声優アーティストの鈴木愛奈が18日、2ndシングル「もっと高く」をリリース。Aqoursのメンバーとして2018年に東京ドーム公演や『第69回NHK紅白歌合戦』出演を果たした彼女。今年1月22日にはアルバム『ring A ring』でソロデビュー。今作の表題曲「もっと高く」は自身も声優として出演する、スポーツクライミングを題材にしたTVアニメ『いわかける !- Sport Climbing Girls-』のOP主題歌として話題。楽曲の制作エピソードや高校時代に陸上部に所属していた頃の話題など幅広く話を聞いた。【取材=榑林史章】
憧れの場所である横浜アリーナを貸し切ってMV撮影
――「もっと高く」はTVアニメ『いわかける!-Sport Climbing Girls-』(以下、『いわかける!』)のOP主題歌ということで話題ですね。
女子高生達がスポーツクライミング部で頑張る、熱い青春ストーリーです。オリンピックの公式種目であるスポーツクライミングを題材にした初のアニメで、スポーツクライミングの知識が無い方でもアニメを見るだけで、どういうスポーツなのかわかるし、スポーツクライミングの魅力を感じていただけると思います。専門用語もちゃんと解説されているので、来年のオリンピック開催を前に知っていただけたら嬉しいです。
――鈴木さんはこのアニメで「リードの姫君」との異名を持つクライミング部の部長の四葉幸与役を演じていますね。
演じるにあたって、クライミングをしている感覚が少しでもわかったら良いなと思って、家で腹筋をしながら無理な体勢で止まるということをやりました。スポーツクライミングには、すごく傾斜のある壁を登るための、いろいろなテクニックがあるんですけど、自分の全体重を指や腕、つま先などで支える辛さは「こういう感じかな~」って(笑)。
――鈴木さんは、花宮女子クライミング部としてED主題歌「LET’S CLIMB↑」にも参加されているので、鈴木愛奈で始まり鈴木愛奈で終わるみたいな(笑)。
そうなんです。ずっと私です(笑)! OP主題歌を歌わせていただくこと自体が初めてなのでうれしいですし、最初から最後まで私の声が流れるというので、本当にすごくうれしいです!
――鈴木さんご自身は、学生時代は陸上部だったそうですが、今回のような部活が題材のお話にはシンパシーを感じるのでは?
そうですね。競技をするシーン以外にも、身体を鍛えているシーンもあるので、その中で「実際にやったら絶対きついだろうな」と思うものもけっこうあって。陸上部時代にやっていた練習メニューを思い出して「あのメニューはすごく辛かったな~」って思ったりします。グラウンドをひたすら何周も走っていると、だんだん口の中で血っぽい味がしてくるんです。アフレコ中は当時のことを思い出して、口の中が何だかそんな味になりました。でもそれが、青春の味と言うか(笑)。
――「もっと高く」はホーンの入ったバンドサウンドで、すごくポジティブな楽曲になっていますね。
汗をかいたり、流す涙があったり、そういったシーンとすごくマッチして、より青春を感じることの出来るサウンドになっていると思います。すごく爽やかな王道アニソンですけど、リズムなど細かいところで変化が付けられているのも聴きどころですね。
――曲の冒頭はピアノと歌で始まりますが、MVではそこをアカペラで、それも横浜アリーナで歌っていましたね。
はい。通常のバージョンとは違ってMVではメッセージ性を強く出せるようにと思って、アカペラで歌いました。横浜アリーナは、私がずっと憧れている会場で、いつか横アリのステージに1人で立って歌いたいという夢があるので、撮影の時は「いつか絶対ここに立つんだ」という強い気持ちで歌いました。
――ただ歌っているのはステージ上じゃなくて、アリーナ席の真ん中なんですよね。
そうなんです。だから空気だけ吸ってきました(笑)。でも客席で歌う経験もなかなか出来ないことだと思いますし、MV撮影で横浜アリーナを貸し切ったアーティストさんもほとんどいないと思うので、とても良い経験をさせていただきました。
――鈴木さんは横浜アリーナにソロで立つことを目標に、アニメのキャラクターはクライミングの世界で頂点に立つことが目標で、それぞれの気持ちが重なることで、曲がより熱く胸に響きますね。
全体的に「もっと高く」の歌詞は、アニメ『いわかける!』の世界観がそのまま表現されているんですけど、共感出来る歌詞がすごく多くて、自分自身のことを歌っているような気持ちにもさせてくれます。
――歌詞には<隅っこでたてひざ抱えて>というフレーズも出てきますが、実際にそういう経験もありましたか?
いっぱいあります。私、隅っこにいると落ち着く人なんです。だいたい落ち込んだりした時は、意識してやっているわけじゃないですけど、なぜだか端っこらへんにいることがすごく多くて。2番の歌詞で<かすれた声で 口ずさんだメロディ>というワードが出てくるんですけど、実際に部屋の隅で音楽を聴きながら口ずさんでいたこともあったなと。自分もそうですが、みなさんの学生時代や青春がフラッシュバックしてくるようなワードが、すごくたくさんあるのではないかと思います。
――Dメロで<闘うべき相手は 昨日の自分>と出てきますが、このフレーズに関してはいかがですか?
ここは、私がいちばん共感出来る歌詞です。あの人のこれが良いなとか、どうしても周りと比べて羨ましがってしまうことがあって。でも、まずは自分自身に勝たなければ、そのループからも抜け出せないし、自分自身にしかそれを打破することは出来ない。やっぱりこの歌詞はまったくその通りだなって、すごく共感することが出来ます。
――昨日より今日、今日より明日と、どんどん向上していけるように、日々やっていることはありますか?
歌はつねに歌っています。口ずさんでしまうと言うか、知らない間に口が自然と動いていますね。夜はさすがにご近所迷惑になるので、大声では歌えませんけど、基本的にはずっと歌っています。もう呼吸するのと同じで、自然にポロッと出てしまっている感じです。
今の状況に対応していく力を付けなきゃいけない
――カップリング楽曲の「Cocoon」はアッパーのロックで、すごく格好いい曲ですね。
カップリング曲は表題曲とのバランスを考えるんですけど「もっと高く」が爽やかな王道アニソンなので、カップリングの2曲を作るにあたっては、1曲は格好良く、もう1曲は可愛い曲にしたいと思いました。「Cocoon」は格好いいほうの曲なんですけど、どことなく懐かしさを感じるテイストで「大好きなタイプの曲がきた!」と思いました。
――タイトルの「Cocoon」は日本語で繭のことですが、歌詞はどんなイメージですか?
自分はアーティストとしてはまだ始まったばかりなので、どこへでも行けるし、どんなふうにもなれて、進むべき道を自分で見つけていける。そういう意味合いを持っているのかなと思っていましたが、レコーディングの時にプロデューサーさんから歌の意味を聞いて、自分がイメージしていたものと違っていたので驚きました。
この歌は、現在は何をするにも身動きがしづらいところがあるけど、こういう今の状況に対応していく力を付けなきゃいけないんだということが込められています。自分が考えていたのは、自分だけのことでしたが、そうではなくて今の世の中の現状のことを歌っていて。それは私にも聴いてくださるみなさんにも当てはまることだったので、「そういうメッセージがあったんだ!」と思って、レコーディングする段階でアプローチの仕方がだいぶ変わりましたね。
――よりみんなに向けて、伝わるようにと。
みなさんに、この歌に込められたメッセージを伝えていきたいと思って。だとすると、どう歌えば良いか、どこをどう立てれば良いか、声出しの時にはこう歌っていたけど、こうしてみようかなと、レコーディングの本番であれこれ試行錯誤した感じでした。
いつもレコーディングする時は、頭の中でこう歌おうとかこう歌いたいというものが、わりとすでに定まっている状態で、それを提示して、違ったら修正していくという感じでやらせていただいているんです。でも今回はそもそもの解釈が違っていたので、いつもより時間をかけてレコーディングさせていただきました。
――歌詞に<しなやかに 順応する強さ>や<錆付いた常識 書き換えて>など出てきますが、鈴木さん自身コロナ禍で価値観が変わったことや、あらためて気づいたことはありましたか?
イベントやライブなど、みなさんと実際にお会いすることが難しくなってしまったぶん、どうしたらみなさんと繋がることができるのか、考えるようになりました。すでに何度かオンラインライブに出させていただきましたけど、そういうやり方がいろいろあるんだと思って、それがまさしく今の世の中に順応していくことなんだと思います。
――そして最後の「Happiness」という曲は、ゴスペル調のコーラスが入ったR&Bやソウルを感じさせる曲調で、鈴木さんにとって新境地となりましたね。
はい。ソロでは歌ったことの無かった曲調なので、すごく難しかったです。しかも英語の歌詞がたくさん出てくるし、フェイクを入れるところもあって。さっきお話した通り今回は、王道、格好いい、可愛いという3曲のバランスで作ろうと思っていて。「Happiness」は可愛い担当の曲なので、現場では「もっと可愛く歌って!」というディレクションがありました。休日の朝に聴いて心地よくなれるとか、ちょっと肩の力を抜いて聴いていただくことが出来る楽曲になったかなと思います。
――みんなでいっしょにクラップしながら歌うような雰囲気もありますね。
そうなんです。みなさんといっしょに合唱するような雰囲気をレコーディングでは感じて、そういう気持ちで歌わせていただきました。みなさん一人ひとりと手を繋ぎながら歌うような、温かくてやわらかいイメージがありました。
――音域が広い曲で、Bメロは低くなかったですか?
私には歌いやすいキーでした。もともと地声自体が高いほうではないので、わりと低い声のところのほうが出しやすいんです。こういう音域で歌う曲はあまりないので、新鮮に感じていただけると思います。今後もこういう低いところを使った歌を、もっと歌えたら良いなと思っています。
――2020年もそろそろ終わりですが、今年いちばん幸せだった瞬間はいつですか?
もっとも幸せだった瞬間は、やはりデビュー日の1月22日です。ソロアーティストとしての私が生まれた日ですから、私にとって今年いちばんのビッグニュースでした。ずっとなりたくて、高校2年生で夢見てから、やっと掴めたものだったので、自分にとってはそれがいちばん幸せな瞬間でした。
――そんな記念すべき年が、コロナで大変なことになりましたが。
今の状況は、まったく想像していませんでした。ライブやイベントが中止や延期になってしまって。それはとても悲しかったですけど、次にみなさんと会えた時のよろこびが倍になると思えば、前を向くことが出来ました。みなさんに会いたい気持ちも倍になったので、来年みなさんとお会い出来ることを楽しみにしています。
(おわり)
作品情報
鈴木愛奈
2nd Single「もっと高く」
11月18日発売
ランティス
【初回限定盤】2100円(税抜) / LACM-34063 / CD+BD(MV+メイキング映像を収録)
【通常盤】1300円(税抜) / LACM-24063
【アニメ盤】1200円(税抜) / LACM-24064
<収録内容>
01. もっと高く
作詞:浅田 秀之 作曲:浅田 秀之、栗山 健太 編曲:IKW
02.Cocoon 作詞:藤林聖子 作曲・編曲:ハマサキユウジ
03.Happiness 作詞:春乃みかく 作曲:三留一純 編曲:近田潔人
※アニメ盤未収録
プレゼント情報
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