日本でやれば破綻してた、Yasei Collective ライブ感捨てた新作
INTERVIEW

日本でやれば破綻してた、Yasei Collective ライブ感捨てた新作


記者:小池直也

撮影:

掲載:18年07月15日

読了時間:約11分

ニューヨークの空気感

中西道彦(撮影=冨田味我)

——他のミュージシャンとの交流もありましたか。

松下マサナオ ニューヨークはいい意味でミュージシャンにとって殺伐としていて、音楽で食っていくのは大変なんだよという奴らと数日一緒にいて、色々な交流ができました。年1回は行かないといけないなと思いましたね。レコーディングやライブがなくても、ニューヨークに1、2週間行く事が音楽をやっている人間として必要不可欠だなと。LAではそういう事をそこまで思いませんでした。ニューヨークは本当にシビアだなと。みんな誰かを蹴落とそうとしてるけど、ちゃんとコミュニティがある。これは帰国した頃自分が求めていたものだなと。

 日本ではドラマーとしての立場も安定してきていて、自分がチャレンジャーになるって環境もなかなかない。それが向こうに行くと一瞬にして最下層になれる。言語的にも演奏する者としても。ずっとハングリーでいられるけど、1年いたら頭おかしくなってしまうかもしれないです。でもプライドを捨てられる場所としては最高ですよ。

中西道彦 ミュージシャンは「俺の方がこの場をハッピーにできるぜ」という感じで、足の引っ張り合いじゃないところが凄い面白かったです。

松下マサナオ ケツの蹴り合いだよね。

——『Yasei Collective Live Tour 2018 “stateSment”』も10月から始まりますね。

松下マサナオ 対バンはまた面白い人になるんじゃないかなと思います。いつも単純に「今やりたい人」みたいな感じで探しているんですよ。地元の面白いバンドを呼んだりも全然あり。歌ものはダメか、ポップスはダメとかもありません。うちらが今まで色々なバンドとやってきたし、メンバーそれぞれがJポップからジャズまでやるので。どこにでもYasei Collectiveはハマるんです。

——ライブを想定していない作品ですから、実際に演奏する時は難しかったりも?

別所和洋 とりあえずキーボードを1台増やしておきました。斎藤拓郎 僕の場合、楽曲中やれる事は1つなので。シンプルですから、ギターやヴォコーダーなどどういう手順でこなすかを考えておかないといけないですね。新しい機材も欲しいなと思っていますが、まだどれがいいかは決まっていません。例えば、キーボードやウェーブドラム(電子パーカッション)とか、新しい武器が欲しいなとも思います。

中西道彦 単純に僕がもう1人いると楽なんですけどね(笑)。あとは機材を減らすために機材を買っている状態です。減らしていくと面白い事に今までやらなかった事をやるようにもなって。ボリュームで音色の変化を付けるのが今面白い。スイッチを踏むだけのプロセスじゃなくなってくる。とにかく色々と有機的にしていけたらと思っています。

松下マサナオ ツアーに関して、僕はリハの時点から自分のドラム以外は基本口出ししないようにしようと思っています。それぞれのやりたい様にやってもらおうと。アルバム制作の時点で僕の伝えたい事は全部伝えたつもりなので。今まで「Yasei Collectiveはこうじゃなきゃだめ」と僕が思ってたものは間違っていた部分もたくさんあって、そういうところはメンバーに放り投げてしまおうと思います。TAMA Drumsと契約して自分のサウンドもガラッと変わるツアーになります。ドラムの練習もめちゃくちゃしてますし。Yasei Collectiveの自分というものをもう1度見つめ直したいんですよ。ファイナルに向けて、個人個人でそれぞれのベストな音を作りあげていければよいですね。

(おわり)

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