鈴木愛奈「決して遠回りではなかった」声優活動を経て掴んだ歌手デビュー
INTERVIEW

鈴木愛奈「決して遠回りではなかった」声優活動を経て掴んだ歌手デビュー


記者:榑林史章

撮影:

掲載:20年01月22日

読了時間:約12分

夢は横浜アリーナのステージに1人で立つこと

「ring A ring」初回限定盤

――また、「玉響」と「祭リズム」は和テイストの入った楽曲です。もともと民謡をやられていたそうで、これらの曲からは、そうした鈴木さんのアイデンティティが感じられますね。

 アルバム制作が決まった時から、「和の曲を入れたい」と提案させていただいていました。「祭リズム」は、私が北海道の千歳市出身であることからソーラン節を取り入れてくださっています。ライブ映えする曲で、<ヤーレンソーラン>と歌ったり<ドッコイショ>とかけ声をかけるところがあって。間奏で私が「騒げ~!」と叫ぶと、みなさんが「ウォ~!」と盛り上がってくださったら、きっとすごく楽しいだろうなとイメージが膨らみますね。

――「玉響」は和ロックで、民謡のこぶしが効いていますね。民謡のこぶしとポップスのビブラートは、そもそも出し方が違うそうですが、どんな風に使い分けていますか?

 私の場合は感覚的にやってしまっているので、明確に歌い分けをしているのではないんです。ただその曲の雰囲気に合わせて歌うと、自然とそうなっているという感じです。ただ民謡のこぶしや節回しは独特なので、入れすぎると粘りが強すぎて聴きづらくなるのが難点です。なので抜くところと攻めるところのバランスを考えながら、上手く活かしていきたいと思っています。

――また「今日のわたしをこえて」はカントリー調のポップで温かさのあるナンバー。これは地元や家族への気持ちが詰まっているのでしょうか。

 私の故郷について書いてくださった、大切な1曲です。私が生まれ育った千歳市はどんな場所なのか、幼少期はどんな子どもだったのかなど、作詞・作曲のPA-NONさんとha-jさんが事務所に来てヒアリングしてくださって。私は断片的なことしか話していないのに、それを元にこんなに素敵な歌詞にしてくださって、作家さんは本当にすごいと驚きました。全体にすごく温かみのある歌詞で、私の故郷のことではあるけど、聴いてくださったみなさんの故郷のことや、昔のことと重ねていただいてもいいなと思います。

――この歌からは、家族が背中を押してくれたこともモチベーションになっていることが伝わって来ました。家族と言うと、一昨年の『NHK紅白歌合戦』にAqoursのメンバーとして出場した時は、おばあさんがとても喜んでくださったそうですね。

 はい。うちは家族全員歌が大好きで、幼少期からおばあちゃんがよく民謡を聴かせてくれて、「いつか愛ちゃんも紅白に出てね」って言ってくれていて。当時は「そんなの無理だよ」と笑っていたんですけど、それがまさか東京ドームで公演して、その年の『紅白』にAqoursとして出演することが出来るとは、最初は信じられない気持ちでした。でも同時に、今まで応援して来てくれた家族への感謝の気持ちを伝えることが出来るとも思いました。こういう仕事をしていると、なかなか地元に帰ることが出来ませんし、私が頑張っている姿を見てもらう貴重な機会でしたので、ちょっとは親孝行が出来たのかなと。

――最高の親孝行になったわけですが、まだまだ親孝行出来る機会はありそうですね。

 今度はソロとして、大きな舞台に立っている姿を家族に見届けて欲しいなと思っています。個人的には横浜アリーナのステージに1人で立ちたいという夢がありますけど、親孝行という意味では、さいたまスーパーアリーナや東京ドームといった、Aqoursとして立たせていただいた舞台に1人でも立てるようになった時に、それがまた親孝行になるのかなと思っていますね。

――また「アイナンテ」という曲もあって、これは愛奈というお名前がタイトルに入ったナンバー。ピコピコとした電子音が印象的でポップなサウンドと、アイドルっぽく可愛らしい声が合っていますね。

 「鈴木愛奈の可愛い部分とは?」と、自分の中でとても悩んで、アルバムの中で一番模索した曲かもしれません。これまでもいろんなキャラソンを歌って来て、それとの区別が難しくて、「可愛い部分の鈴木愛奈の地声ってどこだっけ?」という感じになってしまって。

――キャラソンみたいになってしまうと。

 そうなんです。だから悩みました。でもライブでは、<yeah>や<nya>といった、かけ声や合いの手を入れて、盛り上がっていただけるのではないかと思っています。

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