Wakana「愛され続ける曲を歌いたい」人生の瞬間をかけがえのない音楽に

「私」より「僕」のほうが歌詞を自由に書ける気がする

『magic moment』初回限定盤B

――そして、ラストは表題曲の「magic moment」。歌詞に＜7つ目の夜を越えたその先で＞と出て来ますが、これは一週間という意味ですか？

　人間とか生きるものの中で「7」という数字は、何かと重要な数字なんです。一週間もそうで、惑星の数になぞらえているわけですし。七つの海、七つの大罪、聖書には、神は七日間で世界を作ったと出てきます。それに、私の大好きなスタジオジブリ映画『風の谷のナウシカ』にも、「火の七日間」という言葉が出て来ます（笑）。Wakanaの「na」を「7」にも置き換えられるので、単純に好きな数字で、自分のラッキーナンバーにもしていて。映画館など自分で席を決められる時は、つい「7」がついている番号を選んじゃいます（笑）。

――７はそういう数字だと。

　そういう意味では完成された数字と言えるわけで、それを越えた先に何があるのか？　神様が七日間で世界を作ったとして、八日目から人間が歩き始めたのだとしたら、その先のまだ見ぬ神秘的な日々を人間は生きている。つまり奇跡の積み重ねだということです。

　また「magic moment」の最後に＜星たちが眠る場所目指して＞＜永遠に何処か遠く＞という歌詞があって。そこから1曲目に戻り、「breathing」の生きること、息をすることというテーマに繋がっていきます。

――編曲の兼松衆さんは、「Happy Hello Day」と「magic moment」の２曲を編曲していますね。

　兼松さんは、アレンジが大胆で面白かったですね。「Happy Hello Day」は作曲の春日章宏さんが作ってくださった時から、明るくて盛り上がれる曲だったけど、兼松さんが入ったことで楽器一つひとつの音をより響かせてくれて壮大になりました。「magic moment」は、もともとSIRAさんが作曲したものがファンタジックで幻想的ですごく好きだったんです。そこから兼松さんのアレンジによって、その世界観をより浮き彫りにしてくれました。この世界はただ楽しいのではなく、いろいろなことがあるということを、音で表現してくれました。

――どの曲も作曲家さんやアレンジャーさんと、そうやって実際に話しながら作っていったんですね。

　そうですね。「ひらりひらり」も作詞作曲のサイレンジ！さんとお話をしましたし、「アキノサクラ（Acoustic ver.）」は、EPのバージョンよりもテンポを少しゆっくりにして新たに録り直しているのですが、編曲の内田敏夫さんとは久しぶりで、「前回の「アキノサクラ」からさらにやわらかい感じにしよう」と、話して制作しました。

　また、「君だけのステージ」は、一昨年の夏に武部聡志さんが作ってくださった曲で、それ以降ライブで歌って来た曲です。そこからやっとスタジオでレコーディングすることになって、感無量でした。レコーディングには武部さんが来てくださって、ピアノも弾いてくださっています。ギターとベースもライブでお世話になった方々で、ドラムの河村"カースケ"智康さんは初めてだったのですが、包み込むような優しい音で、レコーディングがとても楽しかったです。

――今作は11曲中７曲で、Wakanaさんが作詞を手がけています。歌詞の言葉には、「僕」「君」「あなた」は出て来ますけど、「私」が出て来ないなと思いました。これは何か意識してのことですか？

Wakana

　「僕」を使うのが好きで…。「私」と言ってしまうと、リアルに自分のことになるから、「僕」と言うことによって他の人になれる気がするんです。それによって、いろんなしがらみにとらわれず自由に歌詞が書けるような気がして。曲がくれる思いを素直に書きたいと思うと、自然と「僕」になります。そう考えると、確かに面白いですね。

――あと、ジャケ写の見どころなど教えてください。

　アルバムのジャケ写は、EPのジャケ写を撮った時と同じビルなので、よく見比べると背景に写っているビルが同じなんです。それと、初回限定盤Bでソファの上に置かれている植物は、私が拾ってきたものです（笑）。ブックレット内の写真を海などで撮ったんですけど、すごく風が強い日で、撮影中足元に飛んできたんです。どこかで使えないかと思って思わず拾っちゃったんですけど、それを使ってもらえたことが、すごく嬉しかったです。ブックレット内にも出てきますので、ぜひ見てください！

（おわり）