<連載(全5回):「愛を知る」それぞれの戦い(1)大森莉緒>
ラストアイドルが3作ぶりに原点回帰する。8thシングル『愛を知る』の表題曲歌唱メンバーは、総勢41人が参加した選抜オーディションバトルで決めた。更なる飛躍を目指した「大人サバイバー」や「青春トレイン」では団結力やグループの中での個々の役割、協力し合うことが求められた。それを経ての本作は何を意味するのか。オーディションバトルで上位5位に入ったメンバーに思いを聞いた。第1弾は5位だった大森莉緒(18)。【取材・撮影=木村武雄】
5位と発表されて驚きの表情をみせた。溢れる涙、声を詰まらせながら思いを口にした。
「ラストアイドルのセンターを目指して頑張ると強い気持ちで臨みましたが、本当はすごく不安で選ばれなかったらどうしようと考えていました。こういうところに立たせて頂いて本当に幸せです。選んで頂いてありがとございます。精いっぱい頑張ります」
実は、スピーチで何を話したのかはあまり覚えていないという。しかし、涙の感覚だけは今もしっかり体に残る。「色々な思いが一気に込み上げてきて勝手に涙が出ていました」
ファーストシーズンで大石夏摘に敗れ、セカンドユニット「Love Cocchi」としてデビューした。注目されていたが、表題曲でフロントメンバーに立つ機会には恵まれなかった。
「Love Cocchiは、ラストアイドルの暫定メンバーが1人もいないグループ。正直に言えば、知名度もないし、人気もない。最初は不安もありました。ラストアイドルが何枚もリリースするなかでもフロントの方には行けずに悔しい思いをしてきました」
約2年の活動でようやく掴んだ立ち位置。「やっと8枚目で、ここに立たせてもらって、幸せを感じています」。その言葉に重みを感じる。
オーディションバトルは大森をはじめ、これまでフロントの機会に恵まれなかったメンバーにとっては千載一遇のチャンスだ。ただ、仲間と手を取り合って戦ってきた「大人サバイバー」や「青春トレイン」とは違い個々の戦いに不安や孤独感があった。それでも前に進めたのは「チャンスを掴みたい」という強い思いがあったから。
「みんながライバルだから『頑張らなくちゃ!』と思って、前向きに捉えていました。選抜18人の中に絶対に入りたいと思って、オーディションまでたくさん練習して、思いや努力全てを詰め込みました」
オーディションバトルの審査基準は、ダンス審査、歌唱審査、一言パフォーマンス。
「歌は、練習の時のほうが上手く歌えていたと思いました。自分の100%は出せなかったかもしれないけど、後悔はなかったです」
そうして掴んだ夢。「嬉しさもありますが、ここに立つのが初めてなので不安もあります」。そう語りながらも笑みを見せる大森の表情にどこか緊張の様子もうかがえる。それは自覚の表れか。「ここに立たせてもらったからには自分をアピール出来るように頑張りたいです」
「愛を知る」。自身にとっては転機ともなる曲だ。「明るくてみんなが笑顔になれる曲。沢山の方に聴いてほしいと思います。そして早くライブで歌いたいです」。歌詞の一節にある<なんて素敵な世界だろう>。それを実感しているのはほかならぬ彼女自身だろう。
次回は安田愛里さん。