才能のセッションで生み出す、brainchild’s 楽曲に宿る生命力
INTERVIEW

才能のセッションで生み出す、brainchild’s 楽曲に宿る生命力


記者:村上順一

撮影:

掲載:18年04月06日

読了時間:約14分

才能のセッションで生み出される楽曲

――レコーディングでの新しい試みはありましたか。

『STAY ALIVE』通常盤ジャケ写

菊地英昭 手法ではないのですが、「STAY ALIVE」でワッチと初めてデュエットしました。掛け合いではなくお互いに同じことを歌っていて、それがまた面白くて。後半の全く違う世界観で歌うところはライブでやってみてどういう感じになるのか今から楽しみですね。

――そこから愛が芽生えたりとか…(笑)。

渡會将士 そういうの演歌でありますよね(笑)。セッションとかで生まれる信頼関係みたいなものはあると思います。愛と言ってしまうとむず痒いですけど(笑)。この7期でも音を出す回数で深まっていく関係性はあります。

――よくライブでバンドは育つと聞きますが、それも、もちろんありますか。

菊地英昭 ありますね。レコーディングでもそれはあると感じています。ライブよりも、緻密にみんなの音を聴いているし、曲を作っている段階でも、曲を投げて、それから感じとったものに詞を付けて来るといった作業は、ワッチとセッションしているような感覚もあるので。才能のセッションみたいな(笑)。

――才能のセッションいいですね! さて、「On My Own 」は旅をテーマにされています。生きるという実感を得るのには旅も良いですよね。この曲を聴いて旅に出かけたくなりました。

渡會将士 これは最後に出来た曲です。音を聴いた瞬間に旅っぽいなと思いまして。あと、これを制作している時は家に缶詰めだったこともあって「とりあえずどこかに行きたいな」という想いが溢れました(笑)。最後の曲だったので書きたいこと、欲求を書いてみようと。今はネットで何でも調べられるので、それこそ行きたいところの情報も事前に手に入れられるじゃないですか? 今の子供達って「行きたいところはあるのかな」とか、漠然と思いまして。

――EMMAさんは作曲段階ではどのようなイメージを持って制作していたのでしょうか。

菊地英昭 僕は昔にフラッシュバックしたようなイメージで、サビは60年代、そこに80年代を融合させた懐かしい感じに仕上げたいなと思いながら作りました。ワッチから旅というワードを聞いた時に、時間の旅というような感覚もあったのでリンクした部分もあります。

――渡會さんは海外を一人旅していた期間があったみたいですが、気づきはありましたか。

渡會将士 自分って何者でもないなと(笑)。途中でケータイが壊れまして、そこからが楽しかったんです。もう何も調べられないので、コミュニケーションを取っていくしかなくて。情報を遮断されたあとの自分ってこんな感じかと(笑)。それも歌詞に落とし込めたらというのもありました。

――そういうのもロックですよね! ちなみにお2人はロックというものをどのように捉えていますか。

菊地英昭 僕はクラシックのひとつという認識があります。僕らがロックに目覚めた頃というのは最先端でしたけど、今では良い意味でも悪い意味でも最先端ではないと思うし。でも、時代をリードしていくミュージックではあるとは思います。ヒップホップとかジャンル分けされるけど、僕らの思うロックというのは他のジャンルでも感じられる精神的なところが大きいかも知れません。

 もっと言ってしまえば、音楽ではなくても作家とかお笑いもそうかも知れないし、パワーを持って発信していくというロックへの憧れはあります。もちろんサウンドは大切なんですけど、僕はそことは違うところにロックは存在しているのかなと思います。

渡會将士 ロックとは何か…。難しいですよね。僕が生まれた80年代というのはショーとしてのロック要素が強かった感があります。個人的にはザ・ビートルズとか60年代のロックが好きでよく聴いていました。当時のアーティストって否定的な事を叫んでいましたけど、それを明るく歌ったりとか、踊れるように歌ったりするものなのかなと思っていて。僕の中でのロックンロールはラナウェイなのかなと。如何に現実からカッコよく逃げるかみたいな(笑)。

 今までは大きいものを見出そうとしたりして来たんですけど、一旦距離を置いて「アイツらカッコよく逃げててカワイイな」と、思ってもらえるように出来たらいいなと。このアルバムでもロックバンドとしてやっているので、華麗に逃げてやりたいなと思います。子供が地団駄踏んでるカッコいいバージョンみたいな(笑)。

―子供の地団駄は最高にピュアですしね(笑)。さて、4月21日からツアー『brainchild’s TOUR 2018 –STAY ALIVE-』も始まりますが、10年目のステージはどのような形になりそうですか。

菊地英昭 勿論10年続けてこれたという嬉しい気持ちはあります。初回盤には今集まれるメンバーと撮ったドキュメンタリーDVDも付きますし。華やかに10周年を祝ったものではあるのですが、アルバム自体は現在進行形の僕らを収録しましたし、ツアーでも自信をもってそれを見せられるのが良いのかなと思っています。

――最後にこのバンドはEMMAさんの解放プロジェクトとなっていますが、もう解放は出来ているのでしょうか。

菊地英昭 その都度出来ていますね。もう、“解放しっぱなしプロジェクト”でもいいかな(笑)。その解放具合をライブで確認してもらえたら嬉しいです。

(おわり)

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