ラストアイドル間島和奏「同じにしたくなかった」問うたバトルの意義
INTERVIEW

ラストアイドル間島和奏「同じにしたくなかった」問うたバトルの意義


記者:木村武雄

撮影:

掲載:20年04月19日

読了時間:約3分

<連載(全5回):「愛を知る」それぞれの戦い(3)間島和奏>
 ラストアイドルが3作ぶりに原点回帰する。8thシングル『愛を知る』の表題曲歌唱メンバーは、総勢41人が参加した選抜オーディションバトルで決めた。更なる飛躍を目指した「大人サバイバー」や「青春トレイン」では団結力やグループの中での個々の役割、協力し合うことが求められた。それを経ての本作は何を意味するのか。オーディションバトルで上位5位に入ったメンバーに思いを聞いた。第3弾は3位だった間島和奏(19)。【取材・撮影=木村武雄】

 3位と発表されたとき、しばらく沈黙したのちに声を振り絞るように「ラストアイドルをもっと大きくしたいです」と語った。少ない言葉に込めた思いは大きい。

 ファーストバトルは立ち位置1番でのスタートだったが、阿部菜々実に敗れてその座を逃した。セカンドユニット「Someday Somewhere」でデビューした直後に足を骨折。2度目の挫折だが、間島は「怪我しても、包帯をしてそれを靴下で隠して踊るつもりだった」と振り返っていることからみても強い意志、責任感が伺える。

 この件を通して感じたのは「仲間の支え」。もとから持っている性格に加え、この経験が彼女の活動の根幹を支えているように感じる。「仲間のために…」。

 総勢52人全員で初歌唱したシングル「大人サバイバー」。日本体育大学名誉教授でもある清原伸彦氏指導のもと団体行動に挑んだ。清原氏から直々に指揮に指名されたのは間島。戸惑いもあったがそれを引き受けた。自身の呼びかけが全体の動きを決める。最初はうまくいかずに涙を流した。しかし、特訓を重ねてその大役を全うした。この時もきっと「仲間の支え」を感じただろう。

 団結力が高まった「大人サバイバー」、そして「青春トレイン」。だからこそ、個々の戦いとなる今回の選抜オーディションバトルは否定的だった。

 「選抜制は賛成でしたが、それをバトルで決めることには反対的な意見でした。2019年はラストアイドルが他のアイドルに勝てるようにならないといけない、という意識が皆の中で芽生えてきたのに、それを元に戻してまた内側で争わないといけないのかと…。ラストアイドルみんなで一つになって頑張ろうという感じだったところに、バトルでしかも立候補。みんなに宣誓布告するようなものじゃないですか。それがすごく嫌で。せっかく団結力を高めたのに」

間島和奏

 自身が仲間に支えられていることを実感し、更には、団体行動の指揮という立場から、メンバーの結束力向上を感じていたからこその意見といえる。そうしたこともあり、当初は立候補するかも悩んだ。苦渋の決断だった。

 「今までのバトルと同じにしたくないと思いました。ただメンバー内で選抜を巡って争うのではなくて、ラストアイドルが大きくなるための一つのステップアップになれたらいいなと思いました」

 勝敗が決まるオーディションバトルでは必ず敗者が生まれる。それは自身になるかもしれない。敗者も含めて一つのグループであることを強調したかった。「ただの戦いではなくて、グループとしてステップアップするための戦いにしたいと思いました」

 それを歌に込めた。審査基準の一つ歌唱で選曲したのは、ラストアイドルのアンセム「バンドワゴン」。

 「ラストアイドルが大きくなれば、選抜でも非選抜でも日の目が当たる機会は増えると思うんです。みんな選抜に入りたいと思うし、逆にセンターを狙っていって欲しいと思っていますし、それは必要な事。でも、それ以前に『ラストアイドルを大きくしたいという意思はみんな一緒だよね』ということを再確認したくて」

 うまい下手を度外視して感情を込めた。「その思いを伝えなきゃというのもありましたし、自分自身に不安もあって。気持ちがいっぱいいっぱいになって泣いてしまいました」

 勝敗が決まり、選抜を逃したメンバーの中にはSNSなどで絶望に淵に沈んだ胸中を語るものもいた。それでも必死に前を向いて歩こうとしている。絶望を2度経験した間島だからこそ分かる敗者の痛み。間島は「愛を知る」は「ライブの起爆剤になる」と自信を示し「なんとなく知っているという方を捕まえに行きたい」と意気込みも語っている。

 「前へ進め!」――、団体行動で響き渡った号令。今は役割を変え、ラストアイドルが一丸となって新たなステージへと向う合図となるだろう。

 次回は長月翠さん。

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