今の自分たちなら巻き込んでいける気がします
――今回のアルバムにおいては、新しいエンジニアさんとの出会いが大きく、ロー(低音域)の部分がすごいということですが、特にどんなところに表れていますか?
谷内伸也 それこそ「Tell Me Why」とかは、空間の作り方だったり、今までにないミックスですね。より洋楽に近いミックスの仕方には、なっている気がします。
鍵本輝 今まではハイ(高音域)の成分というか、キラキラしたようなミックスの仕方をしてたと思うけど、今回ボトムがドンッとしてる、みたいな。すごく難しいのが、下を出すと、歌と下しか聴こえなくなるみたいな現象があるんです。そこのミックスの仕方も本当にエンジニアさんの腕だなと思っていたんですけど、聴かせるところをちゃんと聴かせて、抑えるところは抑えながらも、自分たちがやりたいEQ(イコライザー、波数特性を変更する音響機器)感を再現してくれる方たちで。
それをやることによって、何が一番気持ちいいかといったら、ライブなんですよね。大きなスピーカーで鳴ったときに、体の中まで震えるくらいのロウ。自分たちもダンスミュージックを聴くにあたって、ロウの鳴りというのは、すごく好きなんです。これまで曲を出してきた中でも、「ギリギリ出せる範囲で下を出してください」という戦いをずっとしていたんですけど、今回は戦わずにやりたいようにやらせてくれました。
谷内伸也 それで、今回のツアーはDJとマニュピュレーターさんがヒップホップ畑でやっている方なので、よりそのへんの作り方は楽しみだと思いますね。
――さらに12曲目、敬多さん作詞の「Give Me Your Best Shot」は気持ちいいナンバーですね。
古屋敬多 これもたぶんパーティー感なのかなと思って。「Give Me Your Best Shot」は頑張る全ての人に対して、と言いたいんですけど、どうしても詞の内容がOLさん向けになっちゃう(笑)。
――そうなんですね。やっぱり女性を応援したくなる?
古屋敬多 なっちゃいましたね。でも読む人によっては、男の人もいけるかな。
――<占いは一応Check>というフレーズがありますが、敬多さんは占いをチェックされますか?
古屋敬多 やっていたら見るくらいですね。そんな気にする方ではないんですけど、なんとなく見て。もしもいい内容で、たまたまその日にいいことがあれば、「お!」みたいな。でも悪いときは、すぐ忘れるようにしています。こういった日常的なことを書こうと思ったんです。<朝のコーヒーで 目を覚ます日常>というところも、コーヒーを飲まない人もいるかもしれないですけど、そこはなんでもよくて。<ガタガタと ゆられては 揉まれてく>というのも、朝の憂鬱な満員電車とかあるじゃないですか。あれは絶対毎日辛いと思うんです。
――そういうのを吹き飛ばしてくれる曲ですね。女子の味方といった感じで、とても心強いですよ。
鍵本輝 この曲はすごい敬多にピッタリだなと思っていて。この曲の本番のレコーディングをする前にデモを聴いたんですけど、「もうそのデモのままでいいんじゃないか」と思いましたし。
古屋敬多 いやいや。
鍵本輝 「いいよ、俺。レコーディングしなくて」と言って。
古屋敬多 みんな一瞬放棄したんです(笑)。
鍵本輝 デモで聴いたときのファーストインプレッションで、「いい」と思えたので。「いいんじゃない。俺、歌わないよ」というくらい、敬多にはまっていたんです。
――これまでのお話で今回のアルバム制作のエネルギッシュな様子が伝わってきました。
鍵本輝 産みの苦しみはおのおのであったりしたんですけれど、それさえも楽しんでレコーディングできたなと思います。MVもジャケットも、一つひとつ完成していく過程で「改めてすごい楽しいな、この時間」と感じました。それは自分たちが更にのめり込んで制作に携わったからこそ、感じられているものなのかなと。もちろんこれまでもそういう気持ちでやっていましたが、今回、それがより強い作品だなと思いました。
谷内伸也 周りのスタッフだったりメンバーもそうですけど、今までがあったからこそできるアルバムになったと思います。タイトルは通過点という意味を込めた「MILESTONE」なんですけれど、その名とおりのアルバムだと思います。
――17年目の期待がふくらみますね。
谷内伸也 それを感じてもらいたいなと思います。
――8月、9月はツアーがひかえていて、これもとても楽しみですね。そしてこれからの活動で、どんなことに挑戦していきたいですか?
鍵本輝 いろいろなライブに出たいと思います。それはLeadを知ってほしいというところから来てるんですけど、今の自分たちなら、「別にダンス&ボーカルユニットは、まあいいや」と思ってる方に対しても、上手く巻き込むことができそうな気がしていて。もちろん自分たちのライブをやりながらも、いろいろな出会いをしていきたいという思いが今、強いですね。
古屋敬多 やっぱり『w-inds. Fes』が大きかったですね。すごく刺激になりました。歌も踊りもうまい人が多いし。「現実はすごいんだ」と、半ばショックでした。魅力の塊みたいな人がいっぱいいるので、そういう人たちとの輪を広げながら、時には戦いながら、良い関係で来年も行けたらいいなと思います。
鍵本輝 一番は「継続は力」というか。自分たちのスタンスを大事にしながらスキルを磨いて、唯一無二の存在になっていけたら…。Leadにしかできない音楽の形を追求しながら、これからも3人力を合わせてやっていきたいです。
(おわり)









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