声優の鈴木愛奈がソロアーティストとして22日、アルバム『ring A ring』でデビュー。2016年に放送されたTVアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』の小原鞠莉役で人気を博し、スクールアイドルグループAqoursのメンバーとして、2018年11月におこなった東京ドーム2Days公演で国内外ライブビューイング含め約15万人を動員。同年末の『第69回NHK紅白歌合戦』にも出演を果たした。『ring A ring』には、Aqoursやファンへの感謝の気持ち、自身のルーツにも立ち返った、鈴木愛奈のアイデンティティが詰め込まれた作品となった。ソロデビューの経緯や彼女の背中を押したもの、各楽曲に込めた想いなどを聞いた。【取材=榑林史章】
歌で人と繋がっていきたいというのが私のテーマ
――ソロデビューするお気持ちは?
私は、高校2年生の時からアニソンアーティストを目標にレッスンして来て、本当にソロデビューが夢でした。デビューの日が近づくにつれて、「本当にデビューするのかな?」と今さら不安に思ったり、まだ少しフワフワしていて実感がありません。きっと発売日当日になれば、しっかりとしたものが溢れてくるのかなと思っています。みなさんにアーティスト=鈴木愛奈として頑張って行く姿を見ていただく機会が増えるに伴って、ソロアーティストとしての自覚ももっと芽生えて行くのだろうと思っています。
――声優活動を経由してソロデビューという夢を叶えたわけですが、振り返って声優活動はどういうものだったと思いますか?
ソロデビューの前に声優という道を選んだことは、決して遠回りではなかったと思っています。いきなりアニソンアーティストとして世に出ようとしても、きっとチャンスがなかったと思います。「まずは声優・鈴木愛奈として名前を少しずつ世の中に出して行って、その先でアーティストを目指せばいい」と、初めて事務所に所属した時に、マネージャーさんからそうアドバイスを受けました。それから7年くらい経って、やれば出来るということを今は実感しています。ただのアニメオタクだった私がこうして夢を叶えたことで、夢を持っているみなさんに少しでも希望を持っていただけたら嬉しいです。
――そんな鈴木さんのソロデビューアルバムのタイトルが『ring A ring』で、ここにはいろいろな意味を込めているそうですね。
歌でみなさんと繋がっていきたいというのが私のテーマで、縁や人との輪を大切にしたいという気持ちをスタッフさんにお伝えして、『ring A ring』と付けていただきました。また、私が中学時代に先輩から呼ばれていたあだ名が「りんちゃん」だったこともあって、私の音楽に対する気持ちと自分のこととも掛かっていて、すごくしっくり来ています。スタッフさんからこのタイトルを提案された時も、これでお願いしますと即答でした。
――今回のアルバム『ring A ring』には、アニソンっぽい世界観でロックサウンドに乗せてパワフルに歌い上げている「遙かなる時空-そら-を翔ける 不死鳥-とり-のように」もあれば、ミディアムバラードの「はつこい」、ゴシックなムードの「antique memory」など、インストを含めて全13曲、いろいろなタイプの曲が収録されていますね。まず、TVアニメ『はてな☆イリュージョン』のED主題歌「ヒカリイロの歌」ですが、ご自身の名義でアニソンを歌うことも念願だったそうですね。
TVアニメ『はてな☆イリュージョン』には声優として、ヒロインの星里果菜役で出演させていただいているのですが、初回の放送をリアルタイムで見た時は、心臓が飛び出しそうなほど緊張しました。キャラクターソングでアニメのテーマソングを歌わせていただいたことはありましたが、鈴木愛奈としての歌声がテレビから、それも自分が大好きなアニメから聴こえてきた時は本当に嬉しくて、まるで時が止まったかのような感覚でした。観てくださったみなさんが、どんな風に受け取ってくださったのかとても気になりながら、テレビの前に手を着いて画面に顔を近づけて食い入るように見ました。
――「ヒカリイロの歌」は、Dメロではブレスの音が入っていて、そこにエモーショナルさが出ていますね。
ブレスの音は、録る時もこだわりました。柔らかい感じにしたいと思ったんですけど、最初は息を吐きすぎて「押忍!」みたいな強めになってしまったり(笑)、感覚を掴むのに時間がかかったというエピソードがあります。
――<わたしの声を聴いて>という歌詞があるところは、声優アーティストである鈴木さんを象徴していますね。
「ヒカリイロの歌」はTVアニメ『はてな☆イリュージョン』の世界観と同時に、私自身がアーティストを目指して来た過程とも重ねられるものになっています。最初にデモを聴いて歌詞を読んだ時は、作詞作曲のZAQさんは、どうしてこんなに私のことが分かるんだろう~と思っていたのですが、先日ZAQさんの番組『バズザックファクトリー』にゲスト出演させていただいた時に、どういう思いで制作してくださったのかをうかがう機会があって。
――どういう話でしたか?
私がどういう人なのかはスタッフを介してざっくりと聞いてはいたそうで、それがZAQさん自身の経験と重なる部分があったそうです。同じオーディションを受けていたり、アーティストになりたいと思って歩んで来た私の道が、ZAQさんが辿って来た道と重なって、だから気持ちを分かってくださるところが多かったみたいです。
――鈴木さんの名刺代わりになる1曲という感じですね。
そうですね。鈴木愛奈のこれから、アーティストになるために頑張って来た今までのことも、すべてがこの曲に詰まっています。ずっと歌い続けて行きたいなと思う楽曲です。