得意だった「SPICY」さを、SPICY CHOCOLATE & THE MONSTER CREW
INTERVIEW

得意だった「SPICY」さを、SPICY CHOCOLATE & THE MONSTER CREW


記者:木村武雄

撮影:

掲載:18年08月30日

読了時間:約18分

“CHOCOLATE”と“SPICY”

――少し戻りますが、2曲目の「ジャンプUP feat. J-REXXX」もクールです。

 SPICY CHOCOLATEはフェスに呼ばれることも多くて。レゲエとは違ったジャンルの人達が集まるフェスに呼ばれたりすると、苦戦することも多いんです。レゲエでいうと、タオルを回すこと以上の盛り上がりをなかなか作れなかったりしていたんですけど、この楽曲については、みんなを飛び跳ねさせるイメージで楽曲を作って。狙いがハマってこの曲を掛ければ、みんな飛び跳ねて楽しんでくれる曲になりました。

――J-REXXXさんはもともとパンクロックが好きだったそうですね。

 そう。バンドでも活動していますしね。彼は、SPICY CHOCOLATEが主催したレゲエの歌い手のコンテストの初代チャンピオンなんですよ。実力も経験もだいぶ積んできているので、今作はコンビネーションではなく、ひとりでやってもらっていました。

――レゲエとは違うフェスですとノリが違いますよね。

 全く違ってくるので、そういう人たちでもどうすれば楽しんでくれるのか、を考えながら工夫をしています。

――「平成フルスイング」と「ジャンプUP」は、リズムはレゲエですが、上音(うわおと)はEDMになっていますよね。

 低音はレゲエにしてブイブイ出るようにしつつ、上音は楽しんでもらえるような工夫をしています。

――EDMということは、今のトレンドも取り入れて?

 そうですね。例えば、EDMをかけるDJさんと僕達が一緒になったときに、どうしてもEDMが盛り上げるわけですよ。それを横目で見ていると、レゲエも盛り上がらないとヤバいなと。そういう流れになってきているから、EDMのそういうようなニュアンスや匂いがするようなものを作る工夫はしています。

KATSUYUKI

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――そして3曲目の「Shall We Dance!? feat. 大城美友 & HIDE春」ですが、これは先ほどの2曲とテイストが変わっています。

 HIDE春も、J-REXXXと同じでSPICY CHOCOLATEが主催したコンテストで2年前に優勝しているんです。彼は沖縄出身で、コンビを組んだ大城美友ちゃんも沖縄出身の子なので、沖縄コンビ。2人ともハイトーンまできっちり声が出るのでこの組み合わせにしたら力強い曲ができるんじゃないかと思ったら、その通り力強くてダンサンブルな曲になりましたね。

――沖縄の音楽はブラックミュージックとも繋がるところもあります。

 そうですよね。やっぱり(アメリカ軍の)基地があって、いろんな音楽が溢れているし、独特な気候や街並みなどいろんなものがあるからね。

――この組み合わせは面白いなと思いました。逆に違い都市出身の人同士だったらこういう曲にもならないような気がしまして。さて、4曲目の「キカセテホシイ feat. 寿君 & 當山みれい」です。

 これは唯一のラブソングですね。やっぱり全部がゴリゴリのイケイケの曲だとちょっとアレなんで、アクセント的な役割を果たす曲も1曲欲しいよね、というところでのこの曲です。

――アルバムは曲順が大事だと言われていますが、今作は特にそうですね。

 大事です。まさにその通りです。どういう順番に並べるかというのは凄く考えました。

――曲が収まるところに収まった、ぴたりとハマったという感じがします。そのなかで裏テーマがあるのではないかと思ったのですが。

 確かに。掴みはどれでいくか、ということもそうですし。真ん中で聴いてもらって、最後は何で締めるかということも。そういうような事を考えながら曲順は考えました。

――こうして出来上がってみるといかがですか?

 今回は「振り切ったな」と。自分達がやりたかったことを今回表現できたかなと思います。たぶん、昨年リリースした「君のことが好きだったんだ feat. BENI, Shuta Sueyoshi(AAA) & HAN-KUN」と、今回の作品を比べたら、振り幅が大きくて…というか180度違うから驚くと思う(笑)。「君のことが好きだったんだ」は超ピュアなラブソング。「君のことが好きだったんだ」と歌っているのに、こっちはいきなり「フルスイング」(笑)。ある意味、 CHOCOLATEな部分とSPICYな部分。今回はどちらかと言うとSPICYな表現をしていると思いますね。

――これまでSPICYな部分をやってこなかった理由はありますか?

 「ずっと feat. HAN-KUN & TEE」のお陰で、SPICY CHOCOLATEはバラード・ラブソングというイメージが世間的にも付いたと思うので、ここ最近はCHOCOLATEな表現の方で攻めていたんですけど、もともと得意なのはこっちのSPICYな部分でもあるので、今回は久々にこっちでやってみました。

東京五輪を盛り上げたい

――そのSPICYな作品の5曲目「わっしょい☆パラダイス feat. CHOP STICK」。パンチが効いてます。

 パンチが効いてますよね(笑)。<わっしょい わっしょい わっしょい...>ってね。これはもうお祭り騒ぎが出来るような曲にしましょう、ということで作りました。

――歌詞にこういう言葉を入れてほしい、という要望はされたんですか?

 結構、日本寄りな感じにしましょう、日本の表現で、日本語で盛り上がれるような曲が良いよねと。お祭りとか、お祭り騒ぎとか、それを軸にして言葉を膨らませて。そんなに言葉数は多くはないですけどね。ノリで行っているような感じです。

――先ほども東京オリンピックの話もありましたが、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が、東京オリンピック・パラリンピックに向けて盛り上げようと、「東京五輪音頭」をリメイクした「東京五輪音頭-2020-」を作られて、石川さゆりさん、加山雄三さん、竹原ピストルさんが歌っているんです。それを盆踊りで流して地域に浸透させましょう、という働きかけです。祭りが融合された「わっしょい☆パラダイス」も面白いと思います。

 面白いですね。そういった意味も含めて、オリンピックを盛り上がる曲が作れたら良いね、と。少し意識したのは、三波春夫さんが歌った、大阪万博のテーマソング「世界の国からこんにちは」とかですね。

KATSUYUKI

KATSUYUKI

――今回の曲に限らず、今後は日本をテーマにした、あるいは日本語のみの曲も作られていきますか?

 そうですね。日本語だけしか使わない歌も作っていますし、そのあたりは、曲調やアーティストさんによって使い分けています。日本語の表現が得意な人は日本語で、逆に英語が得意でアクセントが上手な人はサビに英語を入れたり、そういう風に時と場合によって使い分けています。

――歌詞は、歌う方が書かれていますが、ハメ方へのアドバイスなども。

 もちろんです。歌詞も何回も修正してもらったりしています。

――SPICY CHOCOLATEは日本人レゲエアーティストでは初となる第57回グラミー賞ベスト・レゲエ・アルバム部門に選出されるなど、海外でも活躍されていますけど、日本語と英語のはめ方はもちろん違いますよね。

 そうですね。やっぱり僕らは日本語の方がしっくりくるじゃないですか。でも、ここはボヤかして英語の表現の方が格好良いなという時もありますし、全部日本語だと今の若い人には受け入れられにくいのなかとかも。いろいろ考えながらやっていますね。やっぱり日本語の言語は独特ですもんね。ひらがなもあってカタカナもあって、そして漢字。一つの言語で3つの解釈する方法があって。1つの言葉で何個も意味があるというのはなかなかないですよね。

――「君のことが好きだったんだ」のインタビューの時に、「片思い」は英語では表現できないんじゃないかと。「love」でもなければ「like」でもないし…という話もありましたしね。

 そうそう。本当に難しい微妙な感情は日本語の方が伝わりやすいけど。英語は大雑把で一括りという感じもするしね。

――難しいですよね。さて、6曲目からの「愛スルモノ feat. SHOCK EYE, lecca & SIMON」、「信ジルモノ feat.YU-A,AK-69&HAN‐KUN from 湘南乃風」、「Tun up!! feat.MUNEHIRO&卍LINE」は既出のリミックスになりますが、選ばれた理由は?

 このあたりの曲は、SPICY CHOCOLATEの中でもウエイトの重い、思い入れのある楽曲で。これらは今から6年ぐらい前に出した曲なので、今の新しいユーザーの子たちが新鮮に聴こえるようなリミックスにしようと思って作りました。

――サウンドがまたユニークで「愛スルモノ」はラテンチックになっていますよね。

 これはあえてラテンチックに仕上げました。例えば8曲目の「Tun up!!」はEDMのようなカチカチのデジタルサウンドになっているし、原曲がインパクトは強いので、どういうふうにリミックスしたら良いのかなと悩んだんですけど、でも格好良くハマりました。

――HAN‐KUNさんやAK-69さん、YU-Aさんはそれぞれの個性が強いから音のハメ方も大変だったのではないかと思います。

 個々のキャラが立っていますからね、「信ジルモノ」は本当に大変でしたね。でも良い曲になりました。

――先ほども聞きましたが、改めてアルバムとして振り返りますと?

 出来上がって良かったなという思いと、あとはこれを聴いて頂ける方々がどう捉えてくれるかなというワクワク感があります。

――今後の方向性は?

 これは夏に向けて出したので作品なので、今までのスタンスでの作品作りをもちろんしていきますし、先ほど話した、SPICY とCHOCOLATEの表現の仕方を両軸にしてやっていきたいと思います。

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