シンガーソングライターの片平里菜が5月11日と12日、東京・新宿BLAZEで『fragment Live追加公演 birthday special 「sunny to bloom」』をおこなった。デビュー5周年を記念し昨年11月にリリースされたベストアルバム『fragment』を引っさげて、2月10日に大阪 なんば Hatchで開催された『day1 darling』と2月24日の『day2 honey』の2公演をおこなったライブの追加公演。新曲「オレンジ」などアンコール含め18曲を披露。27歳誕生日当日となった12日のライブのもようを以下にレポートする。【取材=村上順一】

思い出の特別な1日になるように

片平里菜(撮影=福岡諒祠)

 開演時刻になり会場は暗転。サポートメンバーに続いて片平が白いノースリーブシャツでステージに登場。「宜しくお願いします」と、アコギを手に取り「愛のせい」でスタート。ドラマティックなナンバーは一気に会場の空気感を変えてしまった。

 「楽しんでいきましょう!」とテレキャスターにギターをチェンジし「大人になれなくて」へ。筆者のいた後方でも、声が目の前で鳴っているかのような、片平を近くに感じられる空間だった。そして、盛り上がり必至の「HIGH FIVE」では、ハンドマイクで身体を弾ませながらの歌唱。クラップも巻き起こり、ハイテンションのパフォーマンスを見せた。

 この日初めてのMCでは「思い出の特別な1日になるように尽くしていきたいなと思っています」と、今日のステージへの意気込みから、やめたいけどやめられない、そんな女子の歌だと語った片平が届けたのは「煙たい」。女心をメロディにのせ、繊細でパワフルな歌声で紡いだ。

 オーディエンスから27歳の豊富を聞かれ、「自分の機嫌は人にとってもらうんじゃなくて、自分でとる」と、そんな27歳を目指すということを話し、ここから弾き語りのコーナーへ。横に二輪の花を飾り、アコギと自身の声のみという、より歌声が際立ち、ある種の鮮烈さもあるスタイルで楽曲を届けた。まずはペンペン草を摘んできた、無邪気な母の笑顔から生まれたと話した曲「ペンペン草」、そして、「なまえ」という母や両親に纏わる2曲を披露。「なまえ」では、途中、感極まったのか、一度ブレイクし呼吸を整え、再び歌へと戻る場面も。

片平里菜(撮影=福岡諒祠)

 片平は生誕祭は初めてだと話し、気持ちの整理がしきれていないと照れ笑い。「東京という街が大好きです。でも、ここに至るまで心に穴が空いたような、寂しい気持ちを抱えていた時もありました。その時期がなければ今はないなと思います」と、その思いを歌にした「からっぽ」、そして、苛立ちも許せないことも幸せも全部歌にしていきたいと「ラブソング」を歌唱。片平の心情をありのまま表現した曲たちを、深みのある叙情的な歌声を響かせた。オーディエンスもじっくりとその儚さも感じさせるその歌声に耳を傾け、それぞれが何かを感じとっているようだった。

 「まだまだこの先、見たことのない景色をいっぱい見たいと思います。一緒に見にいきましょう」と、再びフルバンド編成に戻り「baby」へ。片平の張り裂けそうな歌声に応えるように、オーディエンスも手拍子や腕を掲げ盛り上がった。ここからは「小石は蹴飛ばして」を筆頭に躍動感ある楽曲たちを立て続けに披露。<わたしなんか わたしなんかって もうやめにして>と、マイクに思いをぶつけた代表曲のひとつ「誰にだってシンデレラストーリー」と、気持ちが上がるナンバーでフロアを扇情させた。

 そして、軽快なリズムが心をウキウキさせてくれる「Oh JANE」、感情を揺さぶりかけるパンクスピリットを感じさせてくれた「Party」では、オーディエンスも<やってらんないよ>と一丸となった声をステージに向かって放ち、片平もその声に笑顔をみせた。

また顔を見せに来てください

ライブのもよう(撮影=福岡諒祠)

 「愛おしい時間は一瞬です。短くて濃いこんな時間を積み重ねていきたいと思っています」と、本編ラストは「Love takes time」。幸せな時間はあっという間に過ぎていく、だからこそ一瞬一瞬を大切にしていきたいという思いが伝わってくる歌だった。エンディングでのシンガロングはオーディエンスからの片平へのバースデープレゼントになったはずだ。そのシンガロングのなか片平は「すごく頼りないけど、安心してステージを見れるようなアーティストになるので、もうちょっと見守っていて下さい…」と、涙ぐみながら想いを告げる片平。会場には様々な感情が溢れていた。

 アンコールの声に応え、再びステージに登場。片平は改めて訪れたオーディエンスに感謝を述べ、弾き語りコーナーでもそばに置いていた二輪の花を、ライブに訪れたカップルにプレゼント。そして、バンドメンバーを呼び込みながら、バースデイケーキのサプライズ。みんなで「Happy birthday to you」を合唱し片平の誕生日を祝福した。オーディエンスからもサプライズでメッセージが入ったフラッグと花がプレゼントされ、多幸感に満ちていた。

バースデイケーキ登場(撮影=福岡諒祠)

 そして、2月のワンマンでも披露した「sunny」を届けた。明るい希望に満ちあふれた清々しい青空を想起させるナンバーは、これからの片平の道を照らすような感覚を我々に与えてくれた。そして、さらに強くさせる感覚を与えてくれたのが、「sunny」と同様11日に会場限定でリリースされた「bloom in the sky」だった。高く羽ばたくための強い意志をこの曲から感じさせてくれた。

 「こうやってステージに立てているのも皆さんのおかげです。日々辛いことあるとは思うけど、そんな辛い日の中でもご褒美みたいな日もあると思うし、また顔を見せに来てください」と話し、最後にもう一曲、ミディアムナンバーの新曲「オレンジ」を披露。出会えて良かったと、ここに集まったオーディエンスに何度も<ありがとう>の言葉、感謝を曲に乗せて届け、『fragment Live追加公演 birthday special 「sunny to bloom」』の幕は閉じた。

セットリスト

『fragment Live追加公演 birthday special 「sunny to bloom」』

5月12日@東京・新宿BLAZE

01.愛のせい
02.大人になれなくて
03.HIGH FIVE
04.煙たい
05.ぺんぺん草
06.なまえ
07.からっぽ
08.ラブソング
09.baby
10.小石は蹴飛ばして
11.誰にだってシンデレラストーリー
12.Oh JANE
13.Party
14.女の子は泣かない
15.Love takes time

ENCORE

EN1.sunny
EN2.bloom in the city
EN3.オレンジ(新曲)

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