シンガーソングライターの片平里菜が1月26日、東京・マイナビBLITZ赤坂で「brand new album『一年中』発売記念リリースパーティ 冬の魔法」公演をおこなった。4thアルバム『一年中』の収録曲順通りのセットリストで展開された本編は、そのタイトルの通り1年で想いを馳せる様々な心情をライブ感たっぷりに広げた。アンコールでは8曲を披露、そして終盤で予定外の展開を見せるなどリリースパーティは大盛況の一夜となった。【取材=平吉賢治】

明るく幸せなムードをみんなに届けたい

(撮影=jokei takahashi)

 SEのリズムに合わせたオーディエンスのクラップが鳴り響くなか、片平がステージに登場。まずはMCからライブが始まった。「このアルバムは1年かけて、春夏秋冬色んな季節を自分の気持ちに重ね合わせて作りました。1年かかっています。ようやくここに立てました」と、片平は『一年中』発売記念リリースライブに込められた想いを言葉にした。

 そしてバンドメンバーを一人ずつステージに呼び込んで紹介し、「デザート」からアルバム収録曲順にライブを進行させた。片平はアコースティックギターを持って語りかけるように歌い、バンドインすると軽快なビートとアンサンブルが広がり、息ぴったりの演奏でオーディエンスを温かく照らした。片平はハンドマイク歌唱にタンバリンを持ってのパフォーマンスと様々なスタイルで「冬の魔法」「ラズベリータルト」「sunny」まで披露した。

 曲間のMCでの「このアルバムを通して自分が良い方向に変わっていくことが一つのテーマ。そして明るく幸せなムードをみんなに届けたい」という片平の言葉通り、ハッピーなムードをオーディエンスと共有した。「夏が待ちきれない」ではドラマチックな展開の楽曲世界観を魅せ、アコースティックギター弾き語りからの「一日中」では優しく言葉を重ねるように歌声をフロアに響かせた。

 ギタリストの鋭いストロークから始まった「JUMP」ではオーディエンスはスタンディングで応え、楽曲の拍に合わせたクラップでアンサンブルに参加した。そして少しテンポを落としての「赤い目の空」では、片平は黒のテレキャスターを構えてトリプルギターの厚みのサウンドのなか、叙情的な歌声を絡み合わせた。続く「bloom in the city」では軽快なシャッフルビートで踊るようなボーカルを披露。春夏秋冬に気持ちを合わせたというアルバムの世界観があらゆるアプローチでライブ演奏され、作品の生きた姿がフロアで輝きを見せた。

 片平は地元の福島への想いを言葉にしつつ、「しんどいこと、つらいことなんて無かったらよかったけど、今日この瞬間みんなに会えたことがとても嬉しいです。それを誰に対しても思えたらなと、そういう歌を歌います」と語り、「オレンジ」を披露。片平は歌唱中にも「今日は来てくれてありがとう!」と、笑顔で会場中に感謝の気持ちを伝えた。

 ピアノとスライドギターが絶妙に絡む導入、疾走感溢れるベースラインと鮮やかなドラミングのアンサンブルがたまらない「晴天の兆し」へと続き、ライブはアルバム最終曲「明日には」へと向かった。本編ラストの曲を前に片平は、「季節と一緒に生まれ変わって、どんどん新しくなっていってこのアルバムが完成しました。色々あるけど希望を持って今日を過ごせるようにと思っています」と伝え、想いを噛みしめるように「明日には」を歌い上げた。

 4thアルバム『一年中』の収録曲順通りのセットリストで展開された本編は、そのタイトルの通り1年で想いを馳せる様々な風景と心情をライブ感たっぷりに広げられていた。片平の想いが重なり合う歌声と演奏で、オーディエンスと心がひとつになったような、温かくキラキラと輝く素敵な空気感がつくりあげられていた。

予定外のダブルアンコール披露

(撮影=jokei takahashi)

 本編12曲を終え、アンコール曲目が始まると「ここからはカジュアルに行きましょう!」と笑顔を光らせる。ビートの効いた「baby」からオーディエンスは右手を振ってエネルギッシュに反応。本編でみられたカラフルな空気感にさらなるライブテイストが広がる。間髪入れずに繋がれた「BAD GIRL」ではシャッフルビートに印象的なユニゾンプレイ、そしてダンスにロングトーンと楽しげな片平の姿がライブの熱気を押し上げる。それを表すかのように、「Oh JANE」ではオーディエンスからクラップが終始鳴り渡り、会場一体感は右肩上がりに上昇していた。

 「何かと戦っている歌です」という紹介から始まった「誰もが」は、片平の弾き語りで披露された。歌詞の言葉一つ一つのメッセージ、そしてメロディ一節一節に込められた感情がダイレクトに心に突き刺さるようだった。

 そして片平はバンドとオーディエンスと共に、「誰にだってシンデレラストーリー」からハイテンションで走り続けた。飛び跳ねて笑顔でのパフォーマンスを魅せる片平、「女の子は泣かない」で巻き起こるオーディエンスのシンガロング、バンドのほとばしるスピード感の「Party」での高揚感と、フロアを満たす熱量で作り上げられた空間は“明るく幸せなムードを”という片平の想いが具現化したような風景だった。

 最終曲を前に片平は、「これからも歌います。それだけは決まっています」と、ニッコリしながら決意表明。そして「今年は頭に『一年中』という、私も納得できるようなキラキラしたアルバムが出せましたし、こうやって久しぶりにみんなと音楽で遊べましたし、嬉しいです。おかげさまで良いスタートが切れました」と、改めて作品ができたことと、その世界観がシェアできたことをオーディエンスへ感謝の言葉として伝えた。

 そして、ストレートに口にした「最近、歌うことは純粋に楽しいです」という言葉と爽やかなスマイルは、この日のライブの好感触を物語っているようだった。もちろんオーディエンスからも幸福感を表すようなレスポンスが届いた。さらに「デビューして7年が経つんですけど、これからだと思っています。みんなにとってもそうだと思います。最後に、そんな始まりの歌を歌います」と、自身とみんなの明るい未来を提示するようにメッセージを添え、ラストの「始まりに」を熱演。そして終演後に片平から5月の“一年中ライブ 5月編「夏が待ちきれない!」”公演の開催がアナウンスされ、ライブの幕は閉じられた。

 フロアは明かりに照らされて公演終了の雰囲気。しかし、展開、構成、パフォーマンスにオーディエンスの反応と、素晴らしい公演だったライブは全セットリストを終えてもダブルアンコールのアクションが止まなかった。ステージを見ていると、スタッフがギターからプラグを抜き、アンプの電源をOFFにしていた。「これは完全終幕の合図」といった感じではあったのだが、それでもアンコールは止まらなかった。

 スタッフがステージからPA席に向かって「もう1曲?」的な合図で確認をとったようなしぐさの後、ダブルアンコールに応えて片平が再び登場。オーディエンスの熱量が引き起こした予定外のダブルアンコールで、片平は弾き語りで「Love takes time」を披露。「brand new album『一年中』発売記念リリースパーティ 冬の魔法」の締めくくりは、予定外の追加演奏とオーディエンスの大合唱だった――。

セットリスト

「brand new album『一年中』発売記念リリースパーティ 冬の魔法」
2020年1月26日@東京・マイナビBLITZ赤坂

M1.デザート
M2.冬の魔法
M3.ラズベリータルト
M4.sunny
M5.夏が待ちきれない
M6.一日中
M7.JUMP
M8.赤い目の空
M9.bloom in the city
M10.オレンジ
M11.晴天の兆し
M12.明日には

~Encore~

En1.baby
En2.BAD GIRL
En3.Oh JANE
En4.誰もが
En5.誰にだってシンデレラストーリー
En6.女の子は泣かない
En7.Party
En8.始まりに

~Double Encore~

W-En1.Love takes time

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