NakamuraEmi「自分らしく生きること」シンガーとしての未来
INTERVIEW

NakamuraEmi「自分らしく生きること」シンガーとしての未来


記者:村上順一

撮影:

掲載:20年02月05日

読了時間:約12分

 シンガーソングライターのNakamuraEmiが2月5日、ベストアルバム『NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST2』をリリース。デビューから4周年を迎え、5年目に突入した彼女の新作は2016年のデビュー時にリリースした『NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST』以降にリリースしたアルバム『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.4』から『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.6』までの3枚からセレクトされた楽曲に加え、昨年10月に配信リリースされた「ちっとも知らなかった」などを含む新曲3曲とインディーズ時代の「チクッ」のアレンジバージョンも新たに再録。インタビューでは「忘れられない年になった」と話す2019年を振り返ってもらいつつ、新曲「東京タワー」のきっかけにもなった楽曲制作への葛藤など、多岐にわたり話を聞いた。【取材=村上順一/撮影=冨田味我】

肩の力を抜きつつ、丁寧にやっていきたい

NakamuraEmi

――2019年はEmiさんにとってどのような年でしたか。

 忘れられない年になりました。私、身体は丈夫な方なんですけど、身体を壊してしまったり、これから長く歌っていくために、色々と考えた1年でした。仕事でもプライベートでも味わった事がない感情だったり。でも、その中で仲間や音楽があるからということをすごく実感しました。長く歌い続けるために体力作りや歌い方も勉強していこうかなと思っています。ここまでガムシャラにやってきたけど、音楽がある生活が大事だとわかり、今年は肩の力を抜きつつ、色んなことを丁寧にやっていきたいと思いました。ミュージシャンとして頑張るにはどうしたらいいのかということを初めて考えたと言いますか。

――今までは深くは考えていなかった?

 そうなんです。私は日常生活があって音楽を続けられていて、音楽を仕事にして出来るのかなという挑戦も含めてやらせてもらっている中で、メジャーで4年間過ごしてみて、女性として40代に突入していく、家族や親族もどんどん年老いていく中で、私は結婚もしていないので、「自分にあるものは何だ?」と考えた時に音楽があって良かったなと初めて実感しました。自分の中で音楽がこんなにも大きくなっているとは思わなくて。音楽に加担して生きていくのは嫌だなと思っていたんですけど、でも、音楽だけで私は生きていたんだなって。

――改めて音楽の重要さに気づいて。このタイミングで再びベストアルバムですが、完成してみていかがですか。

 自分がデビューさせていただいた時が、インディーズ時代の3枚と新曲をまとめた自己ベスト盤でした。でも今作は普通のベストアルバムというだけではなく、新曲も入れつつ今の自分を入れさせていただきました。ベストなんだけど、「集約しました」というよりは、オリジナルアルバムを出させてもらっている感覚にすごく近いんです。

――確かに新曲や新録曲も入っていて、通常のベスト盤とは違います。3作で纏めている、一区切りというのはデビュー時から何か由縁があるんですか。

 デビューの時はたまたま3作だったんです。その時は“NIPPONNO ONNAWO UTAU”という言葉にリスペクトを持っていて、その波は変えたくないなと思いました。そして、今のベストを出し切るという意味も込めて『NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST』をリリースしました。ベストは、出したいと思っても出せるものではないと思っていて、自分では「どんどん新しいものを作って行かなくちゃ」と思っていましたけど、周りのみんなが「ベストを出そう」と言ってくれて。今まで気になっていたけど、聴けていないなという人にも、NakamuraEmiはこういう人です、という曲を集めたら、聴きやすいアルバムになるのかなと思いました。

――さて、曲についてお聞きしたいと思います。1曲目の「BEST」はストレートに今作を象徴する曲になりましたね。

 ベストを出そうと言ってもらえた事がすごく嬉しくて。私も色んな人のベストアルバムを聴いてきましたし、デビューの時にリリースした『NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST』と今作の違うところは、音楽の世界にいさせてもらった中で、出てきた作品たちで。みんなが良い曲だと認めてくれたからこそ、作れるものがベストアルバムだと思ったので、ベストという勲章を頂いたという感謝をストレートに書いた曲なんです。それもあって他の曲に比べたらスムーズに書けたと思います。

――すごくこのアルバムへの喜びが表現されていますが、歌詞にある<二畳の小さなスタジオ>というのが気になりまして、けっこう狭いところで作業されているんですね。

 これは私がいつも使わせてもらっているリハーサルスタジオのレコーディングブースのことなんです。ブースは狭いので安い値段で借りられるのと、普通個人練習は借りる前日の21時30分以降から予約ができるんですけど、予約が1カ月前から押さえられるというメリットがあるんです。それもあってそこに長時間こもって作曲しているんです。そのスタジオはずっと使っているので、私が何もいわなくても必要なものをスタッフさんがブースに入れておいてくれて、もう家にいるみたいな感じで(笑)。その感謝もあったので歌詞に入れさせていただきました。

――これまでの曲もこのスタジオから生まれていると思うと感慨深いですね。ちなみに今回も楽曲のイメージをメンバーやスタッフに伝えるための絵は描かれました?

 描きました。実は「もういいかな?」と思って最初描かなかったんですけど、みんなから「Emiちゃん絵は?」と聞かれて描くことになりました。でも、みんな曲の理解力がもともと高い方たちなので、必要もないと思うんですけど。

――リクエストがあったんですね。「BEST」はどのような絵を書かれたんですか。

 BESTと書いたCDを中心に、バンドメンバーやスタッフさんなど色んな人の顔を描いて、それをアルバムに詰め込んで、電車に乗ったサラリーマンの方や、料理をしながらラジオを聴いている人などを周りに描いて、こんなイメージですとみんなに見せました。それらが繋がって、このアルバムが出来たということを伝えたいと思いました。

――「BEST」なのですが、イントロのギターが「YAMABIKO」を彷彿とさせるリズムなのですが、意識されたところもあるのでしょうか。

 私も最初聴いた時にそう感じました。打ち込みでデモを作らせていただいたんですけど、それをカワムラ(ヒロシ)さんに渡してアレンジされて返ってきたときに「YAMABIKO」のようなパワー感を感じました。この曲は1曲目にするイメージがあったので、この音で始まるのは最高だなと思いました。おそらくカワムラさんの中にも1曲目というところで「YAMABIKO」節のイメージはあったかもしれません。

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