King Gnu「泡」は不思議な役割を担った主題歌、『太陽は動かない』羽住監督
INTERVIEW

King Gnu「泡」は不思議な役割を担った主題歌、『太陽は動かない』羽住監督


記者:鴇田 崇

撮影:

掲載:20年05月24日

読了時間:約5分

 心臓に爆弾を埋め込まれた諜報組織エージェントの活躍を描いた吉田修一の小説“鷹野一彦シリーズ”を、連続ドラマと映画の連動で一挙に映像化するメガプロジェクトの連続ドラマ版『連続ドラマW 太陽は動かない -THE ECLIPSE-』の放送がスタートする。本ドラマ版は、藤原竜也、竹内涼真というトップキャストを初共演で迎え、映画版とは異なるストーリーで、近日公開予定となっている映画版へと連なる仕掛けも随所にあるという注目作だ。その超大作を、「MOZU」「海猿」シリーズなど、日本国民ならば誰もが知っているようなエンターテインメント超大作を次々と放った羽住英一郎監督が演出した。撮影中、本作の主題歌である昨年1月のメジャーデビュー以降、破竹の快進撃を続けるKing Gnuの新曲「泡」を聴きながら過ごしたという羽住監督に、本作にまつわる話を聞いた。【取材=鴇田崇】

最大のチャレンジ

――本作は映画編とあわせて巨大なプロジェクトだと思いますが、今回のドラマ編の最大の(監督としての)チャレンジは何でしたか?

 劇場版とドラマ版、どちらかが先に存在してからのドラマ化や映画化ではないので、観客がどちらから観たとしてもシリーズとして楽しんで貰う事が出来、且つ後から観た作品の方がスケールアップしている様に感じられる作品となる様に仕上げるのが最大のチャレンジでした。

――監督が思う、最高のアクション映画とは? そして、その意味では、今回の作品の自己採点は?

 全てにおいて冗長で無い事が大切だと思います。アクションの技や凄さを見せるアクションシーンでは無く、そこに観客が感情移入して観れるドラマが存在していて、純粋に手に汗握れるアクションシーンになっているアクション映画が良いと思います。

 自分の作品でも常にそうである様に心がけているので、今回のドラマ版・劇場版通して数多いアクションシーンを皆さんがどう感じて観てくださるか不安もありますが、自信もあるので楽しんでいただければと思います。

――スポンサーの影響を受けないWOWOWだからこそ可能になった表現・演出・描写などがありましたら教えてください。

 今まで監督をしてきて、スポンサーが存在する地上波の仕事でも演出面で不都合を感じた事が特には無かったので特にいつもと変わりないですが、今回のWOWOWプロデューサー陣が一貫してエンタメに真摯でブレない猛者達ばかりだったので、監督としても思い切り直球勝負で投げきる事が出来ました。

藤原竜也は「プロ」、竹内涼真は「若者のリアリティ」

――諜報組織「AN通信」のエージェント鷹野役の藤原竜也さんの魅力、俳優としての才能、一緒に仕事をした感想などについて、現場でハッと気づいたようなエピソードなどがあれば、あわせて教えてください。

 とにかくプロフェッショナル。心臓に爆弾が埋め込まれているエージェントという、見ようによっては荒唐無稽な主人公を見事にリアリティなハードボイルドテイストの世界観に存在させて貰いました。

藤原竜也(c)吉田修一/幻冬舎 (c)2020 WOWOW

――新人の田岡役の竹内涼真さんの魅力、俳優としての才能、一緒に仕事をした感想などについて、現場でハッと気づいたようなエピソードなどがあれば、あわせて教えてください。

 撮影前から数カ月かけての肉体造りも万全で、全編吹き替え無しのハードなアクションシーンも全力で楽しみながら体当たりで挑んでいました。特殊なエージェントの世界観の中で、若者のリアリティを吹き込んでいただけたと思います。

藤原竜也(c)吉田修一/幻冬舎 (c)2020 WOWOW

――この上記おふたりが揃ったことでのシナジー、作品にもたらしたプラスの効果について教えてください。

 事務所の先輩後輩でもあるので、適度な緊張感と距離感がありつつ互いを高めあったり、長い撮影期間だったので、支え合ったりもしていたのかなと思います。画的にも非常にスクリーン映えする完璧なバディで、作品の仕上がりが非常にリッチになったと思います。

羽住英一郎監督

King Gnu「泡」は句読点ではなくハイフン

――主題歌を担当したKing Gnu、曲「泡」についての印象、この作品にどういう意味をもたらしてくれたと思いますか?

 劇場版ドラマ版共にエンディングで流れるのですが、それはエンディングでありながらもう一方の作品への架け橋にもなりうるという意味で「句読点丸」ではなく「ハイフン」の様な不思議な役割を担った主題歌でありつつ、シリーズ全てを観終えるまで観客にその全貌を掴ませてくれない素晴らしい楽曲だと思います。

――主題歌とは別に撮影中、たとえば気分を上げるために聴いていた音楽、勝負曲などはありましたか?

 約5カ月に渡る長い撮影期間の割と早い段階で、プロデューサー陣と主題歌はKing Gnuで行ければという話をしていたので、実は彼等の音楽をガッツリ浴びる様に聴きながら過ごした撮影期間でした。

――この作品の、どこに惹かれたか、どこに注目してほしいか、教えてください。

 吉田修一原作の小説もシリーズとして三作ありますが、小説を既読でも未読でも、そしてドラマ版劇場版どちらから観たとしても、最終的には『小説・ドラマ・映画』その全てを楽しめるようなシリーズを目指した映像化シリーズなので、たっぷりとその全てを堪能して頂きたいです。

番組情報

『連続ドラマW 太陽は動かない -THE ECLIPSE-』
全6話、毎週日曜よる10時、第1話無料放送
5月24日スタート

▽物語

 ニュース配信会社を隠れみのに暗躍する諜報組織「AN通信」のエージェント鷹野(藤原竜也)と新人の田岡(竹内涼真)は、3年後に開催予定の国際都市博覧会の建設地に潜入していた。建設地選定をめぐってはさまざまな謀略が動いており、政界のフィクサー中尊寺(石橋蓮司)と秘書・永島(吉田鋼太郎)からの依頼で、その情報戦に一役買っていたのだ。しかしその現場は爆破され、2人は上司・風間(佐藤浩市)の指令で首謀者の調査を開始。同僚の山下(市原隼人)の協力で見えてきたのは、中尊寺側の思惑に介入しようとする中国企業勢力と、そこに雇われた元AN通信エージェント桜井(安藤政信)の存在だった。一方、NPO職員の落合(多部未華子)は、政界の陰謀を追って危うい接近を試み、無関係に思われた二世議員・桐野(柿澤勇人)までもが、暗躍を始める。やがて、都市博開催をはるかに超える巨大利権の存在が明らかに…。

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