世界に照準を合わせ活動するデジタルネイティブ世代アイドルのわーすた(ざ・わーるど・すたんだーど)が11月25日、ミニアルバム『What's "standard”!?』をリリース。 UNISON SQUARE GARDENの田淵智也が、作詞作曲のリード曲「清濁あわせていただくにゃー」をはじめとする全5曲。バンドサウンドをコンセプトとした、わーすたの新しい一面が見れる1枚に仕上がった。インタビューでは、今年オンラインで開催されたTIF(TOKYO IDOL FESTIVAL)での思い出から、今作の制作背景、これからのわーすたの意気込みを聞いた。【取材・撮影=村上順一】
もっとカッコいいわーすたを届けていきたい
――今年のTIFはオンラインでしたが、いかがでしたか。
廣川奈々聖 生でやれることに越したことはないんですけど、TIFは日本最大級のイベントということもあり、ステージが遠いんです。初めてTIFを観たという方も多かったので、オンラインの利点もありました。今回、新衣装のお披露目だったり見て欲しかったステージでもあったのですごく良かったです。ステージ数も多かったのでやりたかった曲も出来ましたし、メンバーと考えたセットリストもすごくそのステージに合うものをパフォーマンスできたという手応えもありました。
――坂元さんは?
坂元葉月 夏のイベントというイメージがありましたが、今年は秋でしたし、ライブをするまでどんな雰囲気になるのかな? とドキドキでした。でも、皆さんの感想を見るとお家でも楽しんでもらえていたので良かったです。あと、私たちを知らない人たちが観てくれて、オンラインで移動時間がないので最後まで観てくれた人もいて嬉しかったです。
――松田さんの印象的だったことは?
松田美里 私はSKY STAGEで歌ったバラードの「グレープフルーツムーン」が印象的でした。いくつかステージをやらせていただいた中でも曲数が少なかったんですけど、なぜか一番体力を使った緊張したステージでした。でも皆さんからの反応も良くて、わーすたらしいパフォーマンスができたんじゃないかなと感じています。
――小玉さんはいかがでしたか。
小玉梨々華 10月2日と4日の2日間に出演させていただいたんですけど、2日のパフォーマンスを観てくれた方達が4日も観たいと思ってくれたみたいで、2日間出て良かったなと思いました。印象的だったのはSMILE GARDENでのステージが終わった時、スタッフさんに「ちょっと待っててください」と言われて、「なんだろう?」と思ったらサプライズで私の誕生日を祝っていただいて。TIFのステージで祝っていただくのは初めてだったのですごく嬉しかったです。
――三品さんはどんなことを感じたステージでした?
三品瑠香 オンラインは歌っている時お客さんの反応をダイレクトに感じられないので、ステージが終わってすぐに私はエゴサをしてました。リアルタイムでどんどんツイートされていくのを見て、これがオンラインならではのコミュニケーションだと感じて。普段のTIFだったら皆さんステージの移動などもあってツイートどころではないので、感想がすぐ見れるのはすごく新鮮でした。特に嬉しかったのは新曲「清濁あわせていただくにゃー」を披露した時にツイートがすごく増えたんですけど、それが嬉しくて。
――瞬間ツイート数が上がった瞬間だったんですね。その新曲が収録された『What's "standard”!?』のコンセプトは?
廣川奈々聖 今年の3月も生バンドでライブをやらせてもらったんですけど、もっともっと「カッコいいわーすたを届けていきたい」ということで、バンドサウンドをコンセプトにのしたミニアルバムになりました。あと、完成してみてわーすたはミニアルバムに強いなと改めて思って、この作品でまた新たにわーすたを好きになってくれる人が増えそうだなと手応えを感じています。
――1曲目の「清濁あわせていただくにゃー」は“清濁”という言葉は知ってました?
廣川奈々聖 私は知りませんでした。正直このタイトルを見た時はまた「にゃー」というのかと思いました(笑)。でも、清濁というカッコいい言葉と「にゃー」が混ざり合うハイブリッドな感じがわーすたなのかなと思って。
坂元葉月 私も最初タイトルを見た時に「久々ににゃー」が来た!と思いました(笑)。それもあってもっと可愛らしいロックなのかなと予想していたんです。歌詞も「全力で行くんだよ」とか語尾が可愛いのが多いんですけど、「にゃー」が入っているとは思えないカッコいいサウンドになっています。
松田美里 私は知らない漢字が来た! と思いました(笑)。でも「にゃー」とかユニークな言葉を使っていて一見コミカルな感じもするんですけど、しっかりとメッセージのある曲になっているのがわーすたの特徴でもあるんです。やりたいこと、出来ることを全力で楽しむという成長した私たちが描かれている曲だなと感じました。それもあって歌えば歌うほど良い曲になっていきそうだなと思いました。私はこの曲のキャッチーなところがすごく気に入っています。
小玉梨々華 全体的にロックな感じがありつつ、カッコいいけど、わーすたらしい可愛さを持った曲だなと思いました。皆さんにもそのわーすたらしさを感じてもらえたら嬉しいです。振り付けはキャッチーで歌詞とリンクしたものになっています。サビ前はみんなで踊れるんじゃないかなと思います。
松田美里 <ほしがれNeed! Need! Need!>のところは頭の後ろで矢印を手で飛ばしてるんですけど、簡単なのでみんなすぐ出来ると思います。
――歌詞のお気に入りフレーズはありますか。
小玉梨々華 サビは特に良くて、選ぶのが難しいです。メッセージ性も強いので、サビ全部がお気に入りです。
――レコーディングはいかがでしたか。
三品瑠香 曲調もすごくカッコ良くてお気に入りの1曲なので、めちゃくちゃ聴き込んでからレコーディングに臨みました。田淵智也さんに作って頂いた楽曲ということもあり、音を取るのも難しかったんですけど、それも含めてすごく楽しかったんです。私は2番のAメロが特に気に入っています。1番の時と少し雰囲気が変わって静かになるんですけど、私はカッコつけて歌っています(笑)。
廣川奈々聖 <キャンセルもクーリングオフも無しだけど、OK ?>の<キャンセル>のところめちゃくちゃ気持ちいいんです。ワイルドさがある感じと、可愛いところとのコントラストがあるのがポイントだなと思いました。なので、コントラストをつけようと意識した部分はありました。Aメロの<グダグダ文句言うのもしょっぱくないか?>という言葉使いは初めてでした(笑)。ワイルドな自分とアイドルとしての自分を表現出来たらいいかなと思いました。
スタンダードがないところがスタンダード
――衣装はワイルドな方向性ですね。三品さんは「我偶像」とアイデンティティを打ち出していて。
三品瑠香 そうなんです。中国語で「アイドルだぞ!」というのを伝えているんですけど、ちょっと照れくさいです(笑)。
――美里さんはバイオリンで、葉月さんはギターなんですね。
坂元葉月 バンドっぽい感じの衣装なんです。
松田美里 バンドサウンド的な衣装なんですけど、今回収録されているジャズっぽい曲「TOXICATS」のイメージかなと私は思っていて。
廣川奈々聖 ここまで大人っぽい曲は、わーすたで今までなかったかも。
小玉梨々華 歌詞もすごく大人っぽいですし、バーにいる感じがしてすごく情景が想像出来るんです。それくらい世界観がしっかり作り込まれている曲なんだなと思いました。早くみんなに聴いてもらいたいです。
松田美里 ちょっとSっ気のある女性を想像しました。私の将来の目標でもあるキャリアウーマン的な感じもあって。“TOXICATSさん”になれるように頑張ります(笑)。
廣川奈々聖 “TOXICATSさん”って何(笑)。
――応援しています(笑)。「萌ってかエモ」はいかがですか。
三品瑠香 この曲もすごくカッコよくてみきとPさん節が出ています。ライブで歌いたい曲で歌詞もそういう感じなんです。メガホンを持って叫んでいる、良い意味でうるさい感じといいますか。<だから言っただろ Don't touch me>の<Don't touch me>の部分がみきとPさんの繋がりで「PLATONIC GIRL」と一緒で私が歌わせてもらっていて。
坂元葉月 そこすごくエモいよね。ファンの方たちなら気づいてもらえると思うので熱いところです。
――「Never Ending The World」は皆さんで作詞されていますね。
松田美里 今の私たちが伝えたいことが詰まっている楽曲です。それぞれが全部書いて鈴木まなかさんにまとめていただきました。
――テーマだけもらって。
廣川奈々聖 はい。でもテーマも割と大きくて。「会えなくて、やっと会えた時に歌いたい曲」という感じでした。
――印象的な言葉はありましたか。
坂元葉月 私は<透明なカレンダーめくった>という歌詞がグッと来たんですけど、すごい素敵な言葉だなと思いました。私はファンの人たちと会えなくて、会えた時のことを考えて書いていたんですけど、遠距離恋愛にも似てるなと思って書いていました。
――ここは美里さんが書いた部分とのことですが、どのようなシチュエーションだったのでしょうか。
松田美里 自粛期間でスマホのカレンダーをめくっていて、何も予定が書いてないカレンダーを見て、予定が詰まっていなくて寂しい、透明だなと感じたので歌詞にしてみました。
坂元葉月 真っ白じゃないところがいいんです。
――詩人ですよね。瑠香さんはこの曲をどんな人に届けたいですか。
三品瑠香 一回会えたら、離れることはそんなにはないだろうなと思っているんですけど、近づいた距離は離したくないと思いながら私は歌詞を書かせて頂いたので、未来に向かって明るい気持ちになって欲しい、今寂しいと思っている人たちに届けたいです。
――最後を締めるのは「ハロー to the world」です。
廣川奈々聖 これからのわーすたも楽しみにして欲しい、未来を感じられるすごくキレイな楽曲を作っていただきました。でも、歌詞は貪欲なんです。歌詞にある「「はい」だけでいいんですか/「いいえ」もきっと君の大事なひとかけら」とか自分を肯定してくれる感じがして、私も重なる部分が多いんです。
私はアレンジもすごく好きで、1番と2番のサビでガラッと雰囲気が変わるんです。これからの私たちに希望を感じてもらえる曲になったと思っています。
――『What's "standard”!?』とタイトルにスタンダードという言葉が入っていて、わーすたのスタンダードはどのように進化してきたと思いますか。
廣川奈々聖 スタンダードがないところがスタンダードだと思っています。一つのものに縛られていないからこそ、ミニアルバムもコンセプトを作って出来ているし、皆さんには色んなものを見せられるのがわーすただと思ってもらえたら嬉しいです!
――最後にファンの方へメッセージをお願いします。
小玉梨々華 皆さんと会えない期間に作品を作ったり、成長したところなど皆さんに届けたいものを積み上げてきたので、まずはそれを11月28日にLINE CUBE SHIBUYAで行うライブ『The World Standard 2020~華麗にいただくにゃー!~』で届けたいですし、このミニアルバム『What's "standard”!?』でもわーすたのカッコ良さを世界中に伝えていきたいです。
(おわり)