野田洋次郎(撮影・木村武雄)

 菅田将暉、永野芽郁、野田洋次郎、寺島しのぶ、小林稔侍、宮本信子、山田洋次監督が29日、都内で行われた映画『キネマの神様』(8月6日公開)の完成報告会見に出席した。

 “映画の神様”を信じ続けた男とその家族に起きる奇跡の物語。松竹映画100周年記念映画として製作された。菅田と沢田研二がW主演を務める。沢田は、昨年3月29日に新型コロナによる肺炎で逝去された志村けんさんの代役となる。

 ギャンブル漬けで借金まみれのダメ親父だが映画を愛してやまない主人公のゴウを沢田、ゴウの妻・淑子を宮本信子、その娘の歩を寺島しのぶ、ゴウの行きつけの名画座の館主・テラシンは小林稔侍が務める。若き日のゴウは菅田将暉、若き日のゴウが恋する食堂の娘・淑子を永野芽郁、映写技師・テラシンは野田洋次郎が演じる。

 小林稔侍が演じるテラシンの若き日を演じる野田洋次郎。完成した作品を試写して「自分が参加した、参加していないに関係なく、素晴らしくて凄かった。小林稔侍さんが未来のテラシンを演じられて、本当に良くて感動しkました。『テラシン、良く頑張った生きたね』という思いです」と明かすと、横に座る山田監督はにこりとした。

 撮影現場の様子も明かした。「山田監督はその場でアイデアをたくさん紡ぎ出され、台本にないものを瞬発的に作っていました。それに右往左往して追い付くのが必死でした」と回顧。そのなかの一つにギターを弾くシーンを挙げ「撮影の3日前に『ギターを弾いてみないか』と言われ…」と笑顔。

 これに「もうちょっと前だったと思うけど」と笑う山田監督は「野田君が出ているんだからギターを弾いている姿を見たいと思って。断れると思ったけどね」と当時の様子を明かした。

山田洋次監督と野田洋次郎(撮影・木村武雄)

 また、監督の計らいで未来と過去のテラシンを演じた小林稔侍と監督とで撮影前に開いた食事会を参加したことが明かされた。小林は「互いに名前を言っただけで2時間が過ぎて…。その席で以心伝心はあったけど、若いテラシンが彼女と会うシーンがあり、その時のリアクションを見たときに僕と同じだと思い安心しました」と振り返った。

 これに、野田は「山田洋次監督と小林稔侍さんとで食事会という大変な貴重な会合を…。映画の歴史などお話が楽しくて。稔侍さんの柔らかくて温かい空気に少しでも近づきたいと思いました」と述べた。

 この日は、映画の物語にちなんで「映画館はどんな存在か」という問いに答えた。

 野田は、「映画館は特殊で何百人という他人同士が、ライトが落ちて映画が上映されて観終わると、同じ冒険して、映画館を出て人生のなかに残っていく。偶然のことさえも奇跡。家で映画で観るのとはわけが違うなと思います」と語った。

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