ゆうたろう、箭内夢菜、桜井日奈子、堀田真由、奥華子、小林啓一監督

 桜井日奈子、堀田真由、箭内夢菜、ゆうたろう、奥華子、小林啓一監督が7日、都内で開かれた、映画『殺さない彼と死なない彼女』(11月15日公開)公開直前イベントに出席。奥は主題歌「はなびら」をピアノで弾き語り、観客だけでなく登壇者の涙も誘った。

 漫画家・世紀末による四コマ漫画が原作。周囲から孤立していた、何も興味が持てない無気力少年の小坂と、自分が嫌いな死にたがりの少女・鹿野の2人がある出来事をきっかけに共に過ごしていくなかで不器用ながらも互いの心の傷を癒し、少しずつ前に歩み始めていく姿を描く。

 主題歌だけでなく劇伴も担当した奥華子。「原作が好きで運命を感じました。全ての力をこの作品に注ぎ込み、今は空っぽです」と並々ならぬ思いで制作したという。うち主題歌「はなびら」については、当初候補の3曲は、桜井日奈子演じる鹿野に感情移入しすぎて切なくなりに却下。「皆に希望を与えられるように」と作り直した。

 監督は曲を依頼した当時を回想。「奥さんが映画の感想を『綺麗な水』と言っていたので『それでお願いします』と伝えました」とし、出来上がった曲を聴いて「鳥肌が立って泣きました」。

 劇伴についても物語と重なるように緻密に作られたようで、監督は「すごく細かく音楽を作ってくれて、動きが合っているだけでなく、タイミングもずらしていた」と奥の音楽づくりを称えた。

 この日はその主題歌を奥が電子ピアノで弾き語り。優しい音色で始まったその曲は、澄んだ優しい歌声が重なっていき、場内を包み込む。中盤にかけて繰り出されるファルセットは心を洗い流すかのようだった。

弾き語る奥華子

 ステージを降りて観客席で聴いていたキャスト陣。涙がこみ上げており、「すぐに上がれない」と登壇するまでしばじ時間を空けた。

 改めてステージに立ち、感想を求められた桜井は「控えめに言っても最高。一語一句無駄のない歌詞。最高です」と称え、堀田は「我慢していたけど涙が流れて。パンフレットに書かれた奥さんのコメントを読んだときに、映像がこれだけ時間をかけて作っているのに、音楽も同じように時間をかけている。その思いにも感動しました」とした。

 まだ目に涙が残る箭内は「静かに涙が溢れてきて、何で泣いたのか分からない。勝手に頭のなかで撮影の時の思い出が蘇って…」と感慨に触れ、ゆうたろうも「この作品にぴったり。透き通った声で希望を抱ける曲。NGになった曲も聴きたい」と要望。更に「映画も去年撮影して何日もかかっている。4、5分の音楽のなかにその何日間を感じられた」と絶賛した。

 感想を聞く奥の目もライトに照らされてか、光っていた。

Photos

記事タグ