奥華子「関わりによって生まれる感情が全て」15年間の活動を支えた音楽の絆
INTERVIEW

奥華子「関わりによって生まれる感情が全て」15年間の活動を支えた音楽の絆


記者:平吉賢治

撮影:

掲載:19年11月12日

読了時間:約13分

 シンガーソングライターの奥華子が11月13日、デビューから15年間の歴史が詰まったベストアルバム『奥華子 ALL TIME BEST』をリリース。今作にはこれまでの15年の活動に一区切りをつけるべく、デビューから奥華子が作り上げてきた珠玉の名曲たちが収録されている。3つの世界に分けた3ディスク「花-HANA」“儚いからこそ愛おしいもの”、「空-SORA」“いつでもそこにあるもの”、「月-TSUKI」“闇があるからこそ見えるもの”に加え、初の映画音楽を担当した、小林啓一監督の映画『殺さない彼と死なない彼女』(11月15日公開)のサウンドトラックも同時リリース。本作3つのテーマの詳細、新録曲への想い、サントラ制作などについて話を聞いた。【取材=平吉賢治/撮影=村上順一】

「花と空と月」という3つのテーマで分けた世界観

奥華子

――ベストアルバムの曲の選出は凄く難しかったのではないかと思います。どのように選んでいったのでしょうか?

 「失恋ソング」「ハッピーソング」「人生ソング」みたいな感じで、曲のテーマで分けようと色々悩んだ結果、曲の持つ自分のイメージで分けようと思ったんです。花と空と月という、象徴するもので分けたんです。「儚いからこそ愛おしいもの」という象徴が花で、「いつでもそこにあるもの」という象徴が空、というイメージで分けていくと、曲調もあまり偏らずに、ただ失恋ソング、ただハッピーソングというだけではないものが出来たと思いました。新たな3枚のディスクを作りたいという思いで作りました。

――ベストアルバムを3つのテーマで分けるというのは斬新だと思いました。

 失恋ソングだけ、ハッピーソングだけ、という風にやると同じような曲が並んじゃって1曲1曲が活きなくなってしまうんです。そうではなくて、曲がもっと活きる選曲、曲順はないかなと考えたときに、これらのテーマが凄く良いなと思ったんです。

――「花-HANA」は、“儚いからこそ愛おしいもの”というコンセプトで曲を選んでいったのでしょうか?

 花というタイトル、曲名もたくさんあるんですけど、その曲の歌詞の持っているメッセージ性が正に“儚いからこそ愛おしいもの”かなと。色々あると思うんですけど、失恋ソングもそうですし、全部儚いじゃないですか? 時間も過ぎていくし、歳も重ねる、人の命も儚いと考えると、実はどの曲もどのテーマにもあてはまると思うんです。「月-TSUKI」でも「空-SORA」でも、みんなその要素はあると思うんです。“闇があるからこそ見えるもの”でもあるし。ただ、その儚さが強いものを「花-HANA」に持ってきたというのはあります。

――そういった意味で、「空-SORA」には“いつでもそこにあるもの”という要素が強いものを寄せた?

 はい。あとは単純に歌詞のなかに“空”という単語が出てくる曲とか、「これは空かな」とか。人によっては「これ空なの?」「これ花なの?」という感じ方もあると思うんです。それは全然良いと思うんですけど、私のイメージのなかでの分け方なので、そこは自由だと思います。

――「月-TSUKI」の“闇があるからこそ見えるもの”というのは、どんな心境を表しているのでしょうか?

 悲しみや苦しみ、失恋もそうですけど、そういうものってマイナスなイメージではあるんですけど、でも、それだけではなくて「だからこそいまがある」と思えたり、その悲しみを知っているからこそ優しくなれたり、それが「月-TSUKI」のテーマだと思うんです。光って闇がないと見えないものだから…「月-TSUKI」ディスクに関してはけっこう失恋ソングが偏って入ったなと思います。

 「月-TSUKI」ディスクに入っているような曲は比較的自分の真骨頂というか、自然に出来上がる曲が多いです。黙っているとこういう曲が出来るという暗いバラードが多くて、明るい曲は意識しないとなかなか出来ないので。自分らしいなと思うのは「月-TSUKI」ディスクですね。

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