edda「私自身が聴いて楽しい音楽」独特の世界観で作り上げる物語の魅力
INTERVIEW

edda


記者:榑林史章

撮影:

掲載:18年11月17日

読了時間:約12分

eddaがウェディングソングにチャレンジ

――「宇宙ロケット」は、サビがすごくキャッチーですね。『ねごとの森のキマイラ』の時のインタビューで、「グールックとキオクのノロイ」には別視点の曲が存在すると話していましたが、これがそうですね。

 はい。「グールック」より先にできたのがこの曲でした。月の人と仲良くなった地球人側のお話で、大人になったらロケットを作って月まで会いに行くねって約束をして、それを叶えてロケットを作って会いに行くというお話です。

――サウンド的にもユーモアがあって、効果音がたくさん使われていますね。

 宇宙に行くと言っても、スペースシャトルのような現代的なイメージではなくて。『ウォレスとグルミット』というクレイアニメーションに「チーズ・ホリデー!」というお話があって、それはトンカチでカンカンやりながら、すごくちゃちなロケットを作って月に行くんです。そこに出てくる、窓が1つあって大きなボルトがいっぱいむき出しになっているロケットのイメージです。だから音も、昔の子どもが遊んでいたブリキのおもちゃが出しているような音が欲しくて、いっぱい入れてもらいました。ロケットと通信している会話みたいな効果音もあって、そこも好きなポイントです。

――ビッケブランカさんが作曲した「merry」は、ウェディングソングです。ハッピーな歌のはずなのに、歌詞では「バッドエンド」と歌っているように聴こえます。

 そう歌っているように聴こえるような、聴こえないような(笑)。歌詞も<merry xxx end?>と表記しています。そもそも「メリーバッドエンド」という言葉を使いたかったんです。

――ネット用語ですか?

 受け取り手によって、ハッピーエンドにもバッドエンドにも解釈できる物語のことを指します。「merry」の主人公は、タイトルにも出てくるタングという私の家にいるテディベアなんですが…この物語は「if」の世界で、私が死んでしまった時のタングのお話です。死んだ私が生まれ変わった時、一人ぼっちになってしまうと危惧したタングが、じゃあ自分も死んで生まれ変わりたいと思う。でもテディベアは心臓がないから死ねないので、月に会いに行って心臓をもらって帰ってくるというお話です。聴く人によってハッピーエンドかもしれないし、バッドエンドかもしれないし。

――ウェディングドレスブランド「b.b.duo」のTVCMソングになっていますね。

 最初は「幸せなラブソングを書いて欲しい」と言われたので、「私には絶対無理だ!」と思いました(笑)。

――ビッケブランカさんには、どういった経緯で作曲をお願いすることに?

 ビッケブランカさんにお願いするのは、スタッフからの提案だったんですけど、ビッケさんの他のいろんな曲を聴いたら、先ほど話した昔の『ポンキッキーズ』や『みんなのうた』のようなテイストを感じました。少年っぽい無邪気さや、悪気のない悪みたいなところがあって、でもすごく可愛げもあってポップな印象で。私の音楽と共通する部分も感じたので、直接お会いして曲イメージなどをお伝えして書いて頂きました。その時は、昔すごく好きだった『ポストマンパット』というクレイアニメーションの動画をお見せして、イメージをお伝えしました。ピアノをやっている人が作るからこその、上から下に降りてくる音階がすごくハッピーで、アレンジでウェディング感や幸福感がより増した楽曲になりました!

――また、テレビ東京ドラマ24『忘却のサチコ』エンディングテーマ「ループ」も収録されています。1月に配信リリースした「リピート」が、同ドラマのスペシャルドラマ版の主題歌になっていて。「ループ」は「リピート」と似ていますよね。

 先方から「リピート」みたいな曲がいいと指定があったので、わざと思い切り似せて作りました(笑)。コード進行はほとんど同じで、「ループ」のDメロのメロディと歌詞は「リピート」のBメロとまったく同じにしてあります。

――「ループ」と「リピート」も意味として似ているし。

 「リピート」を作る時に、「忘却することをポジティブに捉える」というテーマをいただいたので、今回もそれを考えながら書きました。私の中では「ループ」のほうが、より前に進んでいる感があると思っています。

 「リピート」はロボットが主人公で、ある小説の中の登場人物と仲良くなります。小説を読み終えるとその相手に会えなくなってしまうから、記憶を消去して何度も読み返すという歌でした。「ループ」は、「リピート」のロボットが読んでいた小説の登場人物が主人公です。「ループ」の主人公は、物語が終わるとまたゼロに戻って物語の中で生きていくので、忘却こそが前に進むきっかけになる。そこが、ドラマの主人公のサチコとリンクすると思いました。

――「ループ」のミュージックビデオは、あやつり人形が出てきますが、人間が演じていてびっくりしました。

 インディーズの『さんかく扉のむこう側』に収録している「不老不死」という曲のMVにも出演して頂いた、ドールモデルの橋本ルルちゃんにまた出演していただきました。最初はチェコの人形劇をイメージしたんですが、ルルちゃんなら人形に見えるし操る人もいらないしと思って。途中で「あれ?」って、本物の人形かと錯覚するところもあって、すごく素敵な映像になりました。

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