得意だった「SPICY」さを、SPICY CHOCOLATE & THE MONSTER CREW
INTERVIEW

得意だった「SPICY」さを、SPICY CHOCOLATE & THE MONSTER CREW


記者:木村武雄

撮影:

掲載:18年08月30日

読了時間:約18分

ポジティブに

――ところで、好きな食べ物は?

 僕は今、ハマっているのはブルーベリーですね。先日、宮城・仙台の鳴子温泉という所に観光に行ってきたんですよ。そこにブルーベリー農園があって、これまではアメリカのブルーベリーは食べていたんですけど、国産の、しかもそのまま摘んだものを食べたことはなくて。それで食べたらめちゃくちゃ美味しくて。何かの本で、時期もの、その季節の旬の食材を食べるのは良いことだと書いてあったので、意識していますね。

――音楽も季節ごとにありますよね。

 ありますよね。例えば常夏の国・ジャマイカとかは一応、冬というのはあるけれども、ほぼ寒暖の差は少ない。日本は春夏秋冬があるので、それに合わせた音楽もね。今回は夏に合わせた音楽ですけど、秋をイメージしたり、冬や春だったり、季節ごとにリリースはコンセプトを変えながらやっていますね。

――サウンドも変わってきますよね。

 そうですね。サウンドもそうだし、テーマもですね。

――サウンドが一番難しいですね。

 そうですよね。確かに。

――企業秘密だと思いますけど、サウンドのストックはされているんですよね。

 僕らのストックというのは、自分たちが今まで聴いてきた、触れてきた音楽のことをいうのかもしれないですね。そういった音楽が潜在的に体のなかに残っていて、「今だったらこういう感じかな?」とか。そこはやっぱり、僕はずっとDJというのをやってきているので、何万曲は自分の中に入っているから、「じゃあ、次はこの曲をかけて、その次はこれ、その次にこれをかけたら盛り上がるな」というのをストーリーにして考えている感じですかね。

KATSUYUKI

KATSUYUKI

――ある編集者の方がエンタメの本質は物語の力と話していましたが、今作の曲順もそうですけど、ストーリー展開はやっぱり大事なんですね。

 やっぱりそれは大事ですよね。もちろん、一つの歌にしてもそうで、三番までがあるとしたら、一番二番でどういう展開にして、三番のクライマックスに持っていくのか、など展開を考えながら作っていってますね。

――そうやって改めて考えると奥深いですね。さて、9月22日に『渋谷レゲエ祭』が開催されます。今年で10回目です。早いですね。

 早いですね。10年、アッという間。振り返ったら色々ありましたけど、10回続けられて凄いなと。来てくれるお客さんに対して有り難いなと思うし。だからこそ最高のパフォーマンスをその場で作って、皆さんの一生の思い出を刻んでいければと思います。

 いわゆるロックフェスは、アーティストごとに持ち時間が決まっていて、その中で見せていくんだけど、渋谷レゲエ祭は、MIX CDのように1曲ごとに出演者が変わっていくので、それこそ一発目に「平成フルスイング」が来たり、2曲目は全く違うものだったり、3曲目は誰が出て来るか分からない。出て来る度に「アッ」と驚かせる仕掛けを作っているから、そうしたところに喜んでもらっていると思います。

――セットリストは一応、決めてはいるんですよね?

 もちろん僕が考えています。そこもストーリーにして、こういう段階でこういう風にしていけば盛り上がるのかなとか。最初は誰で、最後は誰で。毎年、渋谷レゲエ祭の一番目に出てくる人は誰にするかで本当に悩むし。やっぱりそこはね、驚かせたいから、大トリで良いような人でも最初に来たりとか。驚くじゃないですか、皆。「え! トップバッター?」って。そういうサプライズを散りばめていけたらなと思いますね。人に喜んでもらうためには「サプライズ」は必要だと思うので。

――活動する上での活力は「人に喜んでもらう」ということになるのでしょうか。

 そうですね。人に喜んでもらって、感謝される仕事ってなかなかないじゃないですか。しかも、自分達が生きてきた証を時代に残していけるというのは、凄い仕事だなと思いますし、やれて良かったなと思います。

――「驚かせる」ということは、観客の気持ちが分かっていないとだめだと思いますが、その辺は?

 お客さん目線にいくようにしています。僕らは、お客さんが2人や3人のときから、自分たちでフライヤーを手書きで書いて、コピー機に100枚とか刷って、それを駅の前で撒いて、自分達でイベントを積み上げてきたから、お客さん目線だったり、イベンター目線だったり、客観的に物事を見るというのは自然にできているのかな、とは思います。その経験も、今こうして生き延びていることに役立ったのかなと思います。

――人に寄り添う、人の心を掴むのは難しいですよね。時代時代でも価値観は違いますし。

 人は特に難しいですよね。人生って楽しいことだけではないじゃないですか。だからこそ僕らが非日常的な空間を作って、それによって楽しんでもらえて良かったなと思ってもらえたら嬉しいですよね。

――そう考えると言葉もそうですよね。よく言葉は独り歩きすると言いますから、ネガティブな言葉はそういうモノを招くと言いますし。

 言霊というぐらいですからね。言う事によってそれが形になって表れていくので。だから、なるべく僕らは汚い言葉やマイナスになる言葉は歌詞の中には入れてないんです。プラスになる言葉しか入れてない。ネガティブになる言葉は一切排除しているので。自分が発信することもそうですし、SNSで書き込むものもそうです。

KATSUYUKI

――全てが全てではないですが、SNSは愚痴の吐き溜まりになっていますよね。

 僕はそういうものはスルーするようにしていて。SNSを使っている人のなかには「辛い」「死にたい」という言葉を安易に吐く人たちがいるんだけど、そうじゃなくて、プラスになってく言葉が大事で。ネガティブなことを言っていたら本当にそうなっちゃうと思う。

 生きたい人が死んでしまう世の中だし、生きられるのにそういうことを安易に言ってはいけないと思う。それは間違っていると言いたい。でもそれは本人が気づかないと分からないことだから。だから僕らは歌や歌詞や、表現や姿勢でそういう風にしています。

 だから、「落ちる」とか「沈む」とか「死ぬ」とか「消える」とか、そういうネガティブな言葉は使わないようにしています。

(おわり)

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