花束を結ぶリボンになれたら、三浦祐太朗 歌い継いで感じた変化
INTERVIEW

花束を結ぶリボンになれたら、三浦祐太朗 歌い継いで感じた変化


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年07月27日

読了時間:約12分

「さよならの向う側」とリンクしている「菩提樹」

三浦祐太朗(撮影=冨田味我)

――さて、「WITH (10 years after Ver.)」と「届かない歌」がリンクしているという印象がありますが、これは意識されたのでしょうか?

 もしかしたら「月と木星の距離」もそうかもしれません。世界線がいくつかあったら、「こういう未来が待っている世界」「こういう未来が待っている世界」という感覚で書きました。

――パラレルワールド的な? 主人公は一緒と。

 そうです。「WITH (10 years after Ver.)」のその後ともとれるし、全く別の物語ともとれるし、悲しいともとれるし。「届かない歌」は輪廻転生みたいなところも書いたのもあって。

――「届かない歌」の登場人物は亡くなってしまったという設定でしょうか。

 そこは含みをもたせています(笑)。そう捉えて頂いてもいいですし。

――こういったバラード系の楽曲を歌うにあたって気を付けているところはありますか?

 あまり主観的にならないというところと、言葉がいかに綺麗に聴こえるか、むちゃくちゃ感情を込めて歌わないようにしています。気持ちは熱いんですけど、ちょっと遠目で歌っていた方がストーリーテラーというかそういう感覚があって。結局、感情的にはなっちゃうんですけど、そこを自分の中で上手くバランスをとることが大事だと思います。

――でもライブだと感情を解放しますよね?

 そうですね。ライブはまた別です。もう出ちゃうし「受け取ってよ!」という感じではあるんです。CDに関しては“作品作り”という感覚があって、子供に読み聞かせているような感じというか、そういうときってあまり感情的に読んでも…だから客観的にというところはあるかもしれません。

――「あさってのほうへ」はなぜタイトルを平仮名に?

 『FLOWERS』のタイトルもそうですけど、フォントとか大文字・小文字を凄く気にするんです。Peaky SALTの綴りもそうでしたけど、どれが一番見栄えが良いかと全部試します。「あさってのほうへ」は漢字にしない方が「ん?」となるなと思いまして。そういったとっかかりとして、タイトルは凄く大事だと思っていまして。

――術中にハマってしまいました(笑)。さて、歌詞にある<都合の良い人間にならないように>という部分がとても気になりました。これは何故そういった言葉が出てきたのでしょうか?

 わりと僕が事なかれ主義だったりするので、受け流しちゃったりとか、向こうの都合の良いように話が進んで行くように「流れに身を任せればいいや」となりがちなので。「そういう風にはならんぞ」という戒めもありまして(笑)。

――<譲れないもの>というワードもありますが、三浦さんのなかで譲れないものは何でしょうか?

 やっぱり歌い続けることだったり、細かいことだけど人に言えないことだったりとか。そこは人から見たら、どうでもいいことかもしれないけど、僕の中では凄く大事にしているぞということはあります。それは人それぞれあると思うんです。なので聴き手がそこに自分の譲れないものをはめてもらえたら凄く良いなと思います。

――「あさってのほうへ」は「あした」ではなく「あさって」にしたのは何故でしょう?

 慣用句だったと思うんですけど、「明後日の方向」に投げるという、闇雲に物を投げるという意味合いがあって、「明後日の方向に向いているよね」とか。そっちの意味合いが強いです。その場で立ち止まっているのではなくて、進むのが怖いのだったら「思い切って明後日の方向に投げてみたら良い方向に進むかもしれない」というところからです。

――とてもポジティブですね。

 めちゃくちゃポジティブです。失敗したとしてもまたそれを歌にしようという気持ちです。

――「菩提樹」は、作詞・阿木燿子さん、作曲・宇崎竜童さんですね。これはお2人による書き下ろしなのですね。

 このアルバムを出すとなったときにお2人が書いてくださった新曲です。今の時代には無い楽曲で、曲調もそうなんですけど歌も凄く難しくて。歌詞に関して阿木さんが仰っていたのは母の歌っていた「さよならの向う側」とこの曲がリンクしていると。約束なしのお別れをしてしまった「さよならの向う側」、だけど時を経て母の子供である僕が「菩提樹」という曲を歌うんですけど、「ちゃんと約束をする」と。で、「また会いましょう」という楽曲だと仰っていて、だから繋がっているのだよと。

――「菩提樹」は特に歌が難しそうですね。

 すごく難しいです…。「こんなにブレスができないのか」と(笑)。

――ロングトーンですものね。

 「菩提樹」は阿木さんが見に来てくれていた中でのレコーディングだったので、とんでもなく緊張して。良い緊張感だったなと感じていて、お蔭様で凄く良い歌が録れました。この曲は自分が歌ってきた楽曲の中では群を抜いて難しいと思います。

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