吉田山田「常に音楽を意識できている」10周年イヤーのスタートで叶えた夢
INTERVIEW

吉田山田「常に音楽を意識できている」10周年イヤーのスタートで叶えた夢


記者:小池直也

撮影:

掲載:19年02月19日

読了時間:約17分

絵と執筆と音楽

吉田山田

――ところで「10周年までにアルバムを3枚出す」と公言されていますが、このシングルから今後どの様に展開されていくのでしょうか。

吉田結威 できれば出したいです。

山田義孝 目標ですね。47都道府県ツアーもあるので、その中でもしかしたら色々と変わってくることもあるかもしれませんが、目標は3部作の締めくくりを作れたらなと。準備はしています。毎回そうなんですけど、アルバムに向けて全精力を込めていると「もうこれ以上の言葉とメッセージは出てこないんじゃないか」と思うんですよ。でもツアーとかに出てみると、また歌いたいことが生まれてくる。

 最近僕が作る曲は、時代の流れに反してシンプルな曲が多いんです。だから10周年に向けて気合は入っているんですけど、曲は少し肩の力が抜けた言葉が多くなるかな。誰でも知っている言葉を紡いています。全貌は見えないですけど、シンプルで強い曲が揃うんじゃないのかな。子どもでも大人でも一回聴けば歌える様な。右往左往したけど、また原点に帰ってきたなと感じてます。

――吉田さんはいかがですか?

吉田結威 アルバム『変身』『欲望』と作って、曲を「作る」のと「生む」のは全然違うんだと気付いたんです。「作る」は他人を意識していて、色々な刺激を受けて聴いた人のことを頭のどこかで考えながら作るんですよ。でも僕らが3部作でやらなきゃいけないことはちゃんと自分から「生む」こと。どう聴こえるとかじゃなくて、何を歌いたいのかというのを明確に曲として落としこまないと。

 いい大人なので、人が何を求めているかとか、こういう言葉が耳ざわりがいいということは何となく分かるんですよ。それを器用にやっている様では、この先15年、20年と続かない。一人の人間として、わがままでも人に伝わりづらくても意志を残さないと。そうじゃないとミュージシャンとして後悔するなと思ったんです。次のアルバムはその3部作の集大成になりますから、生む作業。それが今の僕らにとって大事なことなので。今ももちろん作っているんですけど、僕は47都道府県ツアーが終わったらまた自分たちの心が変わると思うんです。その時の感性をすごい大事にしたいですね。

 一度47都道府県ツアー周っていますけど、本当に毎日音楽のことを考えている日々なんですよ。それを経て「このアルバム出したら辞めてもいい」というくらいの気持ちでやらないと後悔するなと今の時点では感じています。

――変身、欲望と来て、次はなんでしょうね。

吉田結威 漢字二文字縛りにしたつもりじゃないんですけど、その期待がちょっと上がっていて。みんなが予想し始めるので、やめてくれと言っています(笑)。もし仮に決まったタイトルに「それ僕の意見ですね」ってファンから言われたら複雑じゃないですか(笑)。

――2019年は10周年を迎えて記念すべき年になりそうですが。

吉田結威 なんとなくは過ごしていないですね。去年のツアーを終えてから、今の曲では表現できていない自分の感情に気付けたんです。なので、オフの日とかでも音楽を意識できているんですよ。しかもマイペースなので、辛くない形で制作ができているのが心地いいです。あと「赤い首輪」という曲をきっかけに『いぬのきもちWEB MAGAZINE』で連載をやらせてもらえる様になって。「ものを書く」というのが楽しいと思っています。自分の感性が音楽にいったり、文章にいったり、色々なところに向く。それが相乗効果で、リフレッシュにもなるしいいんですよ。山田にとっては絵を描くことなのかもしれないですけど。すごく充実した2019年のスタートでしたね。

山田義孝 そうですね。絵を描く時間は増えました。曲も作り始めるまでが大変なんですよ、腰が重くて。なので制作の手始めとして絵を描いたりしてます。絵描きさんともたくさん知り合いになって、色々話したんですよ。そこで気付いたのは僕は「いい感じだな」と思ったら筆を止めて、完成させることができる。でもプロの絵描きさんは「もっとよくなる」と思って、もっと詰めたりぐしゃぐしゃにしていく。ここが違いなんだなと感じました。音楽でも「どれだけ壊していけるかな」と最近は考えています。僕がいいなって思っても、よっちゃん(吉田)が壊す時もある。二人組だとそういうところがいいですよね。お互いの意志と感性があるので。常にコラボし続けているなと。

――絵や文章は音楽をやっている感じに似ていますか?

吉田結威 全然違いますね。文字を書くのはライブのMCに近いです。MCって緊張感のある曲が続いたりした時に、深呼吸して欲しかったり、次にやる曲をより伝えられるために挟むんですけど。それに近いですね。でもやっぱりそこには旋律がないじゃないですか。そこが違うところで、文字は書かないと絶対伝わらないんです。音楽は言葉にしなくても伝わる部分がある。だから全部書いちゃうとトゥーマッチになっちゃって。そこが僕のなかでは大きな違いですし、面白いところです。

山田義孝 絵はメロディ作りにすごい似ていると思います。それぞれのメロディを聴くことでイメージが広がっていく。でも歌詞が乗ってくると違いますよね。あとは期限があること。絵は期限がないので、終わってる様で終わりがない。

――最後に読者にメッセージをお願いします。

吉田結威 とにかく47都道府県ツアーのどこかに来て欲しいです。僕らは20周年、30周年と続けていくつもりです。でもこの先何が起きるかわからない。手軽に音楽も聴けるし、気軽にライブも来れるんですけど、そのライブはその時にしかないので。僕らとしては、毎回見納めるくらいの気持ちで来てもらいたいです。その後さらに楽しい日常が過ごせると思うので。ライブにぜひ来てください。

(おわり)

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