片平里菜、「笑顔」に向き合えた理由 温かみのある歌の正体は郷土愛
INTERVIEW

片平里菜、「笑顔」に向き合えた理由 温かみのある歌の正体は郷土愛


記者:木村武雄

撮影:

掲載:18年12月05日

読了時間:約14分

裏テーマは女性のしなやかさ

――2年くらい前だったと思うのですが、ライブでマイクも通さずにアコギと地声だけで「最高の仕打ち」を披露されているのを聴いた時も感動しました。あれがかなり素の状態に近い状態だったと思うのですが、バンドアレンジをやったことによって曲に対する印象は変わりましたか?

片平「歌い方が全く違うんですね。それは、栄純さんに『ここは優しく歌った方がいい』『ここは地声で』という細かいところもディレクションしてもらって。弾き語りだと裏声も使わず、地声で張り上げる感じなんですけど、今回は裏声も駆使しつつ優しく歌っていて。何と言うか、マインドは女神感(笑)、許容するほうの気持ちに近いと言うか」

――確かに音源でもオリジナルはロック感が強いですが、今回はバンドアレンジながら歌声は優しくなっていますよね。それは菅波さんのアイデアもあってのことだったんですね。

片平「逆の対比もあったのかもしれません。男どもと張り合うというよりも女性としてのしなやかさみたいなものがあったほうが『グッとくるんでねぇか』と(笑)」

――アレンジに関して注文はあったのですか?

片平「1回ライブでもやっているので、信頼していて栄純さんにゆだねました。大体予想もついていたので。細かいことはレコーディング中に微調整しました。それくらいダイレクトで良いなと」

――それでは、レコーディングはスムーズにいったんですね。歌入れもあまりテイクは取らずに?

片平「レコーディング自体はスムーズでした。ただ、歌は結構録り直しましたね。裏声が得意ではなくて普段は歌わない歌い方だったので」

――その点はチャレンジングだったわけですね。では、その辺に注目すると新しい片平さんの魅力が見えてくるかもしれませんね。先程“女性としてのしなやかさ”というお話が出ましたが、今回のテーマは「女性らしさ」になるのかもしれませんね。自身としてではなく、周りから見た時に考えられるものとして、と言うことですが。

片平「この歳になるとそこからは逃れられないですよね。男か女か、子どもか大人かという偏見とか枠組みに捉らわれるのが苦しくて音楽に開放感を求めて私はやって来たので、いつまでも少年少女じゃいられないし、子どもを産むのは早い方がいいのかなとか、現実的なことにも向き合っていかないといけないし。女性らしくありたいとは思わないのですが、自分か女性であるということには向き合いたいと思っています。女性としてどう生きるのかというのは今からの課題だと考えています」

片平里菜(撮影=冨田味我)

片平里菜(撮影=冨田味我)

――タイトル『fragment』は、かけらと言う意味ですよね。曲たちが自分自身のかけらと捉えて良いのでしょうか。

片平「タイトルはみんなでアイデアを出しあって、『これだ!』と決めました。fragmentは『かけら』の他にも意味はあると思うのですが、キラキラと輝いている印象があったので。ぱっと見て明るい感じがいいなと。日本語にしようかとも思ったのですが、日本語は奥行があるので、深読みされるかもしれないと思ったので。5年経ってベストアルバムでここまで来たことがぱっと分かるように。ポジティブなイメージがついたらいいなと思って。環境を変えたりして色々と心配してくれる人もいたので、曇った印象はない方が良いなと」

――ジャケット写真の笑顔が全てを物語っていますね。今後が楽しみです。

片平「そうです。笑っていた方が良いなと」

――今後が楽しみです。もう曲は書いたりしているのですか? どういった作品ができそうですか?

片平「曲はいろんなジャンルに挑戦していて、楽しく迷っています。これもやってみたい、あれもやってみたいという感じで」

――最近はどんな音楽を聴いているのですか。

片平「何でも聴いていますが、今はソウルとかを聴いています。昨日はずっとベン・E・キング(米ソウル歌手)を聴いていました。歌うのがとにかく好きなのでブラックミュージックに憧れがあって。突き詰めると黒人の歌が凄いのでそれも好きだし、でもロックも大好きなのでどっちも行き来しながら聴いています」

片平里菜(撮影=冨田味我)

片平里菜(撮影=冨田味我)

(おわり)

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片平里菜(撮影=冨田味我)
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片平里菜(撮影=冨田味我)
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