なぜメジャーにこだわるのか、3年で3回移籍したシンガー蘭華 音楽業界の現実
INTERVIEW

蘭華

なぜメジャーにこだわるのか、3年で3回移籍したシンガー蘭華 音楽業界の現実


記者:村上順一

撮影:村上順一

掲載:18年10月19日

読了時間:約14分

ヒット曲を生きている間に作り出したい

蘭華

――予算など厳しいなかで、押尾コータローさん(Gt)や松武秀樹さん(シンセサイザープログラマー)、パトリック・ヌジェさん(アコーディオン)、アレンジに佐藤準さん(音楽プロデューサー・作曲家・アレンジャー)と凄い豪華メンバーです。

 そうなんです。実は『日本レコード大賞』の表彰式で「私は毎回、これが最初で最後の作品になるかもしれないと思って作っています」とコメントしました。なぜそんな事を言ったかといいますと、メーカーが次の作品を出させてくれるかということに自信がなかったからで…。そして、翌年にそんな状況が本当に来てしまい…。今回は何とかリリースさせてくださいましたが、次があるとは考えていません。なので、これが最後かもと本気で思って、悔いがないように自分が作り出したい音にはとことんこだわろうと思いました。

 ですので、アレンジャーや演奏者を曲ごとに誰にするかというディスカッションだけで1カ月は掛けましたね。歌に関してはもっと精神状態が良ければ、もっと良い歌が録れたのにと思います。でも、サウンドに関してはかなりこだわりました。押尾さんのレコーディングも、押尾さんがいる大阪のスタジオまで伺わせてもらって、音に対するお話もその場でしながら作り上げていきました。アレンジャーさんにも恵まれて、かなり良いものが出来たと自負してます。

――命をかけて作ったこともあって、完成度が高い普遍的な作品に仕上がりましたね。

 そう言って頂けて嬉しいです。本当に命がけで作りました。前作は初のオリジナルアルバムで喜びに満ち溢れ、プロデューサーとぶつかりながらも良い作品を作り上げることができたのですが、今回はずっと苦しかったので。とはいえ、自分が予算管理から演奏者決めにも関わり、超難産だった我が子のような曲ばかりなので、とても想い入れが強い作品になりました。これだけ魂を込めて作った作品なので、何とか沢山の方に届けたいなと、今もプロデューサー、マネージャーと集っては宣伝方法を考えていますから。インストアイベントが良いのか、もしくは銀座の交差点でゲリラライブとか(笑)。

――今作はどのような方に聴いてもらいたいですか。

 私のファンの方の多くは40代から80代までと幅広いんですけど、今作は今までの和とオリエンタル、歌謡曲テイストというよりも、それもあるなかでジャズやブルース、シャンソン、イタリア映画音楽と、お洒落で濃い洋楽のエッセンスを入れたので、若い方たちにも聴いて頂けたら嬉しいです。

――さらに幅広い世代に届いてくれるといいですね。最後に蘭華さんにとって音楽とはどのような存在ですか。

 自分の人生、生き様を表せるものです。

――ということは、もう引退とか考えてはいないですね。

 ここ数年は苦しかったこともあり、いつも心が揺れ動いていて、今年の年末で引退と何度も思ってきました。だけど、なんとかしがみついてここまで頑張ってきたので、この作品を広めていくという旅を終えるまではやめられませんね。歌が歌い続けられるかというのは自分の心と相談しながらなんですけど、続けていきたいです。また『日本レコード大賞』などで賞を獲りたいという想いも強いです。

――そのためにメジャーにこだわったところもありますよね。

 はい。あと、最近は作曲している時がすごく楽しいんです。なので自分が表舞台の活動をお休みしたとしても、曲は作り続けます。今年は、海藏亮太くんや三月のパンタシアさんにも楽曲を提供させていただけたということもあって、すごく希望があります。それに伴ってシンガーソングライター・蘭華の気持ちも上がって、良い相乗効果が生まれれば良いなと思っています。そして、ヒット曲を生きている間に必ず作り出したいです。

(おわり)

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村上順一
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