は「現場で先輩のみなさんは、ごはんを多く食べる後輩が好きだと聞いて、若葉さんが『米何合くらい食べるの?』と聞いてくださったとき、『2.5合くらい食べられます』と言ってしまい、その噂が広まってしまって…。かなり話を盛ってしまいました」と苦笑交じりに明かしていた。

 そんなメンバーたちだが、松坂曰く「チームワーク抜群で、自然と歌の練習が始まったり、年齢差を感じさせない一体感があった」とのことで、仲野も「テーマを設けずともいろんな話が盛り上がって楽しかった」と述懐する。

 最年長の山中も「気づいたら僕が一番年上だったんですけど、ボーっとしてたんじゃないですかね(笑)?」とまさしく年齢を意識せず自然体で現場にいられたと明かす。

 一方で、ここでも先ほどのファッションに続いて、芹澤に一同から一斉にツッコミが。コカドが「みんなで歌う時にひとりだけ全く声を出してなかった(笑)」と暴露し、芹澤は「歌ってたよ(笑)!」と慌てて反論するも、若葉が「原曲どおりに歌うのはキーが高くてなかなかしんどかったんですけど、みんな歌ってるなぁと思って見てたら、芹澤さんだけ口パクでした(笑)」と証言。

 ちなみに歌に関しては、今泉監督からも「松坂さんは、“歌NG”説みたいなことをなんとなく聞いてたんですけど、今回はガンガン歌ってくれたので、どういう心境だったんですか?」と質問が。松坂は「苦手なんですけど、これは致し方ないなと。役を通して歌うのならアリかなって解釈でした。作品でそういうことがあったら、やると決めています」と説明し、今回の“恋愛研究会。”のメンバーでの歌に関しても「CDは出ません!」とファンにはちょっと残念な宣言も。

 とはいえ、今回の共演者たちへの愛着はかなり強いようで「このメンバーでちがう作品をやってみたい」と再共演に意欲を示していた。最後に松坂は「劇中でも出てきますが“中学10年生”のようなワチャワチャした空気がたくさんの人に見られると思うと若干、こっ恥ずかしい気もしますが、みなさんが体験してきたそれぞれの“あの頃”があると思うので、それを思い出すきっかけになればと思います。『あの頃があったから、いまがいいよね』と感じてもらえたらいいなと。ゆるりと楽しんでいただければ幸いです」と語りかけ、舞台挨拶は幕を閉じた。

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