世界に照準を合わせ活動するデジタルネイティブ世代アイドルのわーすた(ざ・わーるど・すたんだーど)が8月12日、6thシングル「サンデー!サンシャイン!」をリリース。3月に自身初のベストアルバム「わーすた BEST」 をリリースし、結成5周年を迎え新たな一歩を踏み出したわーすた。新曲「サンデー!サンシャイン!」はわーすたらしさを打ち出しながらも、ブラスの音色が印象的な新しい夏ソングに仕上がった。インタビューでは、上半期を振り返りながら、「サンデー!サンシャイン!」の聴きどころや、6年目に突入した5人の今の想いに迫った。【取材=村上順一】
悔しい思いもあった上半期
――上半期でそれぞれ印象的だったことを教えてください。
廣川奈々聖 この半年間の中ですと、3月末にあった5周年結成ライブ『The World Standard~わーすた 5さいになりました!~ 』が一番大きなイベントでした。昨年のフリーライブを経ての渋谷公会堂で、ソールドアウトしていたので、自分たちのモチベーションも高まっていました。それが、コロナ禍による影響で無観客配信ライブになってしまいました。でも、そこで得たものもありました。ライブで発表する予定だったことを下半期は楽しみにしていたので、お知らせできないのは辛かったです。今は自分が予想していた未来とは違うので、かなり悔しい気持ちはあります。
――どんなことを得たのでしょうか。
廣川奈々聖 ライブの2週間前くらいから、ライブは自粛した方が良いんじゃないか、と雰囲気になっていました。でも、自分の中ではお客さんを入れて開催する、その選択しかなかったんです。その中で無観客でも伝わるものがあることを知れたのは得たものでした。作っている過程はどちらも変わらない、そこに向けて作っていたものだったので、お客さんがいてもいなくても伝えられる自分たちになれたんじゃないかなと思いました。
小玉梨々華 私もこのライブは印象的でした。誰のせいでもないんですけど、思い通りにいかないことも多くて、モヤモヤしている感じもありました。その日にライブができたことも嬉しかったですし、結成から5周年を迎えた今だからこそ、届けたい、伝えられるライブになりました。それがいろんな場面で感じることができたんです。それで、後回しにせず、いま自分ができることを考えていくのが、大事だなと思いました。
坂元葉月 私もこのライブは、皆さんに生で観て欲しいと思っていたので、「無観客で配信でやります」と聞いた時は、悔しかったんです。でも、本番を迎えるにあたって気持ちを切り替えて、地方の方や海外の方など、本当だったら現地に来れなかった方に向けて、パフォーマンスできたのは嬉しかったです。いまは配信が多くなったことで、海外の方にも私たちの活動を見てもらえる機会が増えたし、今までだったら気がつかなかったことにも気づけたので、意味のある半年間だったんじゃないかなと思いました。
――目の前にはお客さんはいませんでしたけど、気持ちは全世界に向いていたんですね。その中で客席に風船がお客さんの代わりに置いてあったのも、印象的でした。
坂元葉月 スタッフさんが用意してくれたんです。アンコールではサイリウムを用意してくれたり、すごく愛を感じました。たくさんの方の支えがあるからこのステージに立てているんだなということが体感できたので、無観客でしたけど、わーすたにとって大切なライブになりました。
三品瑠香 この半年間は動けなかった期間が長かったんですけど、私もみんなと同じですごく悔しかったんです。コロナがなかったら、この夏はすごく忙しい予定だったので、虚無感を感じてしまっていました。でも、何もできないことが私は嫌だったので、自粛期間は歌を歌ってネットに上げていました。それは、歌うことで、みんなが楽しんでくれて、自分のためにもなると思ったんです。
――松田さんは上半期いかがでした?
松田美里 個人的なことなんですけど、この半年間でちょっと強くなれたんじゃないかと思いました。ライブが本来のやり方でできなかったり、みんなと同じようにもどかしい部分はあったんですけど、世界中のみんなが同じ状況だと思うと、強い気持ちを常に持たないとダメだと思いました。マイナスが多い中でポジティブな気持ちになることは、逆に奮い立たせてくれるものがあるなと思いました。今年の1月に成人式迎えたんですけど、その時に大人の自覚を持とうと思いました。なので、何か起きても大人だったらどうするのか、ポジティブでシンプルに考えられるようになったことで、気持ちが強くなったんじゃないかなと。
――松田さんの理想の大人像はありますか。
松田美里 あります! 今の私とは真逆なんですけど絵に描いたようなキャリアウーマンみたいな大人になりたいんです。
廣川奈々聖 それ職業を変えなきゃダメじゃない(笑)。
松田美里 (笑)。大人なファッションや話し方も大人っぽくしたいなと、本気で思っているので、理想は高いんですけど頑張りたいです。
――ちなみに三品さんは現在19歳ですが、理想の大人像はありますか。
三品瑠香 私は頼られる大人になりたいなと思っています。実はあまり人とコミュニケーションを取るのが上手くないんです…。なので、今よりも心が広い印象を持ってもらえる人になれたらと思っています。自分のことは自分でしっかりできる大人になりたいです。
ただ楽しいだけではなくエモさもある1曲
――「サンデー!サンシャイン!」が完成しましたが、皆さんのお気に入りポイントを教えてください。
廣川奈々聖 夏曲のイメージとして最初から最後まで疾走感があるんですけど、Dメロのところで太陽が沈んでいく感じのセクションがあって、お気に入りです。太陽が照りつける感じや、夕日の赤い空が見える感じなど、情景がすごく見える曲だなと思いました。
小玉梨々華 私たちはこれまでにも夏曲というのは何曲かあったんですけど、わーすたらしさ、ちょっと一癖ある曲が多かったんです。今回はわーすたを意識したというよりも、夏にフォーカスした1曲になったのかなと思います。シングルとしては初めての夏曲ということもあり新鮮です。私のお気に入りポイントはMVでの瑠香のパントマイムです(笑)。
――パントマイムしてましたね。あのシーンは皆さんアドリブなんですか。
廣川奈々聖 監督さんからシチュエーションの指示はありました。「空港に今到着した感じ」で空を見上げてとか。
三品瑠香 とりあえずカバンを渡されて、シチュエーションの指示がある前に、勝手にパントマイムをして遊んでいたら、それをやってみようとなって採用して頂いたんです。
――そこは注目ポイントですね。坂元さんはこの曲のお気に入りポイントは?
坂元葉月 この曲の間奏がめちゃくちゃ好きなんです。トランペットの音が入っているんですけど、このパートの振り付けが、トランペットを吹いているような感じになっています。MVではその振り付けはないんですけど、ライブでは5人でめちゃくちゃ笑顔で全力パフォーマンスしているので、注目していただけたら嬉しいです。
――トランペットを実際に吹きたくなったりしませんでした?
坂元葉月 肺活量がすごい必要みたいなんですけど、そこまでの肺活量は持ってないので、諦めています(笑)。
――そうなんですね(笑)。松田さんは?
松田美里 私も振り付けで好きなポイントがあって、楽曲の最初の方でやっている“鳩胸ダンス”が気に入っています。私はアホっぽい振り付けが好きなんですけど、「これは私の得意なやつだ」と踊っていたら、振付師さんに褒めて頂きました。自分でも上手くできたんじゃないかなと思うので注目してもらえたら嬉しいです。
あとイントロでの振り付けで、車を運転しているような振りがあるんですけど、MVとライブで振り付けが変わります。MVではコロナの影響でみんなで一緒に撮れなかったので、それぞれが同じ振り付けをしているのですが、ライブではそれぞれの役割分担があって凝っているので、そこに注目していただけると面白いと思います。振り付けが可愛いので、みんなにも踊ってもらえたら嬉しいです。
――三品さんはいかがですか。
三品瑠香 気に入っているところは音楽のパワーがすごくあって、ただ楽しいだけではなくエモさもある1曲だというところです。メロディのキーが結構高いんですけど、それが夏にぴったりだなと思っていて、キーが高いことで気分も上がります。歌は難しいんですけど、聴いていただければ楽しいと感じてもらえる曲になったと思います。
――歌うにあたってのアドバイスを送るとしたら?
廣川奈々聖 私も最初聴いた時、キーが高いなと思いました。AメロやBメロは夏の熱い感じで、サビで涼しげな感じになるので、気持ちを涼しくどこまでも伸びていくような気持ちで歌ったら、いい感じに歌えると思います。
――坂元さん、小玉さん、松田さんも2番で歌われていますが、どういう気持ちで歌っていますか。
坂元葉月 <トロピカルな フィーリング>という言葉が入っているんですけど、そこの振り付けがフラダンスのような感じなので、心地よいそよ風が吹いているようなイメージで、レコーディングに臨みました。
5人がオワタと思った出来事とは?
――カップリングの「べちょべちょパンケーキ? feat.そこの君。a.k.a. ヲタ」は坂元さん、小玉さん、松田さん3人による曲です。タイトルにある「feat.そこの君。a.k.a. ヲタ」とは?
松田美里 ファンの皆さんのことです。
坂元葉月 ファンの皆さんに歌ってもらうパートがあるんですけど、CDではスタッフさんに歌を入れてもらったんです。よく聴くと、テンションの高いスタッフさんとかもいるので、注目してもらえると面白いと思います。
――この曲は3人が色々愚痴っていますが、テーマがこれに決まったのはどんな経緯があったのでしょうか。
松田美里 過去にもパフォーマンスメンバーによる曲は2曲あるんですけど、今までのはかわいい曲でした。そこで奈々聖がこの3人の可愛い雰囲気のまま、Sっぽいキツいことを言っても面白いんじゃないかと提案してくれて。好きな人への不満みたいなことを、可愛らしくキャッチーに表現した曲になったんです。
坂元葉月 この曲はセリフが多いんですけど、サビまでの尺が決まっているので、そこにはめ込んでいくのは、結構難しいです。レコーディングでは3人が向かい合ってセリフの部分は録ったんですけど、普通に喋っている速度だとサビに被っちゃうんです。でも、なるべく自然に話している感じを意識して録りました。
小玉梨々華 レコーディングはイントネーションとか、気をつけてました。それもあって何回も録り直したりしました。メロディがあれば大丈夫なんですけど、セリフだと出ちゃうんです。
――大変だったんですね。最後のセリフで<「それはオワタ。」>という歌詞があるんですけど、皆さんがオワタと思った瞬間はありますか。
松田美里 私は「夜の1時までには寝なさい」と、母からいつも言われているんです。私は夕方ぐらいに眠くなってしまって、ちょっと寝ちゃうと夜に寝れなくなることが多くて…。それで夜にパソコンのゲームをしたりしているので、よく1時を過ぎてしまうんです。それでいつも母に怒られるので「今日は絶対に1時までに寝るから」と、ちょっと強めの口調で約束をしたんです。でもその日も気づいたら1時を過ぎてしまって、これはオワタと思いました(笑)。幸いにも母は寝ていたので、音を立てずにそっとパソコンをシャットダウンして、バレないように自分のベッドに行きましたが、本当にオワタと思いました。
三品瑠香 たいした話しではないんですけど、傘を縛って止めるバンドがあるじゃないですか。それを引きちぎってしまって、その瞬間に今日1日オワタと思いました(笑)。電車とか乗っていても、傘が閉じれていないのが迷惑で嫌だなって…。それが最近で一番オワタと思った出来事でした。
廣川奈々聖 最近、新しいスカートをおろしたんです。それがチャックが壊れていたので、お店に交換してもらったので、大丈夫だと思って履いて行ったんですけど、出かけて50分ぐらい経ったらチャックが閉まらなくなっちゃっていることに気づいて…。いつからチャックが開いていたのかもわからないし、これはオワタと思いました。でも、返品するために同じスカートを持ってきていたので、一か八かそのスカート履けないかなと、ダメ元で履いてみたらいけたんです! 結果的には終わらなかったというエピソードです(笑)。
小玉梨々華 私、犬を1匹自宅で飼っているんです。母と二人暮らしなのですが、その日は母も私も出かけてしまって12時間ぐらい犬が一匹でお留守番していました。普段は犬は良い子にしていてイタズラしないんですけど、12時間一匹で過ごしたことはなかったので、その日家に帰るとトイレのシートはぐちゃぐちゃだし、私の部屋のゴミ箱もひっくり返され、リビングの絨毯も移動していて、泥棒が入ったんじゃないかと思えるくらい荒れていました(笑)。そんなことは初めてだったので、片付けるのが大変で、もうオワタと思いました。
坂元葉月 リハを終えて家に帰ったんですけど、すごく疲れていて眠たかったんです。でもお腹は空いていたので、夕食を食べてから寝ようと考えていました。その日頑張ったご褒美としてアイスクリームを買ったんです。ご飯を食べた後にデザートとして食べようと横に置いておいたんです。その日は納豆でかき混ぜてご飯に掛けようと思ったら、間違えてアイスをかき回していたらしく、ご飯にバニラアイスを掛けてしまいました…。それに気づいた瞬間オワタと思いました(笑)。
――すごい疲れていたんですね。
坂元葉月 普通はかき混ぜている時の感触でわかると思うんですけど、本当に眠かったみたいで気づかなかったんです。アイスの溶け具合が絶妙だったのもあると思うんですけど(笑)。結局、ご飯の上だけスプーンですくって、改めて納豆をかけて食べました。
好きでいてもらえるような私たちでありたい
――さて、3曲目の「四季ドロップス」は廣川さんのフェイバリットシンガーであるLiSAさんの「紅蓮華」を手がけた草野華余子さんの作詞・作曲ということもあり、かなり気持ちが上がったのでは?
廣川奈々聖 はい! ちょっと前にもしかしたら草野さんに楽曲をお願いできるかもしれない、とスタッフさんから聞いていたので、実現したらいいなと思っていたところに、本当に書いてくださったので、LiSAさんに近づけた感じがして、すごく嬉しいです。その近づけるという気持ちを持ってレコーディングに臨みました。曲の最後の方はLiSAさんっぽい雰囲気がこの曲にあると感じているんですけど、それは敢えてそうしてくださったのかな、とか思ったり。
三品瑠香 過ぎていく日々の儚さを感じさせてくれる曲だったので、すごく繊細だと思ったので、大切に歌おうと思いました。歌詞の1行目はすごく苦戦しました。ちょっと低めから入ってくるので、楽曲の持つ空気感をしっかり伝えたいなと思いました。
――この曲はオールシーズンいつでも合うような曲だと思うのですが、それぞれどんな季節に聴きたいと思いますか。
小玉梨々華 私はこの曲を初めて聴いた時、秋の景色が強く入ってきました。なので、ちょっと肌寒くなってきた秋にこの曲は聴きたいです。
坂元葉月 私も秋です。その中でも夕日をイメージしていて、夕暮れが似合う曲だなと思いました。喉かなところで夕暮れ時の川沿いや海沿いをテクテク一人で歩きながら聴くのも似合う曲だと思いました。
松田美里 私は夏の終わりに聴きたいです。夏は暑かったけど楽しかったなあと思い出しながら、涼しくなっていくことに寂しさを感じつつ、聴きたいと思いました。
――これからの季節にバッチリですね。さて最後にここからのわーすたは、どのような心持ちで活動していきたいと思っていますか。
廣川奈々聖 6周年に向けて、ファンの方を大切に新たに走り出していこうという気持ちがあります。今私たちが見て欲しいものはライブなんです。でも、生で見てもらうというのが難しい環境ですけど、この期間にファンになってくださった方々も沢山いて、今まで応援してくれている人も、新しく応援し始めてくれた人も、気持ちを置いていかないように、これからも好きでいてもらえるような私たちでありたいなと思っています。
三品瑠香 生でライブができないのは辛いですけど、また普通の暮らしに戻ったときに、「あの時わーすたは何もしてなかった」と思われないような、皆さんに楽しんでもらえる活動をしていきたいと思っていますので、皆さん引き続き、応援よろしくお願いします!
(おわり)