横浜銀蝿40th「諦めずに前に進む力」今思う“ツッパること”とは
INTERVIEW

横浜銀蝿40th


記者:村上順一

撮影:

掲載:20年02月19日

読了時間:約14分

間違いから生まれた「1980 HERO」

――Johnnyさんは久しぶりに作曲もされたと思うのですが、制作はスムーズでしたか。

Johnny すごく久しぶりでした。過去に秋元康さんから曲を作ってほしいと頼まれたことがあったんだけど、出来なかったんだよね。昔曲を作ってる時は、もうこれしかないメロディというのがあったんです。それが降りてこなくなってしまって、その時は出来なかった。

 でも、今回詰めていく中で、それがまた出てくるようになって。「1980 HERO」は一番最初に作った曲なんだけど、これが面白くて。僕のギターのリハビリのために4月から6月の第2、第4火曜日をみんなで集まってリハをやったんです。それで5月にスタジオに行ったら誰も来なくて、みんなルーズだなと思ってたんです。

――なぜ誰も来なかったのでしょうか。

Johnny 4月の火曜日が5週あって、僕が勘違いして5月の1週目の火曜日に行ってしまったのが原因です。でも、スタジオも取っちゃったし1人爆音で練習してました(笑)。その時に出来たのが「1980 HERO」なんです。その間違いがなければ生まれてなかった曲かもしれない。しかも爆音でやっていたから「邪魔だ、どけどけ!」みたいな曲になって。

翔 最初この曲を聴いた時に<時空翔ばして 来たぜ>と歌詞にあって、「何言ってんのJohnny、おかしいでしょ」みたいな感じだったんだけど、リハーサルに入って歌っていくうちに、歌詞も理解出来てきた。時間がだいぶ経ってから「この曲いいね」と思うようになって、1曲目にしたんだよ。さっきもJohnnyが言っていたように、ここしかないというところにあるメロディを持って来ていて、俺が「ここは歌いづらい」と話しても、Johnnyは絶対に折れない(笑)。

Johnny コードに対してメロディを7thでぶつけてるからね。

翔 すごく不思議で面白い感じなんだけど、俺はめちゃくちゃ歌いづらい(笑)。だから、すごいく練習したよ。

――注目ポイントですね。アルバムの最後はバラードの「Again」で締めくくられます。これはライブで聴いたらきっと心揺さぶられますね。

翔 昨年の3月にJohnnyと一緒にやることが決まって書いた曲。この曲で書きたかったことは、1983年の12月31日、新宿コマ劇場のライブで解散してからJohnnyが戻ってくるまで約37年ぶりじゃない? その解散したあの日の想い、俺達はこうやってやってきたんだ、ということをみんなに伝えたくて。もし、またこのメンバーで揃ったときには、一緒に楽しもうよという歌を作りたいと思ったんだよね。アルバムのタイトルにもアゲインと入っているんだけど、最初は今作が10枚目のアルバムということで『ぶっちぎりX(テン)』にしようと思っていたけど、みんながこの曲を聴いて『ぶっちぎりアゲイン』にしようと言ってくれて。

――この曲のメッセージが皆さんに響いたんですね。

翔 「Again」は「横須賀Baby」や「ツッパリHigh School Rock’n Roll(登校編)」のような勢いはない。けど、「アイ・メイク・ユー」のようなバラードの横浜銀蝿が存在していることをファンの子達は知っているから。この曲はそこにぶつけたい、という気持ちと本当に歌いたかったメロディだったので。

――今作のレコーディングではどんなところにこだわりましたか。

翔 今回はギターとか楽器選びにかなりこだわったね。このギターのこの音じゃなきゃダメみたいな。

Johnny あと、意外と大変だったのは「Johnny All Right!」の最初の会話のところだよね。

翔 あれはマイキングや広がり具合にこだわった。一番広いスタジオで真ん中にマイクを置いて、俺とJohnnyができる限り端っこまで広がって「Johnny、OK?」ってね。

Johnny その「OK」の言い方が微妙だからって何度もやらされて(笑)。

翔 映画の『ボヘミアン・ラプソディ』が大好きで3回観たんだけど、そのの中で、太鼓にネジを置いて音を出すとか、録音で色々やってたじゃない? 俺らもそういう遊び心が昔からあって、集会でバイクの音をカセットテープに録音したりしていたよね。それをスタジオに持っていって流し込んでもらうんだけど、エンジニアは「マジですか」って。Johnnyと一緒にレコーディング抜け出して、反響の良いビルの谷間で録音したりと、SEにもすごくこだわってた。今回もアメ車の音を入れようかとかアイデアはあったんだけどね。

――すごく楽しくやられているのが伝わってきます。

翔 37年ぶりに揃って、気持ちが合うってすごいことだよ。TAKUも人を乗せるのが上手いから、「銀のロックン・ローラー」でギンギンギンギン言ってるんだけど、最初俺は「ギンギン言うのはやだよ」と拒んで、TAKUとJohnnyに任せたんだけど、TAKUがカッコいい「ギンギンだぜ」のセリフが欲しいから、そこだけお願いされて歌ったらすごい喜んでて。それで俺も乗ってきちゃって「ギン」をいろいろなところで歌ってたら、それ全部採用されて。

――結局、参加されたんですね(笑)。

翔 本当にTAKUは乗せるのが上手いんだよ。

この記事の写真

記事タグ 

コメントを書く(ユーザー登録不要)

関連する記事