ボーイズグループのWINNERが去る4月28日、東京・日本武道館でツアー『WINNER JAPAN TOUR 2018 〜We’ll always be young〜』の最終公演をおこなった。2月にスタートした6都市10公演にもおよぶツアーの追加公演であり、最終公演の舞台は、単独では自身初となる日本武道館だった。

 WINNERはBIGBANG、PSY、iKON、BLACKPINKら高い人気を誇る実力派アーティストが所属するYG ENTERTAINMENTのボーイズグループ。2017年に1年ぶりのカムバックとしてリリースした新曲「REALLY REALLY」が、21カ国のiTunesチャートで1位を獲得。韓国の音楽ランキング番組で5冠を達成し、2017年4月発売以降、週間チャート100位圏内を現在まで保っており、1月にはストリーミング1億再生を突破するなど驚異的なロングセラーを記録し、アジアの音楽シーンでは押しも押されもせぬ、現在要注目のアーティストとして君臨している。

 2014年におこなわれた初の日本単独ツアーから4年、彼らの想いがたっぷりと詰まったこの日本武道館のステージをレポートする。【取材=桂 伸也】

何が起きても観衆は絶叫、スタイリッシュな魅力たっぷりの4人

WINNER

 開催前から全公演がソールドアウトという今回のツアー。この日本武道館公演は、新生WINNERがこのツアーで見せた初パフォーマンスに対して、そんなファンからの反響に応えるべくおこなわれた。日本武道館はフロアからスタンドが1階席から3階席まであるが、この日はその3階の頂上までもビッチリと1万3000人のファンが席を埋め、スタート前から興奮状態で彼らの登場を待ち構えていた。

 開演時間を少し過ぎたころ、不意に会場が暗転、金切り声のような歓声があちこちから上がる。そして音楽が、さらに照明が…とステージ方面に何か変化が現れるたびに、同様の歓声が上がり、会場に充満する緊張感をさらに高ぶらせていった。やがてステージには、ひし形のオブジェが現れ、そのちょうど中央あたりから、いよいよ黒のスーツに身を包んだ4人がステージに登場、観衆の絶叫は最高潮に達した。

 ミディアムテンポで、ポップながら何か哀愁感もある「LOVE ME LOVE ME」でスタートしたこの日のステージ。ここで見せた彼らのパフォーマンスには、爆発的な勢いやエネルギーというよりは、何か“セクシー”という言葉がピッタリと思えるような、スタイリッシュな雰囲気にあふれていた。情熱的なカン・スンユンのボーカル、甘くささやくようなキム・ジヌのメロディ、そして時に曲のフックとなるようなアクセントを入れてくるイ・スンフン、ソン・ミノのラップ。序盤から続いた楽曲は、それほどテンポの速い、勢いのあるものはなく、どちらかというとその隙間のある一拍と一拍の間に、彼らの出来うる表現の全てを詰め込み、じっくりと見せ聴かせる要素を持ったグループという印象もある。

 色気さえ感じるダンスの上を舞うようなそのメロディとハーモニーに、むしろ強烈なエネルギーを放っているのは観衆のほうだった。彼らの一挙一動に反応し、あるときは絶叫し、彼らのパフォーマンスを後押しする。さらに「LOVE IS A LIE」では早くも4人と観衆との掛け合いもおこなわれるなど、白熱する一方。そんな観衆に、リーダーのスンユンは「今までで一番気合いを入れたので、沢山期待してね!」と観衆へのメッセージを伝え、さらに興奮を煽る。前半は彼らの先輩グループであるBIGBANGのカバー「Haru Haru (WINNER Ver.)
」を披露したり、スンユンとミノで始まる「THE DOOR」を披露したりと、バラエティに富んだ楽曲で観衆を大いに楽しませ、ゆったりした和やかな雰囲気を感じさせる「EMPTY」で、4人は観衆との距離をさらに縮めていった。

この日を迎えたことへの「乾杯」、そして夢舞台はクライマックスへ

 前半が終わると、ステージにはビデオ映像が。ここで見せたのは、ライブを楽しむ上での「発声練習」「ダンス練習」講座。4人のコミカルな演技には、会場のあちこちから笑いも上がるが、それとともに観衆との距離は、益々近くなるばかり、といった印象だ。そして4人は再びステージに。前半のシックな装いに対し、今度はデニムを基調に、チェック柄でアクセントをつけたカジュアルなファッションで登場、その彼らの姿に観衆は、さらにエキサイティングなステージを期待せずにはいられない、といった様子を見せていた。

 後半最初のナンバーは「REALLY REALLY」。単にポップでもなく、激しく躍動するわけでもない、大人っぽさすら感じられるメロディとリズム。しかし彼らのパフォーマンスの術中にはまったように、見るものはなぜか気分がウキウキしてくる。それも彼らの大きな魅力の一つといえるのかもしれない。それを裏付けるように「ISLAND」と続くキラーなナンバーに、会場は再び熱を帯びてきた。

 一方、途中、スンユンは2月7日にニューアルバム『OUR TWENTY FOR』をリリース、さらに自身初の日本武道館公演と目まぐるしく展開する彼らの活動を振り返り、その原動力となったINNER CIRCLE JAPAN(日本にいるWINNERファンの総称)への感謝を込めて「乾杯!」を提案。ここまでの道のりを振り返りながら、満面の笑顔とともにスンユンは乾杯の音頭を取る。そして本邦初公開ともいえる「EVERYDAY」の日本語バージョン披露を挟み、会場はこの日何度目かの大きな歓声に包まれる中、残りわずかとなったステージに向けてスンユンが観衆に語りかける「最後に、最高で、最大出力のステージに!」その言葉は、ステージのエンディングに向けた盛り上がりとともに、さらに続く彼らの、これからの道に向けた全力投球の宣誓にも聞こえた。

 いよいよクライマックス。これまでほぼステージ中央を基点にパフォーマンスを見せていた彼らが、ついに動き出した。ステージ左右の張り出し部分、ファンに一番近い部分へ。彼らの表情を間近で見られる感激に泣き出す観衆も続出、歌のサビを叫ぶように歌う観衆の声は、まるでステージからのサウンドを凌駕するほどに大きくなり、最高潮の盛り上がりを見せた。

「一生、一緒だよ!」夢を叶えてくれた恩返しへの誓い

WINNER

 一方で終盤には「WINNER武道館おめでとう」の文字が書かれた巨大な垂れ幕が客席から下されると同時に、彼らに内緒でこの日の観衆全てに配られた、「WINNER 愛してる」と描かれた紙を、観衆が一斉に4人に見せるように掲げるサプライズ。4人は驚きと喜びの表情を見せながら、一方でこの日のビッグステージにつなげてくれたスタッフ一人ひとりの名前とともに、感謝を告げるサプライズ映像を見せるなど、まさにサプライズ合戦。さらに観衆からのアンコールは、彼らの門出の歌「GO UP」を歌うことでその気持ちを伝える。そんな観衆の気持ちに4人も、アンコール終盤で同曲を披露することで応えた。

 またアンコールでは4人それぞれが、4年の月日を経てこの日を迎えたことへの思いを語る。「初めて武道館のライブを見たのは、D-LITE先輩のステージいつかここに立てたらと。疲れて大変なときもあったけど、皆さんはいつも手を差し伸べてくれて、僕らを支えてくれた。そばにいてくれてありがとうございます!」と語ったスンユン。「この(感謝)の気持ちをどう返せばいいか分からないけど、もっといい曲、もっとカッコいい姿で恩返ししたい。愛してる!」と感極まり言葉を詰まらせながらも語ったジヌ。

 初めての日本のステージで「一生、一緒だよ!」という言葉を覚え、観衆に投げかけた思い出を振り返りながら「僕らは責任を取らなければいけない。この言葉を受けた皆さん、僕らはこれからもずっといるから。一生、一緒だよ!」と、心からのメッセージを伝えたミノ。また、スンユン、ミノも感極まり泣き顔を見せていたことに対し、あくまで気丈な表情を見せたスンフンは「今日一日やってみて、僕はこんなビッグステージに向いていると思った」と語り、笑いを誘いながらも、この日を迎えた幸せを実感し「これからは幸せな思い出で時間を埋めていきたい。今日一日、素敵な思い出を僕にも作ってくれてありがとう!」と語り、今後の躍進、そしてツアーでの再会を誓ったスンフン。一つの大きな夢を叶えたWINNERの、今後の動向にも要注目だ。

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