舞台経験で歌声に変化、芯のある歌声に
そんな稽古も佳境を迎えている。1週間のうち6日間をそれにあてており、オフの時は「時計のアラームをかけずに寝て、気づいたら3度寝して夜の8時になっていました」と笑み。「翌週も頑張れるように」と休日はリフレッシュに努めている。
「普段は『あらしのよるに』の世界にがっつり入っているので、オフで動けるときは動きたいと思っていて。お買い物したり、気分転換に美味しいものを食べたり」。それでも「劇中の音楽は家に帰ってきてからも抜けなくて、ずっと頭の中に流れていて(笑)。夢とかにも出てきます。もう常に頭にある状態ですね。でも良い音楽なので楽しいんですけどね」と表情を緩めた。
プライベートでも音楽との繋がりは深く、趣味は音楽鑑賞。ロックバンドのライブにもよく行くといい、カラオケではバンド系を選曲。在阪中は、フェス『RUSH BALL』や『RADIO CRAZY』にも積極的に“観戦”しており、“ロックガール”の一面も持つ。
そんな彼女は、BSフジほかで2018年4月に放送されたTVアニメ『ひそねとまそたん』のオープニングテーマ「少女はあの空を渡る」でCDデビューしている。歌声は、その佇まいをそのまま表現したかのようなピュアさがにじみ出る。
ただミュージカルなど舞台ともなると、発声方法は変わる。「稽古前に発声練習をする時間を作って頂きました。長丁場なのでのどをつぶさないよう発声するやり方をちゃんと学んでやっています」
一方、舞台経験で副産物も得た。「歌声に芯が出来たように感じます」。となると女優だけでなく、歌手としての活動も期待されるところだが、当面は女優業に軸足を置くという。
2020年初夏公開予定の映画『しあわせのマスカット』での単独初主演、同年8月公開予定の『思い、思われ、ふり、ふられ』では若手俳優4人主演のうちのひとりを演じるなど、主演作が続々と決定。そのなかで迎える今回の音楽劇『あらしのよるに』は自身にとってどのような作品になるのか。
「こうしてW主演でやらせて頂けるので、その経験は自分の中で生きていくと思います。周りの人たちがいるからこそ、アンサンブルの方が世界観を作ってくれるからこそ、私たちがお芝居できるので、そういう気持ちを大事にしたい。また日生劇場で公演ができることも貴重な経験で自分のなかではとてもプラスです。どの仕事も大切で、『あらしのよるに』という仕事を頑張った先に次の仕事があると思うので、一つ一つ大事にしたいです」
(おわり)
ヘアメイク:冨永朋子(Allure)
スタイリスト:道端亜未