吉田山田「10周年のむこうが見たい」デビュー10年を経て見える新たな未来

“10年のむこう側”

――10周年を迎えて、この先新たにチャレンジしたいことはありますか？

吉田結威　思った以上に完結させるつもりで作ったんですけど、作り終えて自然とやりたいことや、まだやれてないことが見えてきました。それって僕らにとってある種の光なんです。「やってないから、やる」という。これがある限りは続けて行けるような気がしていて。凄く自然と、次の曲作りもしていますし、ここで一旦落ち着いて休むというよりは、自然なかたちで次へ次へという風になっているところがあります。燃え尽き症候群みたいにはなっていないんです。

　この３年間でけっこうありがたいお話を頂いたり、コラボをしましょうとか、作詞や作曲を提供して頂く話などがあったんですけど、この３年は自分達のことにちゃんと注目して自分達でやっていくというのがテーマだったので、お断りしたようなお話も、これから先少し新たなチャレンジとして色んな方とコラボをしたりとか。やっぱり自分達に凄く力を注いでいるあいだってできないこともたくさんあって。ずっと一緒にライブをしてみたかった人とか、１回やったけど第２回ができていないイベントとか、ここから先はそういうことにまたチャレンジしたいなと思います。その中で出来てくる新たな楽曲を届け続けることに意味があるのかなと思います。

――具体的にコラボしたいアーティストはいますか？

吉田結威　そう言われてパッと思い浮かぶのはKANさんです。KANさんとイベントや打ち上げ、お酒の場もご一緒させて頂いたりして、「一緒に曲を作ろうよ」みたいな話をして頂いたことがあったんです。お酒の席での話なのでKANさん自身が覚えてらっしゃるかわからないですけど。KANさんのライブを観ていても凄く好きな曲がいっぱいあるんです。そのKANさんに改めて第三者として吉田山田というものを見てもらって、「こういう曲を歌ったら面白いんじゃないか」と、ある種あてがわれた曲って絶対面白いと思って。

　僕らもなるべくたまに第三者的に吉田山田というものを見ようとしますけど、それでもやっぱり見えない、自分達を俯瞰で見るということをもしKANさんにやって頂けて、「こういう曲、絶対合うから」みたいな感じで書き下ろしでそれを僕らが歌ったときにどんなことを思うかが、凄く感じてみたいことなんです。もしかしたら凄く照れ臭い言葉が入ってくるかもしれないし、僕らでは絶対使わない言葉が入ってくるかもしれないし、凄く難しい曲かもしれないし、でもKANさんが思う吉田山田とはこういうものなんじゃないかというイメージのなかで作って頂けるのなら、そういうのも面白いなって思います。

――それは是非聴いてみたいです。最後に、11月30日に中野サンプラザホールで開催される「吉田山田10周年記念『大感謝祭』」はどのようなライブになりそうですか？

吉田結威　最新アルバム発売直後なんですけど、この10年間のなかで色んなタイミングで出会ってくれた方々が来られると思うんです。10年前から応援して頂いている方もいらっしゃると思いますし、もしかしたら一週間前に知って来てくださる方もいると思うんですけど、それでも吉田山田の10年の歩みを感じてもらえるような、一緒にこの10年間を歩いてきたと感じてもらえるような、そういうライブにできたらなと思っています。

山田義孝　大感謝祭なので、僕らも来てくれた人が「出会えて良かったね、あの日」と思えたらいいなということにプラスして、この先も一緒に旅をしていきたいなと思えるライブになったら一番いいなと思っています。

――楽しみにしております。ところで先ほどの「涙のむこう」の話にかかるのですが、吉田山田さんはどんな“むこう側”が見たいですか？

吉田結威　“10年のむこう側”でしょうか。今回僕らにとって重要だったのは、10周年でどうするかという色んな選択肢があるじゃないですか？　その中に「音楽をやめる」という選択肢を３年前に設けたんです。それって僕らにとって凄く大事で、常にけっこう気が張っている状態というか、そのときにしか出てこない言葉だったり、ライブのパフォーマンスがあったりしたので、それはやめたいから設けたのではなくて、続けたいからその選択肢を設けたんです。だから、結構シンプルに「10周年のむこう側を見てみたい」っていうことって、僕らからするとそんなに簡単じゃなくて。それを続けていけないという選択肢も設けた上でここ３年過ごしてきたので、11年目を迎えられることが凄くありがたいし、「ああ、良かったな。続けたい」と、お互いに思っていられる状態でいまいれて良かったなと思うので、シンプルに「10周年のむこうが見たい」。それが凄く楽しみです。

（おわり）