[写真]WINNER再会…1年ぶり日本ツアー(1)

1年ぶり日本ツアーでファンを魅了したWINNER

 [ライブレポート、9月9日、東京・中野サンプラザ]韓国の男性5人組アイドルグループのWINNER(ウイナー)が全10都市17公演を巡る1年ぶりとなる日本ツアーを実施中だ。日本でも絶大な人気を集めるBIGBANGの弟分として2013年に誕生。14年8月に韓国でデビューした。その1カ月後にはアルバム『2014 S/S-Japan Collection-』をもって日本デビュー。オリコン初日売上ランキング2位の好成績を収めると、その足で日本ツアー5都市11公演を行った。

 韓国では、同アルバムの表題曲で主要配信チャート9冠、音楽番組発表のチャートで3冠を達成。その活躍は韓国にとどまらず、米国で権威のあるビルボードのワールドチャートでは1位を獲得した。新人ではありながらもその活躍ぶりは眩いものがあり、デビューして早々にスターダムへとのし上がった。

 その彼らが1年を経て行う日本ツアー。ソロ活動も充実し、多忙を極めるなかで様々な景色を見てきた。同じ時間ではあっても濃厚な日々を送ってきたこの1年。それを経て迎える日本ツアーは彼らの成長を確かめる場でもあり、再会を楽しむ場でもある。

 しかし、いざツアーが始まり蓋を開けてみれば、ラップに、弾き語りに、ダンスにとエンターテインメント性の高さを見せつけ、ファンを心酔させていた。愛嬌のある人柄はそのままに、パフォーマンス力で魅了しているのだ。女性ファンが多くを占めるなかで、男性ファンの数も増えていたことがそれを物語る。

 彼らにとっても、ファンにとっても大きな意味を持つ日本ツアー。ミュージックヴォイスではこのうちの9月9日・中野サンプラザで行われた昼夜公演の夜公演を以下にレポートする。  【取材・紀村了】

鳥肌が立つ大歓声

[写真]WINNER再会…1年ぶり日本ツアー(3)

時にはまったりとした空間も演出したWINNER

 台風の接近に伴い都内は豪雨にさらされていた。会場前の道路はまるで川のように、大量の雨水が流れ下っていた。裾を雨に濡らし、傘をたたむファンの表情は明るかった。1年ぶりの再会。この日を待ち望んでいた高揚感が場内に満ち溢れていた。

 ステージは段々畑のように上段と下段に分かれていて、それを可動式の階段が繋いだ。高さ2メートルほどの上段ステージ背面には大画面のスクリーンが設置されていた。ファンはまだ誰もいない薄暗いステージに目線を送り、サイリュームを灯して心待ちにしていた。

 そうしたなかで突然と照明が消えた。しばらくして、スクリーンの前に5人の影が浮き上がった。その瞬間、大きな歓声があがった。ほぼ女性ファンで占める場内。興奮に満ち溢れた声は段階を踏んでトーンをあげていく。その度に鳥肌が立った。

 1年ぶりの再会。その余韻に浸る時間さえ与えぬまま、興奮状態のなかで「JUST ANOTHER BOY」を披露。足早に2曲を届けると、リーダーのスンユンは「熱く盛り上がっていきましょう!」とあいさつした。

 また、テヒョンは「逢いたかった。忘れられない思い出を作りましょう」と語りかけ、ジヌも「久しぶりの日本ツアーで本当にドキドキワクワクしています。沢山笑って楽しく」と興奮気味に述べた。

 一方のスンフンは「アンニョン!(こんちには)23歳独身です! みんなデート行かない」と挑発すると、ミンホは「皆さん、盛り上がる準備はできましたか、叫ぶ準備はできましたか」と煽った。

説得力のある歌声

[写真]WINNER再会…1年ぶり日本ツアー(2)

愛嬌のあるトークに、キレのあるダンス、そして歌唱力の高さをみせつけたWINNER

 再び暗転して明かりが戻されると、5人はステージ中央に用意されたソファに腰掛けていた。部屋にいるように、まったりとした雰囲気のなかで3曲目「EMPTY」を歌った。

 ステージは飾り気のないものであったが、スクリーンに流れる街並みや情景、朝焼けのような暖色に照らすライトは楽曲の世界観を浮かび上がらせるのに十分だった。5人の歌声には優しさがあり、そしてパワーがあった。特に歌唱力に定評のあるスンユンとテヒョンがそれをリードしていた。違和感のない日本語の発音もそれを手助けした。

 この日の再会をドラマチックに演出しようと、特別企画が設けられた。スンユンとテヒョンによる弾き語りや、スンフンとミンホによるラップバトル、そして、ジヌによる“歌劇”だ。

 スンユンとテヒョンは世界的に比に劣らない声量をベースに、スンユンはパワフルに歌い上げ、テヒョンは優しく包み込むように届けた。HYDEが作曲を手掛け中島美嘉が歌った「GLAMOROUS SKY」をパンクに歌ったかと思えば、BEGINの「恋しくて」をスンユンのアコースティックギターと、テヒョンのエレキギター(ソロ部のみ)をもってしっとりと響き聴かせた。

 「日本には素晴らしい曲がたくさんある。過去と未来を繋げるような歌を歌いたい」(スンユン)、「難しいけど歌詞が良い」(テヒョン)と語っていたぐらい、日本の楽曲をリスペクトしているようで、前回のツアーでも久保田利伸の「LA LA LA LOVESONG」をカバーした。難しい日本語の発音もほぼ完ぺきにこなし、何よりも歌詞の意味を理解し、自分の言葉でしっかり伝える“ソングライター”の気質を感じさせた。

 無音のなかに広がるテヒョンの歌声。まさに圧巻だった。彼らが“アイドル”という枠に収まらず、“ミュージシャン”としての実力を伴っていることを示した。それは先ほどまで大歓声を送っていたファンがしんみりと聞き酔いしれていた姿でもわかった。そして、歌い終えた後に沸き起こった拍手の量が物語っていた。

不安があった

[写真]WINNER再会…1年ぶり日本ツアー(4)

日本デビュー1周年を祝ったWINNER

 ダイナミックなダンスパフォーマンス、そして、ファンを微笑まさせるMCでのトークも魅力的だった。彼らの表現の幅の広さを感じさせられた。ステージをいっぱいに使い縦横無尽に表現していく彼ら。そこには日本での手応えと自信をうかがわせた。しかし、スンユンは終盤に触れてこう本音をもらした。

 「ツアーを準備している段階では不安でいっぱいでした。僕たちは新曲もないし、日本での活動もぜんぜんなかった。不安で。今年のツアーでどうしたら新しい姿やパフォーマンスを楽しんでもらえるかを一生懸命に考えて準備しました。きょう皆さんに会った瞬間、その不安が全部ぶっとびました。いつも僕たちのそばにいてくれてありがとう。近いうちに新しい歌で会いに来ます。今日は本当にありがとうございます」

 パフォーマンスと歓声――、互いの心を行き通わせたこの日。EDM超のサウンドやダンスナンバーが佳境に披露されていったなかで本編の最後を飾ったのは「GO UP」。ライトがメンバーそれぞれを照らし、ファンの合いの手が入る。ラップが煽る。スクリーンに映し出される映像が神秘性を作った。最高潮のなかで歌い終え、スンユンは「悪い天気のなか本当に有難うございました」と述べてメンバーとともにステージを後にした。

 アンコールでもにくい演出があった。何度もループされるファンの合唱によるアンコール。なかなか出てこない。ファンも止めない。そうこうしていると、不意を突くように重厚なSEが流れた。叩き起こされたように、過敏に反応するファン。割れんばかりの歓声で出迎えた。そのなかで披露したのは彼らの兄貴分・BIGBANGの「FANTASTIC BABY」だった。BIGBANGの日本ツアーにオープニングアクトとして帯同していた彼ら。尊敬するBIGBANGに感謝を示すように感情を込めて披露した。

 一方、ファンからはデビュー1周年を祝うプラカードが掲出された。A4ぐらいのカードをファン一人一人が両手に掲げ、祝福の声を届けた。突然のサプライズに驚くメンバー。そのカードを、前列のファンから受け取ると、高く掲げて「ありがとう」。スンフンは「スペシャルな日だから僕らからプレゼントしたかったけど、皆さんから貰ってしまいすみません」と陳謝。スンユンは「10周年も20周年も一緒にいましょう」と誓った。

 最後にスンユンは「僕たちと小さい約束してください。50周年まで一緒に歩いてください」と語り、メンバーとともに何度も頭を下げ、感謝の言葉を送った。彼らが日本を愛していることを、そしてファンは彼らを尊敬し、憧れ、愛していることを感じさせた夜だった。

 なお、今回のツアーは、10月25日北海道・ニトリ文化ホールまで続く。そして、10月31日には『WINNER SPECIAL LIVE IN OKINAWA』と題して沖縄公演を開催予定。また、これに伴って昨年の日本ツアーの模様を収めたライブDVDが『WINNER 1st JAPAN TOUR 2014』が8月26日に発売されている。

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