AAA(トリプルエー)の末吉秀太が11日、ソロ活動名義のShuta Sueyoshiとしては初となるライブツアー『Shuta Sueyoshi LIVE TOUR 2018 -JACK IN THE BOX-』のファイナルを、東京・日本武道館でおこなった。AAAのメンバーによるソロライブは、昨年5月開催のSKY-HI(日高光啓)の公演に次ぐ、2人目となる。

 2月2日の福岡公演でスタート、全6都市6公演をめぐった今回のツアーは、ソロ名義では初となるアルバム『JACK IN THE BOX』のリリースに伴いおこなわれたもの。この日の公演は、そのツアーが好評であったことによる追加公演となる。約8000人のファンを前に全16曲を披露。アルバムの収録曲で、自身で初めて作詞を担当した「秒針 Re:time」やダンスパフォーマンスなど盛りだくさんの演出により、観衆を魅了した。【取材=桂 伸也】

街中で見られた姿、素敵なショーの始まり、そして雰囲気たっぷりのオープニング

Shuta Sueyoshi(撮影=Takahiro Kugino)

 会場がオープンする随分前より、街中には『JACK IN THE BOX』のデザインパーカーを着たファンがあちこちに見られた。黒、または白の下地に、薄いグリーンとピンクの帯、その上に「JACK IN THE BOX」の文字。春の訪れを感じる今この時期にしては、少しクールさを感じるデザインでもあり、この日のステージの印象が強く感じられる兆候でもあった。

 開場後、ステージにはベルベット調の赤い幕が下ろされ、下から二つのスポットライトが照らされている。会場のBGMは、スウィング時代のゆったりしたジャズナンバーが、この後にステージで繰り広げられる、華やかなショーを予感させていた。

 定刻を少し過ぎた頃、会場は不意に暗転し、フロアからは大きな歓声が幾重にも重なって響いた。さらに幕にモノトーンで映し出される、Shutaの映像。その瞬間、条件反射のごとくフロアの観衆はスクっと総立ちに。しかし映し出された映像では、Shutaが積み上げられたガラクタの前で静かにたたずむ姿が。Shutaはその中の一つ、壊れかけのオルゴールを拾う。 Shutaがねじを巻くと、会場にはアルバムのオープニングナンバーである「JACK IN THE BOX -Introduction-」が流れ始める。そして映像が徐々に薄らいでいくと共に、小さく幕が開いた。

「映画のような」、見せ場たっぷりのステージ

Shuta Sueyoshi

 そこには、椅子に座ったHearty Bearが。現れる人の影。その者たちは、手にした赤い紐を一つ、また一つ、Hearty Bearの首周りに掛けていく。そして人々が去り、曲と共に徐々に大きくなっていく心臓音のようなビート。次の瞬間にShutaは現れ、フロアからの大きな歓声を呼んだ。

 Shutaの前後には、何本かの赤いロープが張られ、彼自身はまるでそこに絡まりぶら下がる操り人形のような姿を見せていた。異質とも見えたその姿だが、オープニングナンバーの「Shall We!!」の、ハードでクールな雰囲気にマッチし、この日のステージを絶妙に演出していた。「上がっていこうぜ、武道館! Are You Ready!?」。Shutaの叫びに、さらに観衆は歓声を大きくしていく。

 続いて、明るくグルービーでポップな「Let it ride」で雰囲気を一転させ、英語曲「Run Away」ではサビを観衆と掛け合いし楽しむ。さらにお決まりのスタンスを最初にレクチャーし、観衆とダンスでひと時を共有する「Switch」と、観衆に一息もつけさせずに楽しい時を演出。一方ではShutaも「ファイナルの日本武道館へようこうそ。やべえ…すげえ…手拍子すげえ…武道館や…」と、素直に日本武道館でのソロステージに感激の様子をこぼす場面も見せる。そんな中でも「一本の映画くらいの時間ですから、映画を見るテンションで軽く楽しんでください」とこの日のステージをアピールする。

 ステージでは「SSダンサーズ」との共演によるコミカルかつメルヘンチックな無言劇や、メロウなメロディの中でクールにダンスを披露するパートなども用意、さらに歌ではロマンチックな雰囲気を漂わせるカバーソング「カブトムシ」を一人で歌うなど、随所に見せ場を設け、観衆の絶叫を呼んでいた。

夢を追いかける人へのエール、そして再び作品作り、ツアー実施を宣言

Shuta Sueyoshi(撮影=Takahiro Kugino)

 一方で『JACK IN THE BOX』=「びっくり箱」の意味を表すかのような、AAAだけでは見られなかったShutaの様々な表情が、楽曲でも披露される。少ししんみりとした雰囲気がありながらも、感動的なバラードの「My First Love」、時計の秒針の音より始まり、スタンディングマイクにて一人でしっかりとその世界観を披露した「秒針 Re:time」、そして「Sad Story」から「to.ri.ca.go」に掛けては徐々にリズミカルに、そして華やかに会場を盛り上げていく。

 そしていよいよ迎える終焉を前に、このツアーに向けた思いを振り返り、Shutaは語る。Shuta自身の、夢が一つ叶ったこと。その姿は、他の“夢を追いかける人”と同じスタンスであること、夢は“大きさ”ではない、どれくらいそれに熱を注げるかということ。そして今回のツアーが実現したことに対して、協力を授かった多くのスタッフや関係者、そしてツアーに訪れたファンへの感謝と共に、夢を追いかける人へ「何かあれば、また会場に来てください。俺に押せる背中があるなら、背中を押す準備は出来ているから」とエールの言葉。さらに新たな作品を作り、再びツアーを必ずおこなうことを宣言。

 その思い全てを込め、Shutaはラストをバラードナンバー「夢」で締めくくる。曲の終わりと共に、閉じていく幕、そして現れるスモーク。Shutaはその影に消えていく。わずかに開かれた幕の隙間に、気がつくと再び、いすに座ったHearty Bearが。そして幕は完全に閉じられ、オルゴールの音も途絶え、幕の上に「Fin」の文字が映し出される。こうしてShuta Sueyoshiの様々な思いを込めた「映画のような」ステージは終わりを迎えた。

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