乃木坂46生駒里奈の卒業コンサートが22日、東京・日本武道館でおこなわれ、会場1万2千人、ライブビューイング6万人が見守る中、生駒の代名詞ともいえる「制服のマネキン」など全25曲が披露された。コンサートの冒頭「楽しんでいくぞ!」と語っていた生駒は両親の手紙などや終盤で涙を流すこともあったが極力笑顔に努め、最後は「楽しかった!」と笑顔。初期の頃は泣く姿が印象的だった彼女は最後は笑顔を残し卒業コンサートを終えた。

 15歳で秋田から上京し、16歳でメジャー・デビュー。乃木坂46の1stシングル「ぐるぐるカーテン」をはじめ6回センターを務め、選抜メンバー入りは20作連続。文字通り、グループを牽引してきた生駒里奈が、約6年8カ月の活動を経てグループを卒業。その卒業コンサートとなったこの日は、1万2千人を動員。チケット応募数は約30万件で、チケット倍率はなんと約30倍だ。これを受けて、全国128館でライブビューイングが、約6万人を動員しておこなわれることになった。

 乃木坂46の象徴ともいえる生駒の卒コンは「乃木坂の詩」で幕を開けた。生駒は「さあ皆さん、遂に始まりました。楽しんでいくぞ!!」と叫ぶと、自身のセンター曲で2ndシングルの「おいでシャンプー」を披露。その後は生駒の歴史をなぞるような曲が続く。三期生による「トキトキメキメキ」が届けられたあと、白石麻衣がセンターを務める新曲「シンクロニシティ」を披露。息を切らせながら、生駒は「緊張も解れて超楽しい」と笑顔だった。

生駒里奈・卒業コンサート。序盤

 乃木坂46メンバーでは唯一、AKB48を兼任した過去がある。選抜総選挙では14位で選抜入りも果たしている。そのかつての盟友・渡辺麻友からもテキストメッセージが寄せられ、AKB48の曲から「恋のプラカード」などを披露。生駒は「14位という数字がなければ歌えなかった。あのとき兼任して良かったと思えた。皆さんのおかげ」と語った。

 ライブの要所では、メンバーが涙ながらに生駒への思いを伝えていった。そんな時も泣くのをこらえて笑顔で受け取っていた生駒だったが、人気アニメ『NARUTO -ナルト-』作者から生駒のイラスト画が贈られると「生きててよかった」と涙。更に、両親からのテキストメッセージが読み上げられると「ずるいよ。NARUTOと両親はダメだよ、泣くよ」と再び涙を流した。

 後半戦では生田絵梨花・生駒里奈・星野みなみによるユニット曲や、生田のピアノ伴奏による「君の名は希望」などを歌い上げたあと、改めて生駒が挨拶。「一言でいえばこの人達でなければここにはいなかった。集団行動が苦手な私がこのなかで7年間やってこられたのはこのメンバーがいたから」と感謝の言葉。更に「乃木坂46がもっと活躍していくためにも活躍したい、そんなふうに思える仲間がいる。人生良かった」と語った。

生駒里奈・卒業コンサート。中盤

 そうしたなか、本編最後は「(卒業しても)このまま私の代名詞になると思う」として、センター曲「制服のマネキン」を披露。歌い始めた瞬間、さきほどまでのしんみりさなくなり、メンバーの頬にも涙はなかった。1つのドラマを終えるようにエンディングに相応しい曲だった。

 アンコールでは、改めて思いを語った。「セットリストや送る言葉を考えていくなかで1週間眠れない日が続きました。改めて思ったのが卒業できることは凄いこと。15歳の素人がデビューして7年やってこられた。沢山の経験を積んで卒業。これからの人生の方が長い。きっとこうした素敵な卒業はできないと思う。だから凄いこと。振り返ると変な子だったと思う。猫背でがにまたで、スカートが履くのが恥ずかしかった。でもこうして変化したんです。こんなにも人は変われるということを乃木坂46で教えてもらいました」と語った。

 更に、卒業を決めた理由にも触れた。「こんな子を真ん中においてデビュー・シングルを出して。まさかこうなるとは私も思っていなかった。正直握手会は怖かった。何を言われるか分からないし、初めての人と接するし。でも違っていた。みんな優しかった。ただの素人をここまで育ててくれたスタッフ。父や母よりも色んな面を見ていると思います。赤の他人なのに親身になって…。でももっとうまくなりたい欲が出てしまった。もっと険しい道に行きたいという思が強くなった。その先に続く、夢を持ってしまった。皆が胸を張れるように活躍していきたい」。その言葉は震えていた。

生駒里奈・卒業コンサート。Wアンコール

 そうした生駒に、代表して生田と星野から花束が贈られた。そのなかで届けられたのは、乃木坂46のデビュー曲で、生駒のセンター曲「ぐるぐるカーテン」だった。更にダブルアンコールでは、秋元康氏の「センター候補が脱退したあと、迷わずに(生駒)を中心に乃木坂46を構築しようと思った」「卒業してもみんなの希望で居続けてほしい」とのテキストメッセージが伝えられ、最後は、プレッシャーと立ち向かう生駒をモデルに書いた「君の名は希望」をメンバー全員で歌った。

 乃木坂46立ち上げ初期は涙を流すことが多かった生駒。この日も涙を流すことがあったが、それでも笑顔に努めている姿が印象的だった。そんな生駒の最後のコンサートは、しんみりと終えるのは控えたいと「お疲れさまでした! 楽しかったです!」と叫び、笑顔のままステージを後にした。なお、5月6日の幕張メッセでの全国握手会が乃木坂46としての最後の活動となる。【木村陽仁】

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