吉田山田「10周年のむこうが見たい」デビュー10年を経て見える新たな未来
INTERVIEW

吉田山田「10周年のむこうが見たい」デビュー10年を経て見える新たな未来


記者:平吉賢治

撮影:

掲載:19年11月13日

読了時間:約13分

 吉田山田が11月6日、デビュー10周年を記念した7thフルアルバム『証命』をリリースした。2017年11月リリースの『変身』、昨年10月リリースした『欲望』そして三部作を締めくくる今作でこれまでの10年の集大成が結実。今年は3年ぶり2度目となる全国47都道府県ツアー『吉田山田47都道府県ツアー~二人またまた旅2019~』を3月より実施し、8月24日に上野恩賜公演水上音楽堂で大団円のファイナルを迎えた。インタビューではツアーのエピソードや「ありのままの自分達の命の証」という本作について、そして10周年を迎えてのこれからの展望についても話を聞いた。【取材=平吉賢治/撮影=村上順一】

吉田山田としての10年間の想い

吉田結威

――10月21日で10周年となりましたが、10年を振り返っていかがでしょうか?

吉田結威 ずっと新たな気持ちで活動し続けた10年だったかなと思います。

山田義孝 ここまでたくさんライブもやってきたし、曲も作ってきたんですけど、一番良かったと思うのはこのアルバム、「一番いいのが出来た」と思えることです。ライブもそうですけど、「あのときが一番だったな」と思わずにここまでやって来れているというのが自分のなかで良いことです。ただただ年月を重ねればいいというものではないと思うので、それをちゃんと自分のなかで納得できて、「これはいままでにないくらいいい」と思いながら、いい10年を過ごしていました。

――常に前進して良くなっているという感覚がある?

山田義孝 本当にちょっとずつですけど。

――10年のなかで辛かったことはありますか?

吉田結威 パッとは思い浮かばないんです。いま思うと「なかなかしんどそうだな」というのもありましたけど、そのときはそんな風には思わなくて。それは良い意味で、仕事だと思ってやっていない部分が大きいからかなと思っています。僕らのなかで大事なことは体験することだと思うんです。例えば年間250本もライブをしていた年もあって、そのなかには、あるデパートのエレベーターの前の、ステージも何もない所で「はいどうぞ!」と言われて、音響もなく生音でやったりとか。でも、そのときは凄い雨が降り出して、その周辺にいたお客さんがワッとエレベーターホールに雨宿りしに集まったんです。だから凄くたくさんの人が聴いてくれまして。そのときからずっとファンでいてくれている人もいるし。だから「こんなこと初めてだったよね」って最終的に言えれば、僕らは辛い記憶として残さないことが多いんです。

――今年の47都道府県ツアーで印象的だった土地はありましたか?

山田義孝 山ほどありますね…。

吉田結威 山田のことで覚えているのは、山形県で「何か今日は髪型が違うな」と思ったら、そのことをステージ上で話をしていたんです。

山田義孝 1回目の47都道府県ツアーは本当にあっという間に過ぎていったんですけど、今回は2回目なので、できるだけその土地の空気を吸って、土地のことをちょっとでも知りたいと思ってライブ前の時間に散歩したり、お店に入って人と話したりして過ごしていたんです。山形県ではライブハウスの近くで、昔のビューティーサロンのようなお店があったんです。凄くレトロな看板が出ていて。ちょっと覗いたら、頭にカパッとはめるようなパーマの器具が置いてあって1席しかないお店だったんです。

――そこで整髪をしたのですか?

山田義孝 もうすぐ本番だから、「髪の毛やってくれませんか?」と言ったら「ちょっと私、男の人やったことないのでできないです!」って断られて。

――(笑)。

山田義孝 仕方ないなと思って一旦引いたんですけど、どうしても思い出が作りたいなと思って、一時間くらいしてもう一回「すみません」と言って入って。

吉田結威 しつこいな(笑)。

山田義孝 「私やったことないもん!」と言われたんですけど、「ご自身なりのでいいんですよ! ワックスとか付けてもらって…」と伝えて。そうしたら「じゃあ、ここにワックスとかムースとかいっぱいあるから自分でやって!」って言われたんです。でも「そうじゃないんです、あなたにやってもらいたいんです」と言ったら「じゃあやったことないけど、やってみる!」と言われて、毛先とかを整えてもらって、それでステージに立ったんです。

――仕上がりはいかがでしたか?

山田義孝 もう、バッチリでした! それで「お代は?」と言ったら「いいから! もう私いいから!」と言って全然お代を受け取ってくれないんです。これはまずいと思って急いでライブハウスに戻って僕らのCDを持ってきて、おみやげもお渡しして、「僕ら歌を歌っているんです」と、そういう心の交換ができたんです。そういうのが各地でありました。

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