GReeeeN「うれD」、登場10年以降も普遍な“真っすぐ届く言葉”

GReeeeN「うれD」
GReeeeNが発表した8thアルバム『うれD』(4月11日発売)は、これまで以上にボリューム感溢れる内容だ。映画『ママレード・ボーイ』主題歌、平昌五輪フジテレビ系中継テーマ曲、日本歯科医師会テーマソング、BS-TBS『夢の鍵』テーマソング、映画『キセキ —あの日のソビト—』(松坂桃李・菅田将暉W主演)主題歌「ソビト」、東京ワンピースタワーテーマソング「4 ever ドーン!!!!!」などなど、数多くのタイアップ楽曲が一挙収録され、いかに彼らが数多くの支持を集めているかを物語っている。そして、間口の広い音楽的アプローチの中で歌われる言葉の数々には、“希望”と“応援”の想いが込められたGReeeeNの普遍性が表されている。デビューから活動11年目に突入し、現在も邁進中の彼らはデビュー当時から今に至るまで、なぜここまで支持を集めるか、そして新作『うれD』に込められた想いや、その内容に迫りたい。
各方面のパブリック・イメージソングとなった新作『うれD』の楽曲
活動10周年を超えたGReeeeNは、数々の楽曲を世に届かせた。「GReeeeNの曲を聴いたことがない」という人は少なくなっただろう。もはやほとんどいないかもしれない、というくらい、彼らの楽曲はパブリック・シーンで鳴り響いている。
そんな彼らの8作目、「うれしいを通りこしてもはやうれD」という意味の今作タイトルは、GReeeeNらしいユーモアのあるタイトルとなっている。ジャケットには1stアルバム『あっ、ども。はじめまして。』にも登場していた“あの人”が顔をのぞかせているという遊び心もGReeeeNらしい。
そして内容はというと、先述の多数のタイアップに加え盛りだくさんの密度。昨年、NEWSに提供して話題を集めた楽曲「U R not alone」のセルフカバー、主要配信サイトのレコチョクシングルランキングではデイリー1位となったシングル「ハロー カゲロウ」、各CMやテーマソングに抜擢された楽曲など、親近感のある楽曲らが顔を並べているボリューム感たっぷりの一枚だ。
GReeeeNは「愛唄」「キセキ」「遥か」「オレンジ」等、デビュー以来数々のヒット曲を生み出し、多くのリスナーに支持されている。「キセキ」は国内において最も多くダウンロード販売されたシングルとしてギネス記録を持っており、活動10年以上経った今でもトップランキング級の楽曲を連ねる『うれD』をリリースするなど、彼らの音楽はいかに間口が広く、各方面から“ひっぱりだこ”なことは頷ける。
スポーツ界と親和性の高いGReeeeN楽曲
オリンピック・パラリンピックという世界的な祭典にまつわるシーンで楽曲を轟かせるなど、GReeeeN楽曲のスポーツ界での活躍は目をみはるものがある。平昌五輪フジテレビ系中継テーマ曲「ハロー カゲロウ」に寄せられたメンバーコメントでは、「全てをかけてきた日々 夢と現実の間に立ちはだかった壁に もがき、あがき、傷ついてきた。 それでも、一歩ずつ前身する人がいる。 自分を信じながら、自分をはげましながら。 そういう人だけが持つことができる羽がある——」(抜粋)と、選手の気持ちを代弁しているような一節がある。
GReeeeNの楽曲は、スポーツ界のみならず各方面で活躍する人々を“応援”する想いが込められ、真っすぐ突き進もうとする者の背中を押す“風”を吹かせる。それらの感情が選手達に響くかのように、読売巨人軍の坂本勇人選手や元サッカー女子日本代表の澤穂希選手を始め、多くのアスリートがGReeeeNの楽曲を支持している。
また、記録的なヒットとなった「キセキ」は高校野球部をテーマにしたTBS系ドラマ『ROOKIES』の主題歌で、第81回選抜高等学校野球大会の開会式入場行進曲にもなっている。そして、競泳・入江陵介選手がMVに出演した「ビリーヴ」、2012年ロンドンオリンピック金メダリスト、NBA世界ミドル級王者にも輝いた村田諒大選手が出演した「Green boys」など、GReeeeNの楽曲はスポーツ、アスリートと親和性の高い楽曲が数多くある。
なぜ支持される?
GReeeeNというグループを「ロックバンド」「男性ボーカルグループ」など、ひとつの括り的な呼び方をするとすれば、案外ピシャリとくる呼称はなかなか出てこない。強いて言えば「4人組男性ボーカルグループ」だろうか。
4人組男性ボーカルグループで、何かしらの音楽性に特化している、という感じではなく、非常に間口の広い彼らの音楽は、その曲毎によって様々なサウンドアプローチを見せている。「間口が広く、多岐な音楽性の楽曲」というと、アイドルグループに近いという解釈もあるかもしれないが、決して一口にそういったカテゴライズで括れないのがGReeeeNだ。
顔や姿を一切出さないというシークレットな部分や、全員歯科医師免許を持ち、医療に携わるという特異な面もある。メディアには姿を表さないにも関わらず、LINE公式アカウントのフォロワーは260万人を超え、10周年公演では1万6000人を集客するという動員力を持つ。楽曲のメジャー感と相反する特異性を持ちながらも、ここまで多くの人達に支持されるGReeeeNというグループは、国内のシーンを見渡しても類を見ない存在なのだ。
GReeeeNのに楽曲には、大勢の人間の背中を押してくれる想いが込められている。GReeeeNの楽曲には、奮い立たされる曲、勇気づけられる曲、応援を向ける曲と、多数の人間のモチベーションをアゲるものが多い。曲を聴いて前向きに元気になれるが、その曲を歌っている彼らの実体はわからない。
そんなミステリアスな彼らが徹底的に“生きる”ということに向かって歌う楽曲に、聴き手は常に各々のベストな姿のGReeeeNを心に強く抱くことができるこそ、数多くのリスナーに、永続的に、10年以上に渡り現在進行形で支持されているのかもしれない。
『うれD』収録楽曲の歌詞では、勇気と希望、気合いを震わせるワードが散りばめられている。「4 ever ドーン!!!!!」では<何度だって立ち上がりゃ 『負け』じゃないぜ!>と歌い、「ハロー カゲロウ」では<止まんなきゃ進むでしょ>と、シンプルに前向きな感情が沸き上がる言葉が綴られ、そこには一点の陰りもない。“真っすぐ届く言葉”、これこそが、GReeeeNのデビューから10年経っても変わらない、彼らの最もエバーグリーンな部分だろう。【平吉賢治】