わーすた「節目でもありここからがスタート」結成5周年新たな船出
INTERVIEW

わーすた

「節目でもありここからがスタート」結成5周年新たな船出


記者:村上順一

撮影:

掲載:20年03月25日

読了時間:約13分

 結成5周年を迎えた世界に照準を合わせ活動するデジタルネイティブ世代アイドルのわーすた(ざ・わーるど・すたんだーど)が3月25日、初のベストアルバム『わーすたBEST』をリリース。昨年10月にはグループ初のフリーライブ『わーすた FREE LIVE “ゆうめいに、にゃる!!!!!”』を代々木公園野外ステージで開催し、3000人以上を動員するなど夢に向かって邁進するわーすた。キャリア初となるベストアルバムには新曲「グレープフルーツムーン」や新録「ちいさな ちいさな -2020 ver.-」も収録し、「“わーすた通”だ」と思ってもらえるようなベストに仕上がったという。インタビューでは少女から大人へと変化したところをメンバーそれぞれに語ってもらい、これまでの葛藤から未来への展望について話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】

5年で大人になったと感じるところは?

――結成5周年どのような心境ですか。

廣川奈々聖 気持ち的には3年目ぐらいの感じなんですけど、気がついたら5年経っていたという感じです。中身が詰まっていたから、あっという間にここまできていました。ファンの皆さんも「もう5年か」と言ってくれる方も多いので、皆さんも私たちと同じ気持ちなんだなと思います。自分では大人になったという実感はあまりないんですけど、メンバーそれぞれ、この5年間でいい大人に成長しているなと最近感じます。

廣川奈々聖

――メンバー同士で大人になったと感じるところはありますか。

坂元葉月 梨々華の結成当初のイメージは、寝ることやお菓子が大好きで無邪気な女の子というイメージでした。ライブのMC中なんか、一人“すん”って感じで放心状態みたいな。パフォーマンス中とMCの切り替えがすごかったんです。そこから活動していく中で、自分に自信がなくて悩んでいた時期もあったと思うんですけど、みんなが見ていないところで 、努力していることを感じる瞬間があります。それによって芯が通ってきたと感じていて、今も無邪気さは残っていますけど、良い所を残しつつ芯のある大人の女性になってきていると思います。

――MC中に“すん”としているときはどんな状態なんですか。

小玉梨々華 一番何も考えていない状態です。ステージ上で無になってしまってはダメなんですけど(笑)。

――小玉さんから見た廣川さんはどう大人になって来ていると思いますか。

小玉梨々華 奈々聖は外見も内面もいろんな面で大人になっているなと感じています。結成当初からリーダーをしてくれていることもあって、中心となって引っ張ってくれているんですけど、ここ1〜2年は特にグループへの向き合い方とか、すごいものがあります。そこから私たちも色々な気づきがあって、メンバーを刺激してくれる存在でもあるし、さらにリーダーとして頼れる存在になったなと感じています。奈々聖がいるから私もステージで無になれるんです。

廣川奈々聖 私の美里の印象はこれまでアイドルの時も普段も同じだったんです。わーすたになって一緒に活動していく中で、2人の松田美里をうまく使い分けていて、表に立つときは「私はアイドル」ということがわかって表現しているのがすごいなと。そこが一番変化した所だと感じています。あと、何をやっても許されるキャラに成長していて、それはわーすたで唯一無二のキャラだと思います。美里は鼻をほじっても許されるんです(笑)。

松田美里 わーすたは鼻をほじっても大丈夫なので(笑)。私はあまり作り込んだアイドルというのは好きではなくて、プライベートの自分とアイドルの自分、自然と住み分けが出来るようになってきました。アイドルになる前はすごくネガティブだったんですけど、アイドルになって人も好きになって、そこから松田美里が新しく誕生したぐらいの感覚があるんです。

――でも、ネガティブだった松田さんがアイドルになろうと行動に移した時点ですごいことだと思います。

松田美里 確かにそうかもしれないです。もともとキラキラしたものや、楽しいことは大好きだったので、アイドルへの憧れが強いまま、この世界に飛び込んでしまった感覚はあります。

――松田さんからみた三品さんが大人になってきているなと思うところは?

松田美里 瑠香は昔から大人なところと子どもなところがハッキリしていて、遊ぶときは遊ぶし、しっかりしなきゃいけない時はちゃんとするようになってきて、わーすたで発言するときは的確な意見を言ってくれたり、すごく大人っぽい面もあるんです。最近大人と子どもの振り幅が広がってきているなと感じています。

――大人と子どもの狭間ともいえる三品さんは14歳からわーすたで活動されていますが、結成当時のことって覚えています?

三品瑠香 それがあまり覚えていないんです…。もちろん要所要所は覚えているんですけど、細かいことは忘れてしまっていて。昔の映像とか見るとめっちゃ元気にしゃべっているなと思います(笑)。たぶんそれを見て大人しくしようと思ったら、今度は元気がない感じになってしまって、うるさかった自分から学んで今があるんです。でも、近年は行き過ぎておばあちゃんみたいな感覚になっちゃって。

三品瑠香

――振り幅が大き過ぎますよね(笑)。さて、三品さんから見た坂元さんの大人になったと感じる部分は?

三品瑠香 もう葉月と私は真逆なんです。当時の私からみたら葉月はすごくお姉さんで、周りをよく見ていて気を遣えて良いお姉さんというのは今も変わらずなんですけど。その中で葉月は人とは違ったことが好きでちょっとそれが特殊なんですけど、今まではそれを認めなかった部分もあったのですが、しっかり認めることが出来るようになって(笑)。自分自身をもっと前に出せるようになったことで、逆に子どもっぽくなったなと感じています(笑)。

――それってもしかして皆さんが成長してきたことで、坂元さんが皆さんに対して安心できるようになったのかもしれないですね。

坂元葉月 それはあるかもしれないです。昔は自分が最年長ということを重く受け止め過ぎて、一番しっかりしていなきゃいけない存在なんだろうなと思っていたんですけど、メンバーが大人になってきた安心感からか、もうはっちゃけてもいいかなと(笑)。なので今は楽しく生きています!

“わーすた通”思ってもらえるようなベストにしたい

わーすた

――さて、『わーすたBEST』が完成しましたがベスト盤って皆さん好きですか。

三品瑠香 好きです! 最近は椎名林檎さんのベストアルバムを聴いています。いろんな曲がある中で、表題曲が表題曲になったことがわかるんです。ベストって初めて聴いてもそのアーティストやグループのことがよく知れるし、これまでの作品を全部持っている人でもなぜか欲しくなる不思議な感覚もあって、ベスト盤に魅力を感じています。

――今回どんなベストアルバムしたいと思いましたか。

廣川奈々聖 去年の10月に、フリーライブをやらせていただいて3000人以上の方が来ていただけて、それをきっかけにわーすたを知って好きになって、ワンマンにもチケットを買って行きたいと思ってくれた結果が渋谷公会堂(LINE CUBE SHIBUYA)のソールドアウトにも繋がっていて、ライブに近い日程でベストもリリースさせていただけるということで、ライブもベストを意識したセットリストになっているんです。初めて手に取ってくれた方がこれを聴いた時に「“わーすた通”だ」と思ってもらえるようなベストにしたいと思いました。

 DISC1は表題曲をたくさん集めているので、これを聴いておけば間違いないものになっていますし、DISC2はわーしっぷ(ファンの呼称)の皆さんに投票していただいて決まった10曲なので、私たちも自信を持ってこれがベストだとお送りしています。投票なのでどんなバランス感覚になるのかと思っていたんですけど、本当に良いバランスになったので、今まで以上に多くの人に届いて欲しいです。

――意外性のある曲が投票されたり?

廣川奈々聖 意外な曲はなかったんですけど、もっとライブ映えするようなアップな曲が多くなるかもと思っていましたが、意外とバラードもしっかり入っていたので、わーすたのそういう部分も好きになってくれている方が多いのかなと感じて、私たちの自信にもなりました。

――「ちいさな ちいさな -2020 ver.-」は再録されていますが、なぜこの曲を新録しようとなったのでしょうか。

廣川奈々聖 ファンの方からの投票で入った曲なのですが、もともとは私と瑠香の2人でほぼ歌っていて、サビは全員という構成になっていました。この曲は私たちのお披露目ライブでNHKホールで披露した曲なんですけど、ファンの方からも愛されている曲ということもあって、今回メンバー5人の声を活かして、この曲をもう一度録り直せば5周年のタイミングでよりわーすたの魅力も出るんじゃないかなと思いました。

――ソロパートが増えたんですね。坂元さん歌ってみていかがでしたか。

坂元葉月 歌い直すとなった時にたまたまスマホに入っていた「ちいさな ちいさな」のデモを見つけて。それで、2人のイメージとデモを改めて聴いて感じた、自分だったらこう歌おうというのが出来ました。ライブ中も声には出してはいないんですけど、踊りながら常に歌っていたんです。それもあってレコーディングで歌える喜びがあって、すごく楽しかったんです。それが伝わったのかディレクターさんから「この曲好きなの?」と聞かれるくらいで(笑)。そこからディレクターさんとすごく深いところまで考えて歌うことが出来たので、今自分ができる一番いい表現が出来たんじゃないかなと思います。

坂元葉月

小玉梨々華 お母さんへの感謝を持って歌っていたんですけど、この曲が出来たときはまだみんな上京していなかったんです。それから5年経ってお母さんが一緒に上京してくれて、それもあってお母さんの偉大さや大切さに気づけたので、このタイミングで全員の声で再録出来たことがすごく嬉しくて。今歌う価値のある曲だなと感じています。

――小玉さん、これまでに親孝行はしました?

小玉梨々華 う〜ん、どうだろう? お母さんは「スタンドアロン・コンプレックス」という曲がすごく好きで、ライブを観に来てくれたとき「スタンドアロン・コンプレックス」を歌うと、お母さんは「親孝行してくれた!」といつも言っていますけど(笑)。

廣川奈々聖 そこは「ちいさな ちいさな」であって欲しかった(笑)。

――美里さんもこの曲を歌唱してみてどんな想いがありますか。

松田美里 私も葉月と同じで心の中でいつも歌っているんですけど、曲自体が大好きで、初めて聴いた時から温かい良い曲だなと思っていました。この5年間で奈々聖と瑠香がしっかり作ってきてくれた曲でもあるのですが、そこに寄せるのではなくて、違った「ちいさな ちいさな」になれば良いなと思いました。この5年間で私たちパフォーマンス組は皆さんに歌よりもダンスを見てもらっていたと思うんですけど、こうやって声が届くのというのは嬉しいなと思いました。

――三品さんは録り直してみていかがでした?

三品瑠香 歌割りが変わったということもあり、改めてレコーディングし直すというのは緊張しました。以前とは違うパートを歌わせていただいたということもあって、前とは違った表情を出せるか、ということをすごく考えたんです。5年前とは声も歌い方も自然と変わって、もっと皆さんに伝わるようにすることを意識して歌ってきました。当時は3曲ほど一気にレコーディングしたんですけど、歌うことに必死でしたし、不安もあったんですけど、今回は堂々と歌うことが出来たと思っています。

廣川奈々聖 この5人で歌えるということが嬉しかったと同時に、3人の歌が上手いのは知っていたのでプレッシャーもありました。ずっと歌っている側でもあったのでどんな風にしたら、成長を感じてもらえるのかなと葛藤している部分もありました。最初レコーディングした時が中学生だったので、子ども目線と言いますか、「お母さんありがとう」という感じの曲だったんですけど、今回は大人になった自分から改めてありがとうと感謝の気持ちを込められたんじゃないかなと思います。それを歌声から感じてもらえると思います。

「グレープフルーツムーン」は今のわーすただからこそ歌える曲

――今作には新曲の「グレープフルーツムーン」がDISC1の最後に収録されています。このタイトルにはどのような想いが込められいますか。

廣川奈々聖 “グレープフルーツムーン”とは満月のことで、私たちが5年間駆け抜けてきた中で、誰かに頼ったりするだけではなく、自分の手で夢を掴みに行こう、叶えようと強い意志を歌った曲なんです。それぞれ聴き方によって変わると思うんです。最初私は明るい曲には聴こえなくて、その時の心情や歌詞に目を向けるポイントで明るい曲にも聴こえたり、聴く時のタイミングでいろんな捉え方ができる曲になったなと思います。

坂元葉月 私は前向きな曲だなと感じていて、<あの頃より近いグレープフルーツムーン>という歌詞を見た時に、自分にとって夢はすごく遠い存在で、ずっと追い続けているものではるか向こうにあるものだと思っていました。その夢も今ではちょっと近くなっているということを、この歌詞を見て気づきました。それが今の自分の心情だったり、わーすたの今の状況に当てはまるのかなと思って。

――今の状況というのは?

坂元葉月 フリーライブでどれくらいお客さんが集まるのか不安だったり、そのあとの目標をどうしたらいいのかわからなかったり。でも3000人以上集まっていただけて、自分が思い描いていた夢に近づいたんじゃないかなと思えたんです。レコーディングも気持ちを明るくして歌ったので、ラストのサビでみんなの声と合わさった時が楽しすぎてすごく気持ち良かったです。ライブでもこの曲の良さを伝えていきたいと思いましたし、ファンの方の背中を押せる曲になったらいいなと思いました。

――ライブの最後にこの曲が来たら胸にきますね。

松田美里 エモーショナルな曲が好きなので、この曲が最後にきたらすごくいいなと思いました。

廣川奈々聖 コーラスがあるんですけど、ファンの方と大合唱するのが今の夢でもあります。

小玉梨々華 <『世界』を変えてみたいんだ>と前向きで決意が感じられる曲だなと思いました。ファンの方も5年が経って私たちがどういう気持ちなんだろうとか、ここからどうしていくのかと気になっている方もいると思うんですけど、SNSやブログのような文章ではなくて、この曲で伝えられることがあるなと思えるくらい、私たちの心情だったりまだまだ行くぞという想いが詰まっているので、大切にしていきたい1曲です。

小玉梨々華

三品瑠香 自分が感じた悔しさをしっかりと受け止めている歌詞だと思いました。私の原動力は負けず嫌いなところでもあるので、この歌詞の心情に近いと思いました。ただひたむきに前を向いて頑張っています、というだけではなくて、過去の気持ちも持って前を向いているということが伝わってきます。わーすただからこそ歌える曲なのかなと思いました。

――悔しい気持ちをバネにして今がありますからね。特にどんなことが悔しかったですか。

三品瑠香 2017年に行われたZepp DiverCityでのライブ『The World Standard ~夢があるからついてきてね~』以降の1〜2年です。それはすごく伸び悩んだ時期なんです。

松田美里 私は近い存在の人からの言葉に弱くて、伸び悩んだ時期にかけられた家族からの言葉とか響くものがありました。父は活動に全肯定ではないので。「しっかりしなさい」とか「やめたほうがいいんじゃない」と言われることがあって辛い時期もありました。それで現実逃避したくなってしまったり...。

 伸び悩んだ時期に離れてしまったファンの方もいたのですが、その人たちにまた観にきてもらえるような活動をしたいと思えるようになりました。それは色んな人のおかげでわーすたは活動できているので諦めたらダメだと思って、周りの人のおかげでポジティブな自分を取り戻せたんです。

松田美里

――最後に2020年、どんな姿をファンの皆さんに見せていきたいですか。

廣川奈々聖 5周年は節目と言われていて、渋谷公会堂(LINE CUBESHIBUYA)という自身最大キャパに挑戦させていただけるというタイミングも同時に来て、節目でもありまたここからがスタートなのかなと思っています。ファンの方が「わーすたを大きな会場で観たい」と言ってくれていたり、昔ファンだった方もこのタイミング「また観たい」と戻って来てくれた方も多いんです。ずっと応援してくれている方と新しいファンの方とで、またここからスタートできる気がしていて、私たちももっと皆さんに寄り添って届けていきたいと思っているので、2020年はわーすたを新しく始められたらいいなと思っています。

(おわり)

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