台湾出身4人組ボーイズバンドnoovy(ヌーヴィー)が4月13日に、東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEでワンマンツアー『3rd LIVE TOUR「One More Step~Hank Last GIG~」』の東京公演をおこなった。ツアーは3月31日の大阪MUSEを皮切りに5月5日の台湾・台北・RIVERSIDE LIVE HOUSEまで全5公演をおこなうというもの。このツアーで結成から約5年を共にしたギターのHankが俳優の活動に専念する為卒業する。ライブはアンコール含め全17曲を披露。この日のライブでこの4人による日本でのステージは見納めとなったが、悲しい空気感はなく輝く未来へ向かって進んでいくポジティブな空間だった。東京公演の模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

ファンをステージに!?

Shawn

 この季節には出会いと別れがつきものだ。そして新しい時代へと進んでいく。noovyにもその時が訪れた。このツアーを持ってギターのHankが卒業する。日本でのワンマンライブはこの日で見納めとなる。この渋谷duo MUSIC EXCHANGEは何度かイベントなどで立ったことがあり、その時に「ここでワンマンが出来たら…」と目標のひとつの場所。その夢が叶った日でもある。

 開演時刻になりSEに乗って、Mark(Dr)、JK(Ba)、Shawn(Vo.Gt)、そして、Hank(Gt)の順にステージに登場。SEから生バンドのサウンドに引き継がれかのように始まったのは「Walk Away」で、この4人での日本ラストステージの幕は開けた。聴かせるナンバーで決して派手なスタートではない。しかし、このタイトルからもわかるように、旅立っていくHankの心境とリンクし、オーディエンスの感情を揺さぶりかけるよう。

Hank

 序盤では3月にリリースされたシングル「スピードアップ」に収録されたnoovyらしさが出た一曲「In My Dreams」、今の季節にぴったりで情景が見えてくる「Cafe Girl」(※正式にはeにアキュート・アクセントが付く)とポップな曲で心を満たしてくれるようなステージ。ここでMCを挟んだが、Shawnは1曲飛ばしてMCに入ってしまったようで、「ちょっとまって!」とJKからの指摘で気づき、ライブにテンションが上がり過ぎたと照れ臭そうにはにかんだShawnは、気持も新たに仕切り直し「Lily」を演奏。その切ない歌詞とメロディを口ずさむオーディエンスの姿も多く見られた。

 続いては、このツアーならではのスペシャルコーナーへ。日本語で喋るのは難しいと、常々語っていたMarkがステージ前方まで赴き、日本語でスペシャルコーナーの概要を説明。日本に来てからの3年間の成長の成果がこんなところにも出ていた。スペシャルコーナーはShawnとのジャンケンで勝ったHankのファン1名がステージに招待され、隣でHankの歌とギタープレイを堪能出来るというもの。「Singin' for you」の出だしのサビを、しっとりとHankが歌い上げファンにはたまらない時間となった。続いての「bye bye darling」では、サビでワイパーのようにリズミカルに振られる光景が見られる一体感を感じさせ、ステージを後にするメンバー。

 ここでメンバー3人からHankに向けてVTRでメッセージを届ける。初めて出会った時の印象など思い出を振り返った。そのVTRが終了すると、デビュー時に着用していた制服に衣装チェンジし再びステージに4人が登場。届けられたのは日本デビューとなった1stシングル「Garage」だ。この4人で何度も演奏してきたであろう。いつもとはまた違った表情が今回の「Garage」から伝わってきた。

もっと大きな夢に向かっていきましょう!

JK

 そして、ライブは後半戦へ突入。疾走感がありアグレッシブな「Cross The Line」、「Fade to Black」とnoovyのロックな一面を存分に打ち出した2曲でフロアはヒートアップ。JKとMarkによるリズム隊のラウドなビートがオーディエンスの熱量を高めていた。

 ロックなnoovyを堪能し、続いてShawnが「一緒に踊りましょう!」と投げかけ、サビでの振り付けが印象的な「LION DANCE」へ。間奏では、右、左、真ん中とオーディエンスを煽りライブならではの楽しさが詰まったナンバーだ。バラードナンバーの「HOME」では、Hankの願いでオーディエンスはスマホのライトを点灯させると、フロアはスマホの白い光が星のように輝き、<幾千の夜の星を道しるべにして>という歌詞を体現しているかのよう。楽曲の世界観をより引き立たせ、よりエモーショナルな空間を作り上げていた。この曲は異国で奮闘した彼らならではの楽曲で、日本のファンがいる限り、彼らにとって日本もHOMEであり、この曲を通してメンバー4人全員がファンのみんなへ感謝の気持ちを伝えた。

 今度はHankからメンバー3人とファンへ向けたVTRメッセージがスクリーンに投影。noovyと過ごしたこの約5年間への想いとファンへの感謝を伝えた。そして、Tシャツに衣装チェンジしたHankが1人でステージに登場。オーディエンスは一斉にサプライズメッセージをそれぞれが掲げ、それを見たHankも「やっぱり寂しいね。感動しました」と少し感傷的になる場面も。改めて訪れたオーディエンスに感謝を伝え、アコースティックギターの弾き語りで、自身が気に入っているというカバー曲「公転自転」を丁寧に歌い上げ、この日のハイライトの一つとなった。

Mark

 3人が合流し、オケに合わせそれぞれが自由に動きながらパフォーマンスした「ONE」。ペットボトルの水をフロアに浴びせ、バンドサウンドに流れ込むという演出で沸かせた。Shawnは「もっと大きな夢に向かっていきましょう!」と投げかけ、最新シングル「スピードアップ」を披露。ステージサイドから桜をイメージした紙吹雪が会場に舞い上がった。Hankの未来を祝福、そして、noovyの未来を後押ししてくれるかのような1曲でステージを終了した。スクリーンには「いつかまた!」と希望を感じさせてくれるメッセージが投影。

 客出しのBGMが流れ、これでライブは終了したと思いきや、オーディエンスのアンコールを求める手拍子に、再びステージに4人が登場。最後にもう1曲「イチバンボシ」をアコースティックバージョンで披露。オーガニックなサウンドに乗って、オーディエンスもシンガロング。やわらかな風が吹くかのような、多幸感あふれる音に包まれるなか、ライブは大団円を迎えた。

 noovyの第1章を詰め込んだ、集大成とも言えるステージだった。5月から俳優業に専念するHankとnoovyの新しい門出を祝福する温かい時間がこの場所には終始流れていた。

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