歌手・森口博子の根幹に迫る、バラドルの先に見続けた「歌うこと」
INTERVIEW

歌手・森口博子の根幹に迫る、バラドルの先に見続けた「歌うこと」


記者:木村武雄

撮影:森口博子

掲載:19年08月09日

読了時間:約17分

歌手・森口博子の原点、恩師の言葉は今も胸に

――これまでも、そういった感覚を感じた楽曲はありますか?

 「鳥籠の少年」(※)です。一回聴いただけで奮い立たせてもらえるというか。いつの時代もキャッチーな曲っていいですよね。(※=2018年2月14日リリース、CRフィーバー機動戦士Zガンダム搭載曲で、32年ぶりに『Zガンダム』とのコラボで話題に。レコチョクではジャンル別部門ウィークリーランキングで1位、GYAOではMVがデイリーランキング1位になった)

――「鳥籠の少年」も名曲ですよね。確かにキャッチーですが、森口さんの歌声ではないと響かないと思うのです。

 その言葉が本当に何よりも嬉しい! 私がスカウトされた理由は「声が良いから」だったんです。「水の星へ愛をこめて」のレコーディングのときに、ディレクターさんが「この曲は君が大人になっても、何年経っても歌える曲だからね」と、色褪せないという意味で言ってくれたんです。「君にはそういう歌手になってほしいから、この曲は上手に歌おうと思わなくていいから、大事に、大きな気持ちで歌ってね。言葉を丁寧に」と、言って頂けたことが、「歌手・森口博子」の基本になっています。

――瑞々しい歌声というか、記者として“瑞々しい”という表現をたまに使うのですが、これほど当てはまる方もいないというか。透明感の代名詞というところもあります。

 「歌が上手い」と言われるより、そう言って頂けるのが一番嬉しいです。

――村下孝蔵さんのカバー「初恋」もそうですけど、ピュアさ、危うさ、そういったものを全て持っているんだなと感じます。

 末っ子習性? が抜けていないということがバレているのかな(笑)。Youtubeで観て下さったんですね。

――これまで長く活動を続けてきて、歌手という夢を叶えたわけですが、夢を叶える秘訣はありますか?

 「疑わなかったこと」です。「なりたい」ではなく、「なる!」なんです、ずっと。オーディションを受けまくりの落ちまくりでも「なる!」。当時の日記が暗くても「なる!」なんです。

――日記暗かったんですか(笑)。

 落ちた時の心境がポエムになっているんですよ。「暗闇の中に立っている私――」から始まって。節目にときどき見返すんですけど、更に泣いちゃうんですけど(笑)。「夢があるから頑張れているのか、夢があるから苦しめられているのか、神様わかりません」って、ガラスの心の私が日記で叫んでいるわけですよ。当時の自分を抱きしめてあげたくなるくらい。「大丈夫だよ! そんなことで人は壊れないから」と。それくらい、壊れそうなことが綴られていて…とは言っても、最終的には「なる!」なんです。

――夢に対して強い想いがあったうえで「疑わない」ということですよね。

 疑わないし、描けているんです。歌っている自分が。忙しかったときもバラドルと言われていたときも、「歌手なのに」という気持ちがあるじゃないですか? 母が「コンサートをしたかったら、具体的に描きなさい」と。ソバージュで黒い衣装を着てセクシーな踊りもやってみて(笑)…そんなシーンとかも実現できたりして。そうやって思い描いたことは、いままで全部実現しているんです。

――こうお話を伺っていると、見い出してくれた恩師の言葉と、「疑わない」という気持ち、周りのスタッフさんによって進んできたと言っても過言ではない?

 そうです! それがあってこそです。だから「デビューのきっかけは?」と聞かれたときに、取材では一応凝縮して話しているんですけど、デビューする間だけでもどれだけの人がいたかと! それを17歳のときに私は感じたんです。だからデビュー当時のプロフィールに、好きな言葉は「出会い」と書いていました。デビューをしたら正にそれがどんどん広がって…本当に、支えてくれる人あっての夢ですよね。一人では叶えられません。

森口博子

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