柏木由紀

 “ゆきりん”こと柏木由紀(28)の対応力に驚く場面があった。11月2日、都内で、肝炎ウイルス検査の必要性を訴求するイベントがあった。そのプロジェクトのスペシャルサポーターを務めるAKB48から柏木が出席した。

 イベントは一般客も観覧していた。取材カメラマンは一般的に、取材対象者を良い位置で撮りたいと思っている。位置が悪ければ、顔を振りむいてもらえず、横顔ばかりになってしまうこともある。よって振りむくことが多いMC側に位置を取ることもある。

 この日はもともとステージ前の中央とMC側にカメラマン席が設けられていたため、撮り逃す心配はなかった。ただ、より良いカットを撮りたいと思案はしていた。

 そのなかで登場した柏木。MC側からの登場だった。彼女はまず、観客に向けて一言、一人一人に挨拶するようにくまなく見渡す。さすがはアイドルである。トーク中もそうした行動が見られたが、カメラマンにも配慮してか、顔をMCに完全に向けるのではなく、少し斜めに、撮りやすい位置にも向けていた。

 この日はステージ上で採血もした。注射が苦手な柏木は初めこそ苦悶の表情を見せたが、「痛くない!」と看護士の腕の良さを称えるとともに検査の必要性を観客に伝えていた。この注射を受ける時もカメラマン席からは看護士と顔がかぶってしまうおそれもあったが、たまたまだろうが、顔を背けるなどしていた柏木によって、それは回避された。

 おそらく、彼女は無意識のうちにそう対応しているのであろう。アイドルとして13年、バラエティだけでなく最近はドラマなどにも出演するなど活動の幅は広い。様々なことに取り組んでいく中で身に着いたものなのであろう。たとえ意識したとしてもカメラマンとしてはありがたい限りである。

 こうした些細な“気配り”でファンの心をつかんでいる、神対応ならぬ“神目線”に触れてそう思った次第である。【木村武雄】

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