自分の周りの人の力によって保たれるモチベーション
――15周年ということで改めてお聞きしたいのですが、奥華子さんが15年間変わらずにあるスタンスなどはありますか?
いやあ…いっぱいありますけど、もしライブをやっていなかったらCDを作りたいとも思わないし、曲も作ってなかったと思うんです。だからファンの方がいてくれたからなんです。挫折もあったりしたんですけど、それを受け入れるというか、それが自分なんだなと。それまで、そこまで万人受けする音楽じゃないんだと、ある時点で思ったときがあったんです。それまでは「まだ行ける、もっと行けるんじゃないか」とか。
そうじゃなくて、「もっと目の前のファンの方に届く音楽を作ったほうがいいんだな」と思った時から自分も楽になったし、考え方やスタンスが変わった気がします。もっと、まだ出会っていない人に届けるにはどうしたらいいかとか、「いまじゃ駄目なんじゃないか」とか。それは今の自分を否定することなので、凄くつらかったし…でもそれが現実だから受け入れざるをえないと。そういう時期はあったんですけど、そうじゃない時もいてくれた人がいたから続けてこられたんです。ファンの人もまわりの人も含め、自分の力じゃないですね。自分の周りの人の力によってモチベーションが保たれてきていると思います。
――「そこまで万人受けする音楽じゃないんだ」と、感じたのは何年くらい前のことでしょうか?
たぶん「シンデレラ」という曲を出した時に、いままでの自分とは違う、もうちょっとポップな明るい感じを意識して作ったんです。それまではパンツしか履いていなかったんですけどスカートを履いて黒眼鏡をかけて、ちょっと勝負に出ようという感じだったんですけど、だからといってブワッと広がったわけではなく、もっと行けると思っていたのにそうでもなかったんだと。そこからけっこう変わった気がします。
――ルックスを変えたときファンの方はどう捉えていましたか?
普通でしたよ。「いいね!」みたいに(笑)。
――自身では葛藤のなかでやったのに(笑)。
別に「変えちゃって!」みたいな感じもなかったし。こっちが「いいね!」という感じでもなかったし。だから私もしれっと戻したんですけど(笑)。見た目は大した問題ではないという感じではありますね。
――そういった変化をしたことがあったのですね。
でも、毎回色んな葛藤はあります。アルバムやシングルを出すごとに「これでいいのかな」とか。それは「シンデレラ」以降は何も葛藤なくというわけではなかったです。曲をやっとの思いで生み出していたという感じです。
――モチベーションはどう保たれていますか?
自分一人では何もできなくて、「あなたがいたからこそ」とか、誰かとの関わりによって生まれる感情が全てだなって思うところがあるんです。正直、「音楽が大好きです」とか「歌を歌うのが大好きなんです」というのとは逆にいるんです。自分の存在意義を音楽に求めている部分があるので、それによって聴いてくれた人が感動してくれることが自分のエネルギーになっているというのは、路上ライブのときから変わっていないです。デビューしたきっかけが路上ライブだったんですけど、その時に目の前にいてくれた人が感動してくれているという顔を見て私は感動できたし、それはいまも変わらないし、モチベーションです。
(おわり)







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