具合が悪いときは俯瞰して見えている
――エスカレートしてきてますからね。本当に変な方向にいかないように願うだけです。さて、「幸せって。」の歌についてはどういった意識でレコーディングに臨みましたか?
とにかく力強さを出したいと思い綺麗に歌う、あっさりというよりかは、シンガーとして人間味のある感じを出したかったんです。けっこう踏ん張って元気を意識して歌いました。
――レコーディングはワンテイクでOKだったりも?
そのときによりますね。体調とかにもよります。今回は8時間くらいでした。なので、長かったです。「ああ、こうやって歌えばいいんだ」と感じてからは早かったですけど。
――正解を導き出すのはご自身の中でしょうか?
自分自身もあるし、やっぱりスタジオのブースに入っていると客観視をするのが難しいから、ブースの外にいるディレクターさんとかにフィードバックは求めます。それを聞きつつ、曲のメッセージが届いて歌詞が入ってくる、雰囲気が伝わる、そういうのが一致して「よし、じゃあそれでいこう」という感じなので。自分の気持ちもありつつ、外の意見も聞いて落とし込むといった感じです。
――レコーディングだとブースに入って客観視が難しいということですが、ライブでステージに立っているときは俯瞰した自分がいたりしますか。
たまにありますね。毎回ではないですけど。
――俯瞰(ふかん)して外側から自分が見えるというのはどういったときでしょうか?
わたしの場合は、具合が悪いときとか(笑)。そういうときは変に力を使わないんですよ。だから凄くいい感じの力の抜け具合と冷静な状態になってたりするんです。凄く冷静にパフォーマンスもできてるし、全部が目に入っているというか。
――レコーディングではそういう状態ではないんですね。
ないですね。ヘッドホン付けながら歌いながら、という感じなので、本当に自分だけの空間になっているので、難しいです。
――そのために周りからのフィードバックが必要なのですね。今作でニュアンス的に難しかった部分は?
サビかな…。けっこうキーが高いんです。パワフルに歌いたいけど、無理をしてる感を出したくないし、その塩梅が難しかったです。良いバランスを見つけるまでちょっと時間がかかりました。
――ライブでのパフォーマンスのこともありますし。
そうそう。制作しているときは常にライブのことを考えながら作っています。
――曲順などによって、ライブの流れで歌うときが辛いときもあると思うんです。
そうです。死んじゃう(笑)。
――それでも楽曲単体で考えると「このキーでなければ」というのがあると聞きます。キーが半音下がっただけでもイメージが変わってしまうというか。
それはあります。なので、キーは楽曲の雰囲気重視で決めています。けっこうディレクターさんとかも「キー、上の方がいいよ」とか人ごとなんです。「歌うの私なんだけど!」みたいな(笑)。やっぱりパフォーマンスを何回も重ねていくうちに「何だ、全然歌えるじゃん」ってなりますけど。
――ライブのことも考えて、曲の雰囲気も重視してと、大変ですね。
でもそこが楽しさでもありますね。
――レコーディング前に必ずやることなどはありますか?
ストレッチとウォームアップは必ずします。ちょっとした腹筋とかも。
――腹筋は割れてますよね?
6パック系です(笑)。毎日20回でもやると筋肉付いてきますよ。プランク(フロントブリッジ)とかもやります。
――体幹トレーニングですね。歌うに当たって体幹は重要?
すごく大切です。体幹は歌だけでなく全てにおいて大切だと思います。やっぱり軸がしっかりしていないとブレます。体を温めるという意味でストレッチと体幹トレーニングをやったりするんですけど、お腹から声って出すから、そこでグッと力を入れられないとヘロヘロな歌になっちゃいます(笑)。そこを鍛えていると伝わるものもドーンとより強く伝わると思います。